転生しようとしたら魔族に邪魔されて加護が受けられませんでした。おかげで魔力がありません。

ライゼノ

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師弟編

第26話 そして俺は文字通り道草を食う。

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「ん・・・あれ?」


しばらくして目を覚ます。
俺の眼前には日の光を遮るようにティアドラが俺の顔をのぞき込んでいた。


「ふぅ・・・。ようやく目を覚ましたか。全く!心配させおって!」


どうやらもう怒っていないようだった。
俺は安心するとともに空を見上げる。
日の傾きから察するにそれほど時間は立っていなさそうだ。
俺は頭を摩る。もう痛みはない。
ふと手元を見ると薬のビンが落ちている。どうやらティアドラに回復薬を飲まされたようだ。


「あの・・・すみません。」


何が彼女を怒らせたのかは良くわからないがとりあえず謝っておく。


「・・・まだ分かっておらんようじゃが・・・まぁよい、行くぞ!」


俺の考えなんて見え見えのようだ。
そんなやり取りをしながら彼女はいつもの様に転移魔法を発動させた。








光が収まると俺達は石畳で綺麗に舗装された街道に立っていた。
道の幅は4、5メートル程はあるのではないだろうか。
遠くの方を見ると何かの荷物を運んでいる馬車が見える。
恐らくこういった荷馬車の往来が多いため、丁寧に舗装しているのだろう。
・・・それとも軍隊が通るからかな?わかんないや。


「あそこがワシらの目的地、首都『ルギウス』じゃ!」


彼女が指さす方向を見てみる。
すると遠くのほうに城の城壁のようなものが見える。


「おぉ~!すげー!!」


俺はまだ小さくしか見えないが遠くに見える城に感激する。
この世界に転生して早13年になるが、ファンタジーな世界にありがちな城を俺はまだ見たことがなかったのだ。


「こういうときは子供っぽくて可愛げがあるのじゃがのぅ。」


何故か残念そうな声で呟く。

こういうときはってティアドラさん。
それではまるで僕が普段は可愛くないみたいじゃないですか。
そう言おうとして俺はあるものに目が止まる。


「近頃は本当に・・・ってどうかしたのか?」


異変に気付くティアドラ。
俺は道から外れたところにあるものを指さす。


「あれ・・・。」


目を凝らしてよく見る。
あれは・・・そうだ間違いない!
そう判断した俺は一目散にそれめがけて走る。


「ど、どうしたというのじゃ!おい待て!シリウス!」


ティアドラも慌てて俺を追いかける。

俺はそれに駆け寄ると鞄から『とあるもの』を取り出した。



「こ・・・これ、これ!これは・・・エンカの花!エンカの花だよ!ティアドラ!エンカの花!」


俺が見つけたのは炎のように赤い花弁を持つ花だった。
名を『エンカの花』という。
俺は先ほど取り出した薬素材図鑑(西国編)をペラペラと捲る。


「えっと・・・たしかこのページに・・・あった!」


俺はエンカの花の項目を見る。

エンカの花
見た目の特徴 炎のような形をした花弁を持つ、炎のように赤い花。
分離時の効果 赤:攻撃強化 ☆☆☆☆☆
         橙:炎耐性 ☆☆☆☆☆
主な生息地  比較的温暖な気候の安定した土地に稀に咲く。


ティアドラに効果だけは記載してもらった。
効果量については自身が薬を作って確かめようと思っている。
まぁ炎耐性の薬なんて今まで作ったことも飲んだこともないから星のランク付けが出来ないんだけど。
俺は改めてエンカの花を見る。
なるほど、確かに花弁が炎の形をしている。綺麗だ。


