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師弟編
第35話 採取王子の誕生。
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俺達は再びギルドを訪れる。
俺はひどく疲れていた。
街中でも問答無用で手をつないできたナキ。
俺は恥ずかしさで気絶しそうだった。
だがそれもこれで終わりだ。・・・約束は『ギルドに帰るまで』だったしね。
俺は心の中でそう言い訳しながらナキと繋いでいた手を離す。
彼女はしばらくの間名残惜しそうに俺の手を見つめていたが、渋々といった具合に諦めたようだ。
ギルドの中は相変わらずの人の量で職員と思われる人たちが引っ切りなしに他冒険者の対応をしていた。
だがそんな中でも受付をしていたタリアさんは俺達に気づき、元気よく声をかけてくる。
「お帰りなさい!」
彼女の周りには冒険者がたむろしている。・・・ほとんどが男だが。
「タリアさんはモテモテなんですよ?」
ナキが俺に耳打ちしてくる。
ナキ曰く、タリアさんは自身がどれだけ疲れていても、常に元気よく依頼から帰ってきた冒険者を出迎えることをポリシーとしている。
その時の笑顔に思わず惚れてしまう人が後を絶たないらしい。
また、冒険者の相談事も親身になって聞いてくれるため、最年少にも関わらずこのギルドで最も人気があるのだ。
先程俺達は彼女に出迎えてもらった。
なるほど、確かにあの笑顔は可愛かった。
モテるのも頷ける。
俺達はそんな雑談をしながらタリアさんの手が空くタイミングを伺っていた。
「・・・ん?」
俺はふとしたことに気づく。
「どうしたんです?」
ナキは不思議そうに俺を見つめる。
「いや・・・さっきからタリアさんとよく目が合う気がする・・・。」
そういっている間にも彼女と目が合う。
よく見るとこちらに向けて小さく手招きをしているようだった。
何かあったのか?
俺達は目を見合わせて頷くと意を決して彼女の元へ向かう。
「あ、モルデンさんごめんなさい。・・・シリウスさんにナキ様じゃないですか!依頼の進捗はどうですか?」
彼女はそれまで話していた冒険者に謝罪をすると俺の方に向き直る。
モルデンと呼ばれたその冒険者は、俺を一瞥するとこれ見よがしに大きな舌打ちをし、去っていく。
・・・感じ悪いなぁ。
タリアさんは彼が完全に去ったのを確認すると大きなため息を一つ吐き、謝罪する。
「本当に申し訳ありません・・・。お二人を出しに使うような真似をしてしまって・・・。」
どうやらタリアさんは疲れているようだった。
「先程のお方・・・モルデン様とおっしゃいましたっけ?あの方と何かあったのでしょうか?」
ナキが問い掛けるとタリアさんは右手を自身の頭に当てると、少々複雑そうな表情を浮かべる。
「最近アラズマの方からいらした冒険者の方なのですが・・・少々アプローチが長くってですね・・・。」
なるほど、ナンパされて困ってたと言うことか。
先程のモルデンとかいう男・・・見るからにオッサンだったけど・・・タリアさんを狙うなんて勇気あるなぁ。
「先程はアラズマでの武勇伝を延々と聞かされて仕事が手に着かず・・・あぁ、今日も残業決定だ。」
彼女のはがっくりと肩を落とす。
「モテる方はツライですのね。」
ナキはそういうが・・・多分貴女も将来こちら側の人になると思いますよ。
俺達に愚痴ると少しだけ元気が出たのか顔に笑顔が戻る。
「さて、依頼の進捗はどうですか?・・・まさか。」
タリアさんが期待に満ちた眼差しでこちらを見つめる。
俺はそれに頷くと懐から採取したリガンの花、エンカの花を取り出す。
「そのまさかですね。依頼された2品、持ってきましたので。」
少し慣れてきたのか言葉がすらすら言えた。
このままコミュ障が治るといいな。
「あ・・・あ、ありがとうございます!これで買い出しに出なくてよくなります!た、助かったぁ!!」
よっぽど嬉しかったのだろう。
彼女の顔が笑顔で満ちあふれる。
これで彼女の仕事の負担が少しでも減るといいんだけど。
そういえばこの世界には36協定とかあるのかな。
・・・彼女の表情を見るかぎり、たぶんないのだろう。
彼女の大きな声を聞き、周りから沢山の人がなんだなんだと押し寄せてくる。
彼女は恥ずかしそうに今回の俺の活躍を報告した。・・・すると。
「やるじゃねぇか坊主!このクエストはみんな面倒だってやらなかったんだぜ!?それをこの短時間でこなすなんて中々出来るもんじゃねぇ!」
「リガンの花って中々に珍しい種だと思いますがどこで見つけたんです!?」
「タリアだけズルイ!是非とも次は私の管轄の採取依頼を!!」
いろんな人に褒められ、頭をグチャグチャに撫でられる。
皆等しく荒々しかったが・・・不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
・・・これが冒険者という者達なのだろう。
その後俺はこのギルドで『採取王子』とあだ名を付けられることになる。
・・・何故に王子?
