転生しようとしたら魔族に邪魔されて加護が受けられませんでした。おかげで魔力がありません。

ライゼノ

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師弟編

第27話 屋台っていいよね。

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「まぁ何はともあれ着いたの!」


もう日が暮れようかという頃に俺達はルギウスの城門にたどり着く。

城門の前にはちょっとした行列ができており、その先にはこの国の兵士であろう者が検問を行っているようだった。
少し様子を見ていると中へ入っていく者はその兵士に何かを見せている。
よく目を凝らしてみるとそれは木の札に何か文字が書かれたもののようだ。
通行手形だろうか。


「なぁ、あれがないと中に入れないんじゃないのか?」


俺は指さしながら尋ねる。


「ん?・・・あぁ、大丈夫じゃ。」


そういうとティアドラは指輪を発動させると手形を取り出した。・・・2個。
それを俺に放ってくる。


「それをなくしたら行き来できんようになるからな、大切にするのじゃぞ!」


これどうやって手に入れたんだろう。
聞きたい気持ちもあったがとりあえず俺は黙って受け取る。

しばらくすると俺達の番になる。
兵士は俺達を手招きし、ある程度近づくと手で制止する。
俺達は彼に通行手形を見せる。

「よし、止まれ。・・・手形は持っているようだな。確認になるがこの国へは何をしに?」


前の世界でも仕事で海外に行った際に入国管理の人にも似たようなことを言われたことを思い出す。
その国で何をやるかを聞くことは彼らにとって鉄板ネタなのだろうか。


「勇者のお披露目会があると聞いてのぅ。折角の一大イベントじゃからこちらへ足を運んだのじゃ。」


「なるほど、やはり最近はそれ目当てで来る者が多いな・・・。早いところ宿を決めたほうが良い。最近はこの時間になるとどこの宿も混みだす。それと良からぬことを企む者もいるだろうから貴重品は肌身離さず持っておくことだ。」


やはり民衆も勇者の誕生と聞いて浮足立っているのだろう。
遠くの国の方からも足を運ぶものも多いんだとか。


「勇者のお披露目会は3日後だ。あまり浮かれて飲み食いしないようにな。体調を崩して折角の勇者のご尊顔を見えないなんてことになったら元も子もない。」

「委細承知じゃ!」

こういうところにいる兵士って面倒に仕事をしているイメージだったけど彼はすごく親切にしてくれ、お勧めの宿場や食事処なども紹介してくれた。

俺達は彼に礼を言うと城門の脇にある小さな扉に手をかけ、中にはいるのだった。





「すっげーー!でっけーーーー!!」

もう日が沈みかけているはずであったが城壁の中は人で賑わっていた。
ベネラの店のある街もそれなりに人が多かったはずだが・・・比べるべくもなく人が多い。
遠くの方にはゲームや映画でしか見たこともないような立派な城が、この国の象徴であると主張するようにそびえたっており、そこから真っすぐに城門まで道が伸びている。
道の脇には屋台やら商店やらが並んでおり、店員であろう者が客引きをしていた。


「久々に来たが・・・まるでお祭り騒ぎじゃのぅ。普段はここまで喧噪に満ちてはおらんのじゃが・・・勇者効果といったところじゃの・・・っておらん・・・え?・・・おい!シリウス!どこじゃ!?」

ティアドラの叫びが木霊する。




俺は美味しい匂いにつられて屋台に来ていました。


前の世界ではボッチだったからこんな屋台になんて来る機会がなかった。友達いなかったしね。
屋台を眺めていると店主のおっちゃんが声を掛けてくる。


「お、兄ちゃん!折角だから買っていきなよ!安くしとくからさぁ!」


おっちゃんは串に刺さった肉を差し出してくる・・・前の世界で言うと牛串だろうか。
・・・テレビでしか見たことないけど。


「・・・いくら?」


初対面の人にはやっぱり人見知り。どうも、シリウス・フォーマルハウトです。


「兄ちゃんここは初めてかい?それじゃ・・・初見さん勇者様特別価格で・・・鉄貨5枚で売ろうじゃないか!」


貨幣の価値まだわかんないです。
たしか以前ティアドラが銀貨1枚で一日の食費分くらいとかいってたっけ?
20本で銀貨1枚分か・・・安い!・・・気がする。
俺は懐をゴソゴソし、財布から銅貨を1枚取り出す。
薬師として薬を売って金を貯金していたため、資金は割と潤沢なのだ。


「それじゃ・・・2本、ください。」


1本は俺の分、そしてもう1本はティアドラの分。
おっちゃんは威勢のいい返事をし、肉串をもらった。
一口かじってみるみる・・・美味い。思わず笑顔になる。


「・・・美味いか?」


俺に微笑みかけてくるおっちゃんに俺は頷くのだった。








その後ティアドラに見つかってボコボコにされたことはもう言わなくていいだろう。







「あの、その・・・今日はどこに泊まるんでしょうか。」


俺は凸凹になった顔を摩りながら尋ねる。


「フフフフフ。当てはあるので問題ない。ついてくるのじゃ。」


ティアドラは先導して歩いていく。
どうやらそれほど怒っていないようだ。
先ほどは周りの人がドン引きするぐらい俺をボコボコにしていたが、俺が彼女の為に買った肉串を献上すると美味そうに頬張り、機嫌を取り戻してくれた。


彼女は城へ続く道の途中を曲がっていく。曲がるとそこは宿場がずらりとならんでいた。


「屋台があると分かりにくいの~。えーと・・・あ、こっちじゃ。」


ティアドラは宿場が立ち並ぶ道を更に進み、一際大きい宿の前で立ち止まる。


「ここじゃ。入るぞ。」


彼女はそういうと中へと入っていく。
中に入る前に宿の看板を見る。
『トキハの宿』
ティアドラはここの店員と知り合いなのだろうか。
俺はそう思いながら彼女に続き、宿の中へ入るのだった。
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