転生しようとしたら魔族に邪魔されて加護が受けられませんでした。おかげで魔力がありません。

ライゼノ

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師弟編

第16話 指輪を頂きました。

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それからしばらくの間、俺達は薬の作り方を勉強をしつつ、図鑑の製作をしていく。


回復薬、魔力薬、攻撃力強化薬、素早さ強化薬、防御強化薬、魔法耐性強化薬等々。
俺が作れるようになった薬達だ。
素材は全てこの山から採取することができる。
この山は素材の宝庫とティアドラは言っていたがどうやら本当らしい。
ただ残念なことに俺が作ることのできるこれらの薬は効果は星一つだ。
効果量の高い薬をつくるのであればもっと貴重な素材が必要になる。


俺は攻撃力、素早さ、防御といったステータス強化薬の存在を知ったときはテンションが上がった。
この薬があれば俺は、他の人に匹敵する力を得ることが出来るのではと考えたからだ。
だがティアドラはテンションが上がりすぎておかしくなっている俺にこう告げたのだ。


「今存在が確認されている最高級の強化薬の効果は……大体2割増といったところかの」


俺はテンションがどん底にまで下がる。
俺を除くこの世界の人は身体能力が高い。
なぜなら自然に身体に纏う魔力が身体能力の強化をもたらすからだ。
その効果量は人にもよるが自然体の状態で約2倍程度。
意図的に身体強化魔法を使った場合にはステータスが5倍になる人もいるらしい。


つまり、俺が一般人程度にまで強くなるには通常のステータスが一般人の1.7倍になった上で、最高級の強化薬を飲む必要がある。1.7×1.2=2.04ということだ。
小さい頃から身体は鍛えてはいるが……それでも俺のステータスが一般人の1.7倍ということはないだろう。まだ子供だし。
それに俺の作る強化薬の効果は星一つ……効果量は0.5割増程度だ。


「ま、まぁこれからさらに効果の高い強化薬が見つかるかもしれ……見つかる!見つかるから!元気を出せ!!」


そう慰められた。
だが気を取り直した俺は、それから薬の勉強もしつつ未知の植物を見つけたら採取している。
持ち帰るとティアドラが鑑定してくれる。……基本的には効果の低いものばかりだ。
ティアドラが知らない植物があればそれを使って効果を確かめようと思っているのだが……そんな植物はまだ、ない。


そんな俺をみていよいよ不憫に思ったのかティアドラは俺にあるものをくれる。
それは小さな青い宝石がはめ込まれた一つの指輪だった。


「以前にベネラの店に行ったときにお主が疑問に思っていた、その理由じゃ」


はて、何か疑問に思ってたっけ?
俺は首を傾げる。
ふと彼女の指を見ると同じような指輪がはめられていた。


「覚えておらぬのか……。まぁ見ていろ」


そういうと彼女は右の手の手の平を上に向けて、小さな声で『保管の指輪より出でよ、回復薬』と呟く。
すると彼女の手の平の中央部に黒い穴が開く。
その後ゆっくりとその穴から回復薬が出てきた。


そういえばベネラの店に行った際、彼女がどこかからか薬を取り出していたのを思い出した。
これが理由だったのか。


「察したようじゃのう。その指輪は『保管の指輪』という。そうじゃのう、この家の風呂1杯分程度の物を別の空間に保管することができる魔法効果をもった代物じゃ。非常に貴重なものじゃから大切にするようにの」


なるほど……これは便利だ。
だけど魔力のない俺にこれが使えるのか?
そんなことを考えながら俺は指輪を人差し指にはめる……大きすぎる。
と思った瞬間俺の指のサイズにフィットするように指輪の径が小さくなった。
俺は手の平を広げ、小さくなった指輪を見つめる。


「何かを保管したいときには指輪をつけた側の手で保管したいものを持ったうえで、『保管の指輪に収納』の後に保管したいものの名称を言うこと、逆に出すときには『保管の指輪より出でよ』のあとに取り出したいものの名称を言えばよい」


俺は辺りを見渡し、目に入ったキダンの実を手に取る。

「保管の指輪に収納、キダンの実」

そういうと先ほどのティアドラと同じように俺の手の平に黒い穴が開き、キダンの実が沈んでいく。
完全にキダンの実が消えたのを確認してから今度は取り出す呪文を呟く。


「おぉー!!!」


俺は再度出現したキダンの実を見て感嘆の声を上げる。


この世界にきて自身が初めて発動させた魔法だ。
魔力がなくてもこういったものを身に着ければ魔法を発動させることができるということだ。


「なぁ……もしかして俺、こういう指輪をいっぱいつけたら強くなれるんじゃないのか?身体強化の指輪とかさ!」


するとティアドラは目つきを鋭くさせる。


「そんなものがあってたまるか!お主の指輪の宝石を見てみよ!」


指輪を見てみると……。


「あれ?宝石の色が赤くなってる」


先ほど青かったはずの宝石の色が……何故か赤くなっている。


「その指輪の原動力はの魔力じゃ。つまり本来魔力を持たぬお主にはこの指輪を発動することは出来ない。魔法効果を持つ指輪は大抵そうじゃ。じゃあ何故、先ほどお主は魔法を発動させることができたか。それは……」


「空気中の魔素、か」


俺の回答にティアドラは頷く。
先ほど彼女は指輪の原動力は接触しているものといった。
指輪に接触しているものは……身に着けている人と、空気にも触れている。
おそらくこの指輪は接触している対象から魔力を吸い取ることで発動しているらしい。


「ワシのように魔力が十分にあるものであればこの指輪は際限なく使用することが可能じゃ。じゃがお主には……大体1時間に1度程度じゃろうな。使えるようになると宝石の色が青に戻る。多少扱いづらいかもしれぬが……まぁそれでもないよりはずっとましじゃろ?」


俺は小さく頷く。
だが、魔力を持たない俺にはこの指輪を満足に使いこなすことはできない。
このようなものを貰っていいのだろうか。


「俺みたいなロクに魔法を使えない人間に渡してもいいようなものなのか?」


するとティアドラは優しい目つきになる。


「構わんよ。可愛いワシの弟子じゃ。少しでもお主の力になりたいと思う師匠の心遣いと思って受け取ってくれ」


俺はちょっぴり溢れそうになる涙を必死に堪えながら……ありがたくいただくことにした。
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