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師弟編
第42話 空気を読めと言われても。
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「ちなみに何時から気づいておったのじゃ?」
少し不思議そうな顔で首を傾げる。
俺は腕を組み、考える。
「最初疑問に思ったのは・・・たしか・・・孤児院でシスターと話しているのを見たとき、かな?」
俺は彼女とシスターが話していたことを思い出す。
彼女たちは昔からの友人であるかのように話していた。
「・・・え?・・・ほ、ほぼ初対面時ではないか!?・・・ワシ、そんなバレるようなヘマ・・・したかのう?」
俺の言葉が意外だったのかティアドラは驚いた表情になる。
「だってあのシスターってもう・・・もう結構な歳だよ?魔法使いしてたのって数10年前とかいってたし、その頃ティアドラと知り合ったとか言ってたじゃん。じゃあティアドラは一体何歳なんだよ。たぶん普通の人間じゃないんだろうなとは思ってたよ。」
他にもいつだったか俺が思っている以上に長生きしているとか言ってたし。
気づく機会は沢山あったように思う。
正直分かりやすすぎだろう。
「まぁ確かに魔族は寿命の長い種族が多いからの。・・・なるほど。」
納得したかのように頷くと再び険しく、真剣な表情となる。
「それで・・・その・・・軽蔑したりしないのか?・・・お主に黙っていたこと、人の敵である魔族であることに。」
その場が張り詰めたような空気になる。
ティアドラはどうやら緊張しているようだった。
「そういわれてもなぁ。黙ってたって態度でバレバレだったし、それに魔族だから軽蔑って言ったって・・・トキハさんにナシュ、ナキだって魔族じゃん。俺の周りに割と魔族がいるんだから今更ティアドラが魔族だからって別に何とも思わないかな?・・・俺は俺が人だからと言う理由のみで無条件に人の味方になるほど・・・愚かじゃあない。」
正直な話、その辺の人の命なんかより、ティアドラやナキの命の方が大事だ。
こういうのなっていうんだっけ?遠くの身内より近くの他人?・・・まぁ他人でもないんだけど。
「それに・・・。」
困惑しているティアドラが口を開きかけたが、俺は言葉を続ける。
「ティアドラはこの世界で唯一、俺に生きる道をくれた大切な人だ。何者かなんて関係ない、もし俺がティアドラが魔族だって理由で危害を与えてくる人がいたら・・・俺が代わりにたたき斬ってやるよ。」
俺は身体を回転させ、曲刀を振る動作をする。
『白銀姫流』基本の攻撃の型だ。
彼女は呆れた表情を浮かべていたが・・・堪え切れなくなったのか笑い声をあげる。
「ふふふふふ・・・。お主が斬る前にワシのアイアンクローが炸裂するじゃろうな。・・・本当に世間知らずな・・・そして最高の弟子じゃの、お主は。」
褒めているのか、それとも馬鹿にしているのか。
それはよく分からなかったが・・・分かったことが一つ。
ティアドラは心から安堵している。
誰が見ても分かるほどの笑みを零していた。
俺から軽蔑されることを恐れていたのだろうか。
・・・そんなことするわけないのにね。
「少し話がそれたようじゃの・・・話を戻そう。さて何から話そうか・・・何から知りたい?」
突然話を振られ困惑する俺。
「え?知りたいこと?・・・えーと、じゃあティアドラの年齢かな。」
そうだ。散々隠してきた彼女の年齢を聞こう。
そう思って尋ねたのだが・・・どうやら彼女にとっては意外だったらしい。
「・・・へ?」
ティアドラらしくない気の抜けた返事とともにアホっぽい顔になる。
「だからティアドラの年齢。今まで聞いたことなかったからさ。何でも教えてくれるんだろ?」
「う、うむ。ワシの年齢はじゃな・・・ってそういうことじゃなかろうが!」
手元にあった紙を丸めて俺の頭を思い切りシバく。
強化されていない俺の頭は彼女の怪力でシバかれると例え紙だとしても相当に痛い。
俺が悶絶していると彼女は息を荒げていた。
「もっとこう・・・『転生の時に俺を襲った魔族はなんだ?』とか『あの勇者達はなんだ?』とかあるじゃろう!あろうことかワシの年齢を聞こうなどと・・・レディに年齢を聞くのは恥としれ!恥と!」
なんかズレてきてませんか?