「何事かと思ったぞ・・・。それにしてもお主は本当に・・・。育て方、間違えたかのぅ。」


自身の頬に手を当ててため息をつくティアドラ。
俺を残念そうな目で見つめる。
彼女に勇者オタクとかなんとかいっていたが・・・薬師として日頃薬を作る俺はすっかり『素材オタク』になってしまっていた。
新しい薬の素材を見つけると先ほどのように思わず興奮してしまうのだ。
図鑑と見比べ鑑賞し、匂いを嗅ぎ、そして・・・。
俺はエンカの花の花びらを一枚手に取り、食べた。


「これは中々に・・・魔力のある花だな。」


どういう訳か俺は薬の素材を食べることで、なんとなくだが魔力の多寡が分かるようになっていた。
これも魔力がないことが原因だろうか。


「宿についたら早速調合してみよう。」


俺はそう呟くと懐から採取鞄を取り出し、丁寧にエンカの花をしまう。


「変わっておるのぅ・・・。どうしたものか。」


呆れているティアドラをよそに俺のテンションは高い。
・・・ん?


「なぁ、ティアドラ・・・あれってまさか・・・『リムケ草』じゃないか!?」


俺は遠くのほうに生えている灰色っぽい草を指さす。
すると呆れていたはずのティアドラの目つきが変わる。


「なんじゃと!?どこじゃ!!」


俺はその草があるほうを指さすとティアドラは目にもとまらぬ速さで駆けていく。
当然俺も猛ダッシュだ。


「おぉ!これは間違いなく『リムケ草』じゃ!ほら見てみよ、この灰色の草の生え方がまるで煙が立ち上っているように見えるじゃろ?非常に貴重な草なのじゃ、でかしたぞ!シリウス!」


俺はティアドラにワシャワシャと頭を撫でられながら図鑑と照らし合わせながら鑑賞する。

リムケ草
見た目の特徴 煙が立ち上るかのような灰色の葉が特徴。
分離時の効果 灰:発煙 ☆☆☆☆☆
         黄:光耐性 ☆☆☆☆☆
主な生息地  比較的気候の安定した乾いた土地に非常に稀に発生。


発煙とは空気に触れることで煙を発生させる特徴があるらしい。
効果量は分からないがまさしく『レアもの』である。


「ほれ、シリウスよ。」


ティアドラはリムケ草の一部を切り取ると俺に手渡してくる。
俺はそれを受け取ると先ほどと同じように食べる。


「こ、これは・・・!!」


「どうなんじゃ!?どうなんじゃ!?」


期待に満ちた顔で見つめてくる。


「これは・・・深いコクと・・それに仄かな酸味が・・・美味い!それにすげー魔力だ!いい薬になりそうだよ!」


俺が満面の笑みでそういうとティアドラは対照的に悔しそうな顔になる。。


「くぅ・・・。美味いのか!・・・食べれぬこの身が・・・憎い!」


こういった魔力の高い薬の素材は人にとって毒だ。
以前ティアドラは食べたい衝動に負けてしまい素材を口にしたことがある。
その日は・・・一日中トイレにこもって唸っていた。
美人なのに・・・残念な人だ。
それ以来教訓を得たのか素材を食べることはなくなった。


結局のところ・・・俺達二人はそろいもそろって『素材オタク』なのだ。



「お、こっちには魔力薬になる『マリカイ草』が生えてる。」


「ふむ。湿気を好むはずなのじゃが・・・こんなところに生えておるのは珍しいの。・・・ん?こっちに生えておるのは『リガンの花』ではないか!?」


「え!?・・・いや、これは図鑑に載ってるリガンの花とは花弁の枚数が違うから・・・これは『リガンノハナモドキの花』だよ!ほら、これ。」


「お、本当じゃ。リガンノハナモドキの花は魔力量が低すぎて碌な効果がないからのぅ。『リガンの花』なら良い千里眼の薬になるのじゃが・・・。」


俺達は文字通り道草を食いながら徐々にルギウスへと歩いていく。
普通に歩けば30分もあればルギウスにたどり着くのだが・・・俺達がついた時にはもう辺りは暗くなっていた。



「「あれーーーーー?」」


なんでこんなに遅くなったんだっけ?
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