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師弟編
第18話 緊急事態。
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俺は目を開ける。
気絶していたようだ。
上半身を起こし、周囲を見渡す。
気絶前から変わった様子はない。
俺は身体の具合を確かめる。
痛む部位はない。
どうやら助かったようだ。
「やっぱり・・・俺に毒は効かなかったか。」
原液を飲むのは怖かった。だがあの状況では仕方なかったと思うし、結果を見れば最善だったと言えよう。
だが一つだけ疑問が残る。
「怪我が・・・完治してる?」
怪我の状態からして普通の回復薬では完治する程の効果は見込めなかった。
精々傷口が塞がる程度であろう。そこからティアドラの救助を待つ予定であった。
だが今の俺の肉体は怪我をする前と遜色ない状態であった。
一応説明はつく。
俺が飲んだのは原液であり、実際に使うのはこれを分割し、水や湯で薄めたものだ。
要は複数の回復薬を同時に飲んだ訳だから効果量が大きい理由も分かる。
だがそれでもこの回復量は異常だ。
「純度が高いから・・・か?」
先ほど述べたように原液を薄める際には水や湯を用いる。
だが実際にはこれらの液体にも微量ではあるが個々の魔力は宿っている。
つまり原液中に含まれている魔力に他の魔力が混じることになるのだ。
阻害されることによって効果量が減少していたとしても不思議ではない。
新たな発見であった。
帰ったらティアドラに報告しよう。
俺はそう思いながら立ち上がり、真上を見る。
まだ、日はあるようで穴から光が差し込んでいる。
改めて周囲を見る。
俺がいる場所は洞窟途中の小部屋といった具合になっている。10畳くらいであろうか、少々広い。
左右に人が3人程度並んで歩けるような洞窟が続いている。
辺りは真っ暗というわけではなく、洞窟内に点在している岩が淡く光を放っている。
これは『光鉱石』と呼ばれるものであり、空気中の魔素を吸収することによって光を放つ特性を持っている。
どちらの道を行けば出口なのだろうか。
「こちらの方が明るい・・・か?」
どちらの道が正解かは分からないが、明るいということは外からの光が差し込んでいるのかもしれない。
俺はそう思いながら洞窟を進むことにした。
どれくらい歩いただろうか。距離感が分からない。
だが光明は見えている。光が段々と強くなっているのだ。
「ふぅ・・・なんとかなった・・・な。」
俺は安心し、息を吐く。
ティアドラは怒るだろうか。
そんなことを思いながら俺は曲がり角を曲がる。
「・・・なんだこれは!?」
俺の面前にはこれまでの土くれだった洞窟ではなく、明らかに何者かの手によって作られたであろう石で出来た
巨大な遺跡が広がっていた。
俺が住んでいた家の近くにはこんなものがあったのか!
思わず言葉を失う。
ティアドラはこのことを知っているのだろうか。
恐らく知っているのだろう。
思えば何かと謎が多い女性だ。
何故一人で山に住んでいるのか、年齢、薬師をしている理由、この場所を俺に隠している理由・・・。
彼女のことを何も知らないことに改めて気づいた。
しばらく歩くと巨大な扉がある広間にたどり着く。
この先に何があるのだろうか。
力を込めてその扉を押してみるが動く気配はない。
鍵でも掛かっているのだろうか。
「グルルルルル・・・。」
背後から唸り声がした。
俺は思わず振り返る。
そこには結界外で見たことのある3匹の犬型の魔獣がこちらを見ていた。
俺は身を強張らせる。
魔獣と魔族の違い、それは知性の有無だ。
ティアドラ曰く人間と敵対しているはずの魔族の方が、会話が出来るだけ魔獣よりマシだと言っていた
。
俺の眼前にいる魔獣達。目はギラギラと輝いていており、到底知性など感じることは出来ない。
彼女がいたときは彼女が魔法を使うことにより瞬殺されていた。
だがここに・・・彼女はいない。
俺は懐から採取に使用するナイフを取り出す。
あくまで採取用だ。大した殺傷能力はない。
俺がナイフを取り出すことで魔獣達も戦闘体勢に入り、吠えながら突撃して来る。
速い!!