報奨金を受け取った俺達はギルドを後にし、帰路につく。
報奨金はナキと綺麗に二分割した。
彼女は最初は固く固辞していたがお互い冒険者となって初めての依頼だ。
報奨金を受けとる喜びを共に分かち合いたいと言ったら受け取ってくれた。
ただその後彼女の気が収まらないといっていたので、後日一緒にご飯を食べに行くことになった。
何故か奢ってもらう俺より彼女の方が喜んでいた。
「今日は楽しかったですね。」
ナキのつぶやきに俺は頷く。
初めての冒険者登録、そして任務。
ティアドラとの生活にはなかった貴重な体験。
そんな非日常的な体験は俺の思い出としてしっかりと刻み込まれた。
俺は今日の出来事を振り返り、笑顔になる。
「ちょっと待ちなよお二人さん。」
そんな笑顔をぶち壊す声。
俺が振り返るとそこには先程タリアさんと話していた・・・モルデンの姿があった。
俺はひどく疲れていた。
街中でも問答無用で手をつないできたナキ。
俺は恥ずかしさで気絶しそうだった。
だがそれもこれで終わりだ。・・・約束は『ギルドに帰るまで』だったしね。
俺は心の中でそう言い訳しながらナキと繋いでいた手を離す。
彼女はしばらくの間名残惜しそうに俺の手を見つめていたが、渋々といった具合に諦めたようだ。
ギルドの中は相変わらずの人の量で職員と思われる人たちが引っ切りなしに他冒険者の対応をしていた。
だがそんな中でも受付をしていたタリアさんは俺達に気づき、元気よく声をかけてくる。
「お帰りなさい!」
彼女の周りには冒険者がたむろしている。・・・ほとんどが男だが。
「タリアさんはモテモテなんですよ?」
ナキが俺に耳打ちしてくる。
ナキ曰く、タリアさんは自身がどれだけ疲れていても、常に元気よく依頼から帰ってきた冒険者を出迎えることをポリシーとしている。
その時の笑顔に思わず惚れてしまう人が後を絶たないらしい。
また、冒険者の相談事も親身になって聞いてくれるため、最年少にも関わらずこのギルドで最も人気があるのだ。
先程俺達は彼女に出迎えてもらった。
なるほど、確かにあの笑顔は可愛かった。
モテるのも頷ける。
俺達はそんな雑談をしながらタリアさんの手が空くタイミングを伺っていた。
「・・・ん?」
俺はふとしたことに気づく。
「どうしたんです?」
ナキは不思議そうに俺を見つめる。
「いや・・・さっきからタリアさんとよく目が合う気がする・・・。」
そういっている間にも彼女と目が合う。
よく見るとこちらに向けて小さく手招きをしているようだった。
何かあったのか?