どうやら彼女に年齢を聞くのはタブーらしい。
自分で長寿だと言っていたくせに。
俺はまだ痛みの止まぬ頭を摩りながら口を開く。
「じゃあ・・・それで。」
「じゃあとはなんじゃじゃあとは!」
俺は何故かしばらくの間彼女から「これだから阿保なのだお主は!」だとか「空気を読め!空気を!」などといった説教を受けた。
説教というより悪口なんだけどね。
俺が懐から取り出した菓子を献上することでようやく彼女の機嫌が戻る。
彼女は俺が再度入れた茶を飲みながらそれを頬張る。
「少し話がそれたようじゃの・・・話を戻そう。さて何から話そうか・・・何から知りたい?」
彼女の中で先程のことは無かったことになったようだ。
俺もそれに便乗して答える。
「えーと・・・俺が女神から加護を貰う時に邪魔した魔族・・・ティアドラは知っていたみたいだけど・・・その魔族は何者なんだ?」
先程の彼女の言ってきた言葉を言っただけなのだが・・・正直な話、気になってはいる。
俺が魔力を持つことなくこの世界に生まれてしまった原因だ。
恨んでいるかと聞かれれば・・・正直全く恨んでいない。
だってそのおかげでティアドラと出会えたわけだし・・・まだ不完全だが自分にしかない力を得ることができた。
「まだ確信は得ておらんのじゃが・・・お主の転生時にそれを邪魔した魔族・・・それは。」
したり顔で勿体振るティアドラ。
少しイラッとしたが俺は言葉の続きを待つ。
「・・・それは?」
すると彼女は急に真剣な顔となる。
「・・・魔族の世界の王、『魔王』じゃ。」
少し不思議そうな顔で首を傾げる。
俺は腕を組み、考える。
「最初疑問に思ったのは・・・たしか・・・孤児院でシスターと話しているのを見たとき、かな?」
俺は彼女とシスターが話していたことを思い出す。
彼女たちは昔からの友人であるかのように話していた。
「・・・え?・・・ほ、ほぼ初対面時ではないか!?・・・ワシ、そんなバレるようなヘマ・・・したかのう?」
俺の言葉が意外だったのかティアドラは驚いた表情になる。
「だってあのシスターってもう・・・もう結構な歳だよ?魔法使いしてたのって数10年前とかいってたし、その頃ティアドラと知り合ったとか言ってたじゃん。じゃあティアドラは一体何歳なんだよ。たぶん普通の人間じゃないんだろうなとは思ってたよ。」
他にもいつだったか俺が思っている以上に長生きしているとか言ってたし。
気づく機会は沢山あったように思う。
正直分かりやすすぎだろう。
「まぁ確かに魔族は寿命の長い種族が多いからの。・・・なるほど。」
納得したかのように頷くと再び険しく、真剣な表情となる。
「それで・・・その・・・軽蔑したりしないのか?・・・お主に黙っていたこと、人の敵である魔族であることに。」
その場が張り詰めたような空気になる。
ティアドラはどうやら緊張しているようだった。
「そういわれてもなぁ。黙ってたって態度でバレバレだったし、それに魔族だから軽蔑って言ったって・・・トキハさんにナシュ、ナキだって魔族じゃん。俺の周りに割と魔族がいるんだから今更ティアドラが魔族だからって別に何とも思わないかな?・・・俺は俺が人だからと言う理由のみで無条件に人の味方になるほど・・・愚かじゃあない。」
正直な話、その辺の人の命なんかより、ティアドラやナキの命の方が大事だ。
こういうのなっていうんだっけ?遠くの身内より近くの他人?・・・まぁ他人でもないんだけど。
「それに・・・。」
困惑しているティアドラが口を開きかけたが、俺は言葉を続ける。
