Someday small seeds will bloom‥〜幼き恋〜

櫻井 優

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第2章     学舎と友

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時間が過ぎるのも早く、あっという間に夜になった



玄関のベルが鳴り、使用人がドアを開けた



開けてくれた使用人にありがとうとお礼を言った
レオンはとても紳士的だった



「お邪魔します、公爵、公爵夫人」


ロビーで出迎えた家主に挨拶をするレオン



「マリア、来たよ」


サラッとした髪を揺らしながら
マリアを見つめたレオンにマリアは頬を染めた








夕食の皿が次々と運ばれ、レオンは公爵や夫人
アレンにも他愛もない会話をしていた
それを静かに一口ずつ料理を口に運びながら
マリアは3人の会話を聞いていた


「(レオン様とお話をしたいけど
 お父様との会話は邪魔しちゃいけないし)」


マリアの横に座って品良く食事を進めていくレオン


「(お母様も楽しそうにしてるし‥)」



黙々と食べることしかできない自分のお皿が
空になったのに気づいた



「(あ、なくなっちゃった)」


それに気づいたレオンが


「マリア、僕まだお腹空いてるから
 もう一皿貰うつもりだけどマリアも半分食べる?」


「え、」


レオンにそう言われ、父と母の方をちらっと見た



「レオンとマリアにおかわりを持って来てあげてくれ
 アレンはどうする?」

「じゃあ俺もマリアの半分もらおうかな」



何気ない気遣いに嬉しそうにするマリア








食事を終えると父親の配慮で
レオンとマリアは公爵邸で1番広いバルコニーで
食後のデザートを2人で話しながら食べた







ーーーーーーーーー


 


「今日はクラスの子とお話しできた?」


「はい、レイチェルと言う女の子が1番先に
 話しかけてきてくれて」


「レイチェル?レイチェル‥
 あ、クライス伯爵の御令嬢かな?」


マリアは知ってるの?と言う顔でレオンを見た


「前にね、少し伯爵と話した時に紹介されてね」


「そうなんですね、赤毛の女の子で可愛いんです」


「ご夫人が赤毛だったはずだよ」


さらりと答えるレオンにマリアは


「レオン様はよく覚えてますね」

 
と言った


「そう?まぁ人の顔や名前を覚えるのは
 得意な方かな?王室には色んな人が出入りするし」



レオン様はやっぱり何でも知ってるし
何をしても優秀で、バルコニーから漏れる光と
夜の光に照らされる横顔はとても美しかった



「そうだマリアに渡したい物があるって
 僕、言っていたよね」

「あ、はい」

いつの間に持っていたのかレオンとソファの
肘掛けの間から中ぐらいの袋を出してきた



「はい、これ入学と‥それに遅くなってしまったけど
 マリアの13歳の誕生日のお祝い」


袋の中からしっかりとした箱にリボンが巻かれ
箱の表面には


"Happy 13th birthday Maria"
マリア13歳の誕生日おめでとう

と記入されていた



「え、これ‥」

戸惑いながらもレオンの顔を見つめた


「マリア、開けてみて」


そう言われ、少し躊躇しながらも箱を開けた


中には
ブルーとグリーンの宝石が付いた2つのネックレス
その2つのネックレスの間には
小ぶりのダイヤモンドが付いたピアスがあった


「わぁ綺麗‥」

と呟いたマリア


「ブルーの方を手にとってみて」


言われた通りにブルーの宝石が付いたネックレス
を宙に浮かべた

するとマリア目が見開き
大きな薄緑色をした瞳が輝いた


「レオン様の瞳みたいですね、これ」


レオンの顔の横に垂らしてそう言った


「よくわかったね‥それちょっと僕に貸して」

「はい」

「マリア少し後ろの髪を持ち上げて後ろ向いて」


素直に聞き、後ろを向いたマリア
すると上げた手の間からスッと手が伸びて
首元にひんやりとした感触が伝わってきた


「もういいよ」


前に向き直した時に箱に入っていた
もう一つのネックレスをレオンが取った


「これは君の瞳の色、実際はもっと綺麗だけどね」


マリアの付けているネックレスより少し長めで
ブルーは丸い宝石でグリーンは縦に長く作られていた


「僕にも付けてくれる?」

そうマリアに言って渡した


レオンは付けていたタイを緩めシャツの
第1と第2のボタンを外し後ろを向いた


「‥はい」

マリアはちょこんとソファに両膝を立てて
それでも自分より高いレオンの背中を眺めながら
同じように付けた


「ありがとう」



緩めたシャツとネクタイの間から
見えるネックレスとそのレオンの姿に
顔を真っ赤にするマリア


慌てて顔を隠すマリア



「え、どうしたの⁉︎」

「な、ななんでもないです!」


と言うマリア


「(やだぁ‥っ!あのレオン様はなにっ‥
  私が恥ずかしいよ‥っ)」



まだ色気というものを知らなかったマリアは
レオンが帰るまで目を合わせられなくなった







ーーーーーーーーー



"メアリー、これ付けたままじゃダメかな?"

"大丈夫だと思いますよ、制服はリボンで
 隠せますから見られる心配はありませんよ
    湯浴みも問題ないですね"

"じゃあもう外さない!"


るんるんとしながらベッドに入るマリア





Happy 13th birthday Maria

と書かれた箱とダイヤモンドのピアスは
大切にマリアのドレッサーの引き出しに
置かれていた





「(あのピアスはレオンと一緒の時につけたいな‥)」



そう思いながら深い眠りに入った








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