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第2章 学舎と友
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しおりを挟むマリアがユース・カレッジ校に入って2ヶ月
だんだんと環境にも授業にも慣れ
仲良くなったレイチェルともう1人仲良くなった
アイネ・ブラウンと次の授業に向かう為
話しながら廊下を歩いていた
「マリア、次の授業の課題できた?」
「うん、でもちょっと難しかったね」
「私もお兄様に手伝ってもらってできた」
よくいる普通の子達のような会話をしていた
するとレイチェルが何かを見つけたようで
「あの上級生の集まりなんだろね」
そう言われ広い中庭の方を見た
濃い緑色の制服を着た何人かの令嬢の中心には
1人だけ色の違う制服を着た人がいた
「あ、あのリボンの色マリアと一緒だよ」
濃い紫色の制服に金色のリボン
「私知ってる、サエルシア公爵家のローズ様だよ」
「ローズ様‥?」
マリアはサエルシア公爵家の名は知っていたけど
実際には会った事がなかった
長く真っ直ぐな黒髪に大人な雰囲気のローズ
「マリアは会ったことないの?」
「うん、私あまりパーティーとか行かなかったから」
「そっか、でもなんか派手だね~、あそこ」
レイチェルがそう言ってまた中庭に目線を向けた
「「あ」」
マリアの両端にいたレイチェルとアイネが
同時に声を上げた
中庭を挟んでいた校舎から談笑をしながら
出てきたレオンとアレン、そしてもう1人いた
「もっと派手な人達がいた」
「ちょっとアイネ、そんな事言わない」
マリアは2人の会話が面白くて笑った
中庭にいたローズにレオン達に気づいた令嬢達が
何かを言ってローズはレオン達の方を見た
少し遠い距離にいるマリア達は何を言っているのか
聞こえなかった
ローズは少し駆け足でレオンに近づいていた
名前を呼ばれたのかレオンは振り返り何かを言った
遠くから見たレオンとローズは背丈も良い2人の姿に
少し胸がきゅっとするマリア
そう感じた時、兄と目が合った気がした
アレンはレオンの肩に手を置き、何かを言いながら
私達のいる方に手を伸ばした
「マリアのお兄様、こっちに気づいた‥?」
「そうみたい‥」
レオンはパッとローズから顔をそらし
何かを言ってその場を離れた
長い廊下を早歩きなのか
どんどん近づいてくるレオン達
「マリアー!」
と笑顔で手を振りながら近づいてくるアレン
あっという間に目の前にきた3人
すると流れるようにアレンがマリアの両頬を包み込み
「今日も可愛いよ。俺のマリア」
と笑顔で言ったアレンを見たレイチェルとアイネは
驚いた顔をした
「お兄様‥」
マリアはいつもの事だからと思っていたら
「アレン、マリアの友達がびっくりしてる」
レオンがアレンの肩に手を置いて言う
「やぁ君達がマリアと友達になってくれた子だね」
アレンは2人に笑顔で言った
レイチェルとアイネはアレンのその笑顔に
ちょっと照れ気味に
「はい」と言った
アレンは両手をマリアから離し離れた
「マリア、校舎内でこうやって会うのは初めてだね
教室を移動してたところ?」
レオンがそう話しかけてきた
「はい、まだ授業までは時間があるのですが
早めに行って準備しておこうと思いまして」
「そっか、もう校舎は慣れた?」
「少しずつですが‥あ!こちらのアイネが校舎内を
よく覚えてていつも案内してもらってて‥」
マリアが横にいたアイネを見た
それに釣られてレオンもアイネを見た
「そう、それはありがとう」
レオンがにこっと笑う
「名前はなんて言うの?」
とアイネに言った
アイネはまさか自分に声をかけてくれるとは
思わなくて、緊張しながら
「ア、アイネ・ブラウンと申します。王太子様」
と一礼をした
「あぁブラウン伯爵の!
ご両親には挨拶した事あるよ」
「はい」
「そして君はレイチェル嬢だったかな?」
え、と顔を上げたレイチェル
「マリアに教えてもらったから知ってるよ」
レイチェルはマリアを見た
「初めて私に話しかけてくれたのが
レイチェルだって事をこの前レオン様に話したの」
「そうなの?そっかー‥」
納得したレイチェル
「改めまして、王太子様
レイチェル・クライスと申します」
と一礼をした
「ご丁寧にありがとう。じゃあ僕の方も‥。
僕はレオン・D・フィシャール
それと知ってると思うけど隣にいるのが
マリアの兄でアレン・ベルナール」
レオンは後ろをちょっと振り返ると
もう1人の長身で黒髪にキリっとした顔をした人が
レオンの隣に並んだ
「ナイル・ガルシア。
マリアもナイルに会うのは初めてだよね?」
「はい」
「僕の従兄弟だよ、ナイルは」
そう言ってにこっとするレオン
「レオン、もうすぐ講義が始まるぞ」
とナイルが言った
「あ、そうだ!マリア達も引き止めて悪かったね
じゃあマリアまた帰りに」
手を軽く振り離れて行くレオンの後ろで
「え、やだ!マリア~~」
アレンを引っ張り連れて行くナイル
「‥レオン王太子様をあんな近くで初めて見た‥」
「私も‥」
2人は去って行く3人をボーっと眺めながら
教室に着いても2人のレオンに対する興奮は
しばらく止まなかった
ーーーーーーーーー
"王太子様の婚約者がマリアなのは知ったけど
あんな風にお話ししてくれるなんて思わなかった"
"マリアはよくあんなイケメンを前に普通に
できてるのがすごい‥お兄様で慣れてるからかな"
"べ、別に慣れてはいないよ!レオン様は優しいから‥"
マリアはレオンが改めてこの国の王太子なのだと
そして自分の婚約者だと自覚して少し照れた。
ーーーーーーーー
自分から呆気なく去るレオンを見つめながら
反対側の校舎の廊下でレオン達が
女の子3人の前に立ち止まるのが見えた
「ローズ様、あの制服の色は今年度の新入生ですね」
ローズの周りにいた女子の1人がそう言った
「えぇ」
ローズはアレンが触れる真ん中にいた女の子を
見ていた。
「(ベルナール公爵家の‥)」
次にレオンが何か話しかけいるのが見える
多分あの子だけにしかしない顔‥
「ローズ様のがレオン様とお似合いだと
私達は思ってますからね!」
周りの子達はそう口々に騒ぐ
「そう言うことは口にするものではないですよ」
ローズが小さく呟き、レオン達を横目に校舎に
入って行った
「(‥公爵家でもベルナール家のがサエルシアより
格が上なのはよく知ってる‥でも‥)」
ローズはぎゅっと拳を握りしめた
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