俺は咄嗟に身を捩って回避する。
奴らの中の一匹の牙が俺の腹を掠める。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
怖い。
奴らは知性なくただ俺を殺そうとしている。
その剥き出しの本能がただただ怖い。
再度奴らが襲ってくる。
次は腕を掠める。
なんとか回避することしか出来ない。反撃など出来そうにもない。
3度、4度。傷は段々と増えていく。このままでは致命傷を受けるのも時間の問題だった。
逃げたい。だが奴らの方が圧倒的に速い。
ここでコイツらを倒さないと俺は帰ることは出来ないだろう。
俺は考える。・・・考える。
俺に出来ること、俺に足りないこと、そして・・・俺が持っているもの。
俺は右手を前に突き出す。
指にはまった指輪は青く輝いていた。
「保管の指輪より出でよ!素早さ強化薬!!」
俺にしか出来ないこと、俺だから出来ること。
その答えはもう、知っていた。
俺は手にした強化薬の原液を一気に飲み干す。
効果はすぐに発揮された。
「さぁ犬ども・・・今度は俺の番だ・・・覚悟しろ!!」
俺は口についた薬を乱暴に手で拭うと空になったビンを魔獣へ向けて投げつける。
魔力を持たない男の・・・たった一人の戦いが今、始まったのだ。
気絶していたようだ。
上半身を起こし、周囲を見渡す。
気絶前から変わった様子はない。
俺は身体の具合を確かめる。
痛む部位はない。
どうやら助かったようだ。
「やっぱり・・・俺に毒は効かなかったか。」
原液を飲むのは怖かった。だがあの状況では仕方なかったと思うし、結果を見れば最善だったと言えよう。
だが一つだけ疑問が残る。
「怪我が・・・完治してる?」
怪我の状態からして普通の回復薬では完治する程の効果は見込めなかった。
精々傷口が塞がる程度であろう。そこからティアドラの救助を待つ予定であった。
だが今の俺の肉体は怪我をする前と遜色ない状態であった。
一応説明はつく。
俺が飲んだのは原液であり、実際に使うのはこれを分割し、水や湯で薄めたものだ。
要は複数の回復薬を同時に飲んだ訳だから効果量が大きい理由も分かる。
だがそれでもこの回復量は異常だ。
「純度が高いから・・・か?」
先ほど述べたように原液を薄める際には水や湯を用いる。
だが実際にはこれらの液体にも微量ではあるが個々の魔力は宿っている。
つまり原液中に含まれている魔力に他の魔力が混じることになるのだ。
阻害されることによって効果量が減少していたとしても不思議ではない。
新たな発見であった。
帰ったらティアドラに報告しよう。
俺はそう思いながら立ち上がり、真上を見る。
まだ、日はあるようで穴から光が差し込んでいる。
改めて周囲を見る。
俺がいる場所は洞窟途中の小部屋といった具合になっている。10畳くらいであろうか、少々広い。
左右に人が3人程度並んで歩けるような洞窟が続いている。
辺りは真っ暗というわけではなく、洞窟内に点在している岩が淡く光を放っている。
これは『光鉱石』と呼ばれるものであり、空気中の魔素を吸収することによって光を放つ特性を持っている。
どちらの道を行けば出口なのだろうか。
「こちらの方が明るい・・・か?」
どちらの道が正解かは分からないが、明るいということは外からの光が差し込んでいるのかもしれない。
俺はそう思いながら洞窟を進むことにした。
どれくらい歩いただろうか。距離感が分からない。
だが光明は見えている。光が段々と強くなっているのだ。
「ふぅ・・・なんとかなった・・・な。」
俺は安心し、息を吐く。
ティアドラは怒るだろうか。
そんなことを思いながら俺は曲がり角を曲がる。
「・・・なんだこれは!?」
俺の面前にはこれまでの土くれだった洞窟ではなく、明らかに何者かの手によって作られたであろう石で出来た
巨大な遺跡が広がっていた。
俺が住んでいた家の近くにはこんなものがあったのか!
思わず言葉を失う。
ティアドラはこのことを知っているのだろうか。
恐らく知っているのだろう。
思えば何かと謎が多い女性だ。
何故一人で山に住んでいるのか、年齢、薬師をしている理由、この場所を俺に隠している理由・・・。
彼女のことを何も知らないことに改めて気づいた。
しばらく歩くと巨大な扉がある広間にたどり着く。
この先に何があるのだろうか。
力を込めてその扉を押してみるが動く気配はない。
鍵でも掛かっているのだろうか。
「グルルルルル・・・。」
背後から唸り声がした。
俺は思わず振り返る。
そこには結界外で見たことのある3匹の犬型の魔獣がこちらを見ていた。
俺は身を強張らせる。
魔獣と魔族の違い、それは知性の有無だ。
ティアドラ曰く人間と敵対しているはずの魔族の方が、会話が出来るだけ魔獣よりマシだと言っていた
。
俺の眼前にいる魔獣達。目はギラギラと輝いていており、到底知性など感じることは出来ない。
彼女がいたときは彼女が魔法を使うことにより瞬殺されていた。
だがここに・・・彼女はいない。
俺は懐から採取に使用するナイフを取り出す。
あくまで採取用だ。大した殺傷能力はない。
俺がナイフを取り出すことで魔獣達も戦闘体勢に入り、吠えながら突撃して来る。
速い!!
俺は咄嗟に身を捩って回避する。
奴らの中の一匹の牙が俺の腹を掠める。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
怖い。
奴らは知性なくただ俺を殺そうとしている。
その剥き出しの本能がただただ怖い。
再度奴らが襲ってくる。
次は腕を掠める。
なんとか回避することしか出来ない。反撃など出来そうにもない。
3度、4度。傷は段々と増えていく。このままでは致命傷を受けるのも時間の問題だった。
逃げたい。だが奴らの方が圧倒的に速い。
ここでコイツらを倒さないと俺は帰ることは出来ないだろう。
俺は考える。・・・考える。
俺に出来ること、俺に足りないこと、そして・・・俺が持っているもの。
俺は右手を前に突き出す。
指にはまった指輪は青く輝いていた。
「保管の指輪より出でよ!素早さ強化薬!!」
俺にしか出来ないこと、俺だから出来ること。
その答えはもう、知っていた。
俺は手にした強化薬の原液を一気に飲み干す。
効果はすぐに発揮された。
「さぁ犬ども・・・今度は俺の番だ・・・覚悟しろ!!」
俺は口についた薬を乱暴に手で拭うと空になったビンを魔獣へ向けて投げつける。
魔力を持たない男の・・・たった一人の戦いが今、始まったのだ。
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