俺達は目を見合わせて頷くと意を決して彼女の元へ向かう。
「あ、モルデンさんごめんなさい。・・・シリウスさんにナキ様じゃないですか!依頼の進捗はどうですか?」
彼女はそれまで話していた冒険者に謝罪をすると俺の方に向き直る。
モルデンと呼ばれたその冒険者は、俺を一瞥するとこれ見よがしに大きな舌打ちをし、去っていく。
・・・感じ悪いなぁ。
タリアさんは彼が完全に去ったのを確認すると大きなため息を一つ吐き、謝罪する。
「本当に申し訳ありません・・・。お二人を出しに使うような真似をしてしまって・・・。」
どうやらタリアさんは疲れているようだった。
「先程のお方・・・モルデン様とおっしゃいましたっけ?あの方と何かあったのでしょうか?」
ナキが問い掛けるとタリアさんは右手を自身の頭に当てると、少々複雑そうな表情を浮かべる。
「最近アラズマの方からいらした冒険者の方なのですが・・・少々アプローチが長くってですね・・・。」
なるほど、ナンパされて困ってたと言うことか。
先程のモルデンとかいう男・・・見るからにオッサンだったけど・・・タリアさんを狙うなんて勇気あるなぁ。
「先程はアラズマでの武勇伝を延々と聞かされて仕事が手に着かず・・・あぁ、今日も残業決定だ。」
彼女のはがっくりと肩を落とす。
「モテる方はツライですのね。」
ナキはそういうが・・・多分貴女も将来こちら側の人になると思いますよ。
俺達に愚痴ると少しだけ元気が出たのか顔に笑顔が戻る。
「さて、依頼の進捗はどうですか?・・・まさか。」
タリアさんが期待に満ちた眼差しでこちらを見つめる。
俺はそれに頷くと懐から採取したリガンの花、エンカの花を取り出す。
「そのまさかですね。依頼された2品、持ってきましたので。」
少し慣れてきたのか言葉がすらすら言えた。
このままコミュ障が治るといいな。
「あ・・・あ、ありがとうございます!これで買い出しに出なくてよくなります!た、助かったぁ!!」
よっぽど嬉しかったのだろう。
彼女の顔が笑顔で満ちあふれる。
これで彼女の仕事の負担が少しでも減るといいんだけど。
そういえばこの世界には36協定とかあるのかな。
・・・彼女の表情を見るかぎり、たぶんないのだろう。
彼女の大きな声を聞き、周りから沢山の人がなんだなんだと押し寄せてくる。
彼女は恥ずかしそうに今回の俺の活躍を報告した。・・・すると。
「やるじゃねぇか坊主!このクエストはみんな面倒だってやらなかったんだぜ!?それをこの短時間でこなすなんて中々出来るもんじゃねぇ!」
「リガンの花って中々に珍しい種だと思いますがどこで見つけたんです!?」
「タリアだけズルイ!是非とも次は私の管轄の採取依頼を!!」
いろんな人に褒められ、頭をグチャグチャに撫でられる。
皆等しく荒々しかったが・・・不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
・・・これが冒険者という者達なのだろう。
その後俺はこのギルドで『採取王子』とあだ名を付けられることになる。
・・・何故に王子?
報奨金を受け取った俺達はギルドを後にし、帰路につく。
報奨金はナキと綺麗に二分割した。
彼女は最初は固く固辞していたがお互い冒険者となって初めての依頼だ。
報奨金を受けとる喜びを共に分かち合いたいと言ったら受け取ってくれた。
ただその後彼女の気が収まらないといっていたので、後日一緒にご飯を食べに行くことになった。
何故か奢ってもらう俺より彼女の方が喜んでいた。
「今日は楽しかったですね。」
ナキのつぶやきに俺は頷く。
初めての冒険者登録、そして任務。
ティアドラとの生活にはなかった貴重な体験。
そんな非日常的な体験は俺の思い出としてしっかりと刻み込まれた。
俺は今日の出来事を振り返り、笑顔になる。
「ちょっと待ちなよお二人さん。」
そんな笑顔をぶち壊す声。
俺が振り返るとそこには先程タリアさんと話していた・・・モルデンの姿があった。
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