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第1章 王家と公爵家
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しおりを挟む「メアリー早く行きましょう!」
少し慌てたマリアがメアリーを呼ぶ
「マリア様、そんな慌てなくても
レオン様は逃げたりしませんよ」
「最初から見たいもの!」
「わかりました。参りましょうか」
メイドに教えられた東館は昨日
自分にも用意された部屋へ帰る途中
廊下を巡回していたレオン様の側近の方に
偶然会い、場所を教えてもらった
練習場の上にあるテラスが近づいてきた
キン!キン!と何かが当たる音がした
大きく開かれたテラスには側近の方がいた
「マリア様おはようございます
どうぞこちらに座ってご覧になっでください」
そう言ってテラスにある小さなテーブルと椅子が
用意されていた。ちゃんと飲み物も用意して
「レオン様にはお伝えしておりませんので
お気づきになられるまでなるべく静かに
見てあげてください」
側近の人は口に人差し指を当てながら
そう言われた
マリア様もうんうんと首を縦に振った
ーーーーーーーーー
「エド、今日は勝つ!」
騎士団長に練習用の剣を向ける
「殿下ぁ、そろそろ諦めて降参しません?」
「しない!!お前に勝てなきゃ
この団の指揮を任せてもらえないだろ!」
「大丈夫ですって、殿下は十分強いですよ
俺の次に」
にやっと笑う騎士団長のエド
「その顔がいつも気にいらないんだよ!
少しは手加減でものを知らないのか!」
「え、手加減してもいいんですか~?」
「しなくていい!!剣を持て、ランス卿!」
「ほんとわがままな殿下だ、剣をくれ」
団員に剣を渡されるエド
「手加減なんかしたら許さんからな」
「いつ、そんなマネを
王室の聖騎士である俺がしましたか」
ーーーーーーーーーー
「マリア様ちょっと驚いてますか?」
ぽかーんと口を開け、固まるマリア
「マリア様、お口が開いてますよ」
メアリーがぽんっと肩を叩いた
はっと体を揺らすマリア
「マリア様が知ったレオン様と違く見えますか?」
そばに立つ側近にそう言われた
「あ、はい‥」
「あれも本当のレオン様ですよ
まぁあんな言い方をするのは
ランス卿にだけなので安心してください
城の他の者にはとても信頼されるほど
優しいですからね」
昨日メイドに言われた事と同じ事を言われたのを
思い出した
「レオン様は将来あのランス卿が率いる
王室第一騎士団の上に立つ事になります
その為には現騎士団団長を負かす必要があるのです
ランス卿はこの国、いえ、この世の誰よりも
強い騎士ですから。」
そんな凄い人と戦えるレオン様も凄いんじゃ‥
「あ、レオン様の名誉の為に申し上げておきますが
彼にだけまだ余裕を持って勝てていないだけで
ずっと負けているわけじゃありませんよ」
マリアの考えていたことが
もしや口に出ていたのかと思うくらい
レオンをフォローするのが早い
「レオン様は第一以外の団員も鍛え上げてますから
またそちらも機会があれば是非」
キーーーーン!!と突然
大きな音が鳴った
「え、何の音⁈」
音のした方を向くと剣を下に突き刺し
片膝を立てているレオン様がいた
「お怪我をされたんじゃっ‼︎」
マリアは勢いよく立ち上がった
「大丈夫ですよ、ランス卿の手元を見てください」
そう言われ対するランスの方を見た
「剣が‥ない‥?」
ランス卿は立ってはいるもの手元には剣がなく
しばらくして額に手を当てていた
「今日はレオン様の勝ちですね。
マリア様が居たからですかね」
思わず側近の人の顔を見てしまった
ーーーーー
「まさか剣をはじかれるとは思いませんでした
今日は殿下の勝ちですね」
「嬉しくない‥」
ゆっくりと立ち上がるレオン
バッと顔を上げ、ランスを睨んだ
「なんでお前は汗かいてないんだよ!!
息乱れてないし!!」
ランスは涼しげな顔をしていた
「‥体力の‥差?」
とぼけた顔をしたランスに
余計に苛立つレオン
「しかも途中、よそ見したな」
「そんなの見る暇があったんですね、殿下」
「お前に言われたくない!
手加減するなと言っただろ!」
ランスにギャーギャーと騒ぐレオン
「また言い合ってますね‥フフ
あんな楽しそうにされるレオン様が
見れて私は嬉しいです」
優しい目でレオンを見つめるマリア
「聞いてるのか!」
「殿下、あれ気になりません?」
ランスは練習場の少し上を指差した
「え、あっちにいるのはいつもいる俺の側近だが‥?」
お前も良く知ってるだろと言う顔をした
「カイルの隣ですよ、殿下」
そう言われ側近のいるテラスに目を向けた
「マリア‥?」
手にした剣を落とした
「え、なんで‥いる‥?」
呆然と立ち尽くすレオンを見たランスは
プッと笑いを抑えきれなかった
「殿下が‥あの殿下が動揺してる‥ククッ」
アハハと笑うランス
「団長‥笑いすぎですよ‥」
そばにいた他の団員達もちょっと笑っているのが
わかる、、、、、、少し冷静になり
(よし、あとで殺そう、こいつら)
「すごく笑ってますね、、」
笑い声が聞こえてくる
「‥‥そうですね(アイツらあとでえらい目に合うぞ)」
はぁと小さな溜息を吐く、カイルだった
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