転生しようとしたら魔族に邪魔されて加護が受けられませんでした。おかげで魔力がありません。

ライゼノ

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師弟編

第12話 初めてのおでかけ。

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そんな日が何日か過ぎたころ。

「おい!シリウス!早く起きろ!!」

とある日、俺は朝早くにティアドラに蹴り起こされる。
ちなみに俺の寝床はソファと決まった。
7歳の身体だとソファーでも十分すぎる程広く感じる。

「ふぁぁぁぁ……。おはようございます。……今日は何するんだっけ?」

俺は寝ぼけ眼をこすりながら昨日のことを振り返る。
ティアドラの熱血指導により昨日も夜遅くまで調合を繰り返していた。
おかげで最後に作った回復薬はなかなかに自信作で、出来栄えを見せるとティアドラも我がことのように喜んでいた。

……なんか嬉しかった。

寝る前に彼女は「明日を楽しみにしてろ!」なんていうから……ワクワクして中々寝れなかった。
修学旅行前日の学生のようだ。


「フフフ……。今日はな……ククク。まぁとにかく準備をするのじゃ」

どうやら今日のティアドラはご機嫌らしい。
俺は井戸で顔を洗い、彼女が準備した朝食を食べる。
早起きして作ったようだ。……なかなかうまい。

「さぁさぁ!早く!早く!」

ティアドラが急かしてくる。
俺は彼女の焼いたパンを口いっぱいに頬張ると水で流し込む。

「げほっげほっ!!」

……むせた。

「そんなに慌てるからじゃ!もう、何をしておる」

貴女が焦らせるからです。
咳き込む俺は彼女に背中を摩られながら朝食を終えた。










俺はティアドラに手を引かれて家の外に出る。

「さて!それじゃあ出発するぞ!!」

おー!!って

「待て待て!どこへいくんだ?」

結局まだ何をするのか、どこへ行くのかを聞いていない。
彼女はにんまりと笑みを浮かべる。

「まぁ、ワシについてくればよい!それでは出発するぞ!」

そういうとティアドラは聞き覚えのある呪文を唱える。するとこの間見たような淡い光の柱が現れた。転移魔法だ。
手招きする彼女に応じ、俺は光の中へと入る。
彼女が魔法を発動させ、光が収まると俺達は広い草原の街道に立っていた。
街道とはいっても前の世界のようにアスファルトで舗装された道ではなく、土で構成されている。

「さて、ここは東の国アラズマの領地じゃ」

東の国アラズマ。たしか魔族の世界に隣接しているから人の世界では一番危険な国何だっけ?

「そんな不安そうな顔をせんでも大丈夫じゃ。ここはアラズマとはいっても北の国ノキタスに近い。それに今は魔族と人の争いも沈静しておるからの」

表情を読まれたようだ。
俺は少し安心すると辺りを見渡す。すると遠くのほうに建物が見える。

「お、気づいたか。あれが今日のワシらの目的地の街じゃ!さっそく行くぞ!」

彼女は街へ向けて歩を進める。……結構早い。

「ちょっと!こっちは子供の身体なんだからゆっくり行ってくれ!」

俺は必死に彼女についていくのだった。







街が近づいてくると建物の形状なんかがはっきり見えてくる。
どうやらこの街は2階建てのコンクリートでできたような建物が多い。
道すがらティアドラから話を聞いたのだが、この街は発展の規模でいうと中ぐらいだそうだ。

「おぉー!」

とはいっても俺がいた孤児院のあった街に比べるとはるかに発展している。
俺は街の門の前に立ち、人の多さに感嘆の声を上げる。

「田舎者丸出しじゃのぅ」

そうはいいますがティアドラさん。
こんなに一度に人を見るのはこの世界に来て初めてなんだから仕方ないです。

そんなこんなで街へ入り、中央部へ近づくとともに人は更に賑わってくる。
すると俺はとあることに気づき、キョロキョロと周りを見渡す。

「どうした?腹でも下したか?」

ティアドラが気遣ってくれるがそうではない。
何故か周りから視線を感じるのだ。
子供が珍しいのか?……そんなことはない。俺と同じくらいの子供もたくさん見かけた。

「あっ……」

しばらくして俺は気づいた。
彼らが見ていたのは俺ではなく、ティアドラなのだということを。
そうだった。彼女は誰もが見惚れる程の美貌を持ち合わせた女性だということを。
行き交う人々は男女問わず、まずティアドラに視線を移す。彼女を見つめて顔を赤らめたり、ため息をついた後に、彼女の跡を金魚の糞のようについていく俺をみてこう思うのだ。
「こいつはなんだ?」と。
ごめんなさい、金魚の糞です。

「フフン。ようやくお主もワシの美貌に気づいたようじゃな」

ようやくというか、麗人であるということは初見の時から気づいてはいた。
だが当時はいろんなことで頭がいっぱいだったからか見惚れるようなことはなかった。
じゃあ今は?俺はいつも通りの自慢げな顔を浮かべる彼女の顔を見つめるが、他の人のように顔が赤くなったりはしない。
何故だろう?……彼女のだらしない寝顔とか大音量でいびきをかいているのをを見ているからであろうか。
なんていうか……彼女の残念なところを見知っているから見惚れたりとかはしないのかもしれない。
本当に……残念な人だ。一人でずっと暮らしてたってことはきっとコミュ障だし。

「なんでそんな憐れみを浮かべた顔でワシを見ておる!……おい、やめろ!」





閑話休題。





「そんなことは置いといてあそこじゃ!」

ティアドラはそんな人々の視線を全く意に介さない様子で、商店街の方を指さす。
しばらく彼女についていくととある商店の前で立ち止まる。

「ここじゃ」


そこは周りの商店と比べて一回り大きく、外観もコンクリートに波をイメージしたような彫刻を施している。
看板には『ベネラの薬屋』と書いてある。どうやら薬や調合に使う材料等を販売している店のようである。


「ここで薬の材料でも買うのか?」

するとティアドラは首を横に振り、笑みを浮かべる。

「買うのではない……売るのじゃ。……お主の作った薬をな!!」
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