「ティアドラはこの世界で唯一、俺に生きる道をくれた大切な人だ。何者かなんて関係ない、もし俺がティアドラが魔族だって理由で危害を与えてくる人がいたら・・・俺が代わりにたたき斬ってやるよ。」
俺は身体を回転させ、曲刀を振る動作をする。
『白銀姫流』基本の攻撃の型だ。
彼女は呆れた表情を浮かべていたが・・・堪え切れなくなったのか笑い声をあげる。
「ふふふふふ・・・。お主が斬る前にワシのアイアンクローが炸裂するじゃろうな。・・・本当に世間知らずな・・・そして最高の弟子じゃの、お主は。」
褒めているのか、それとも馬鹿にしているのか。
それはよく分からなかったが・・・分かったことが一つ。
ティアドラは心から安堵している。
誰が見ても分かるほどの笑みを零していた。
俺から軽蔑されることを恐れていたのだろうか。
・・・そんなことするわけないのにね。
「少し話がそれたようじゃの・・・話を戻そう。さて何から話そうか・・・何から知りたい?」
突然話を振られ困惑する俺。
「え?知りたいこと?・・・えーと、じゃあティアドラの年齢かな。」
そうだ。散々隠してきた彼女の年齢を聞こう。
そう思って尋ねたのだが・・・どうやら彼女にとっては意外だったらしい。
「・・・へ?」
ティアドラらしくない気の抜けた返事とともにアホっぽい顔になる。
「だからティアドラの年齢。今まで聞いたことなかったからさ。何でも教えてくれるんだろ?」
「う、うむ。ワシの年齢はじゃな・・・ってそういうことじゃなかろうが!」
手元にあった紙を丸めて俺の頭を思い切りシバく。
強化されていない俺の頭は彼女の怪力でシバかれると例え紙だとしても相当に痛い。
俺が悶絶していると彼女は息を荒げていた。
「もっとこう・・・『転生の時に俺を襲った魔族はなんだ?』とか『あの勇者達はなんだ?』とかあるじゃろう!あろうことかワシの年齢を聞こうなどと・・・レディに年齢を聞くのは恥としれ!恥と!」
なんかズレてきてませんか?
どうやら彼女に年齢を聞くのはタブーらしい。
自分で長寿だと言っていたくせに。
俺はまだ痛みの止まぬ頭を摩りながら口を開く。
「じゃあ・・・それで。」
「じゃあとはなんじゃじゃあとは!」
俺は何故かしばらくの間彼女から「これだから阿保なのだお主は!」だとか「空気を読め!空気を!」などといった説教を受けた。
説教というより悪口なんだけどね。
俺が懐から取り出した菓子を献上することでようやく彼女の機嫌が戻る。
彼女は俺が再度入れた茶を飲みながらそれを頬張る。
「少し話がそれたようじゃの・・・話を戻そう。さて何から話そうか・・・何から知りたい?」
彼女の中で先程のことは無かったことになったようだ。
俺もそれに便乗して答える。
「えーと・・・俺が女神から加護を貰う時に邪魔した魔族・・・ティアドラは知っていたみたいだけど・・・その魔族は何者なんだ?」
先程の彼女の言ってきた言葉を言っただけなのだが・・・正直な話、気になってはいる。
俺が魔力を持つことなくこの世界に生まれてしまった原因だ。
恨んでいるかと聞かれれば・・・正直全く恨んでいない。
だってそのおかげでティアドラと出会えたわけだし・・・まだ不完全だが自分にしかない力を得ることができた。
「まだ確信は得ておらんのじゃが・・・お主の転生時にそれを邪魔した魔族・・・それは。」
したり顔で勿体振るティアドラ。
少しイラッとしたが俺は言葉の続きを待つ。
「・・・それは?」
すると彼女は急に真剣な顔となる。
「・・・魔族の世界の王、『魔王』じゃ。」
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