Someday small seeds will bloom‥〜幼き恋〜

櫻井 優

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第2章     学舎と友

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「カレッジが主催のパーティーですか?」

マリアは休日にレオンに誘われ
王室の季節の花が咲く庭園で紅茶を飲みながら
レオンの言葉を聞いた

「そう。毎年1回だけ大きなパーティーが開かれて
 たぶん新入生の歓迎会も含められているとは
 思うんだけど‥それにマリアは参加するの?」


「初めて聞いたので知りませんでした。
 レオン様はそのパーティーに参加した事は?」


レオンはちょっと気まずそうに

「一度だけ‥入学した年にね」

「そうなんですね」

「半ば強制的に参加させられて。
 あまり乗り気ではなかったよ」

ハハ‥と笑うレオン

「じゃあ今年はレオン様は不参加ですか?」

マリアは真っ直ぐな目をした


「実はマリアが行くなら僕も行こうかな‥とは
 思ってて‥だからマリアはどうするのかなって」

頬を指で掻くレオン


「レオン様が行くなら私も行きたいです」

マリアはそう言って笑う



「じゃあ行こうか。ダンスも踊りたい人しかしないし
 そんな堅いパーティーじゃないから
 その雰囲気だけでも楽しめたら」

レオンはちょっと嬉しそうに笑う


「お兄様も行くのかな‥?」

「アレンもマリアが行くなら行くよ
 あのパーティーは貴族同士の交流会でもあるから」


するとレオンは突然カイルに何か耳打ちした

マリアはどうしたんだろと思いメアリーを見た


メアリーはカイルを見ていた。するとカイルが

「メアリーさん、少しお手伝いしていただきたい事が」

とメアリーに話しかけてきた


「はい。お手伝い致します
 マリア様、レオン様とゆっくりしていてください」


そう言ってカイルと一緒に王室の方へ歩いて行った




「マリア‥手を触ってもいい?」

2人の姿が見えなくなると
レオンが両手を前に出してきた

「はい」

マリアは差し出されたレオンの手に自分の手を重ねた


重ねた手をレオンは優しく包み込んだ


「(レオン様の手、大きい‥)」


「マリアは手がすごく小さいね。
 僕の手に収まってしまう」

「レオン様の手は大きくて温かいですね‥」


そう笑うマリアはこの庭園にある花の様だった


「マリア、ちょっと歩こうか」

「はい」

レオンとマリアは手を繋いで庭園の中を
ゆっくり歩いて行く


「ここのお花達はレオン様の執務室に
 よく飾ってあるのと似ていますね」

「あぁ、庭師達とメイド達がよく喋っているのを
 見かけるからメイド達が飾ってくれてるんだよ」

「そうなんですね!」

「マリアは花が好き?」

「はい、お家にも庭園があるのでよくメアリー達と
 お花を摘んでお部屋に持って行ったりしてて」


嬉しそうに話すマリアが可愛かった


「じゃあ今はまだ僕しか入れないけど
 いつか王室で1番綺麗な花を見せてあげるね」

「レオン様しか入れない場所?」

「マリア、あそこの温室が見える?」

レオンが指を指す場所を見た
大きな鳥籠の様なガラス張りの建物


「あれは王妃殿下の温室なんだよ。
 決まった人しか入れないけど
 マリアにいつか見せてあげるね」


多分それは王妃様から次の王妃に受け継がれる
特別な温室。マリアはその意味がわかって
嬉しそうに笑った


レオンはそのマリアの姿に


「マリア‥少しだけお願いがあるんだ」

と言った

「お願いですか?」

「あぁ」

「私が出来る事なら‥」

マリアは真剣な目をしたレオンを見つめた



「君にキスをしてもいい?」

「え、」

と驚いたけど、レオンの目は本気だと思い

「はい‥」

と消え入りそうな声で返事をした


「ありがとう‥マリア」


と言って両頬にレオンの手が触れた

緊張と触れられた時にビクッと体が小さくはねた


ぎゅっと目を閉じたマリアの姿にレオンはクスっと笑う


「今はここで我慢しとくよ」

そう言ってレオンの唇が触れたのは
マリアの赤く染まった柔らかい肌だった


「レオン‥さま‥?」

「なに?マリアが思ってたのとは違った?」

そう笑うレオンにマリアは顔を赤くし
うるっと目が輝いていた


「レオン様のいじわる‥‥です‥‥!」

「マリア、僕はしないとは言っていないよ?」

クスクス笑うレオンにマリアは顔を上げた
するとレオンはマリアの唇に自分の人差し指を
触れさせて

「次願いする時は‥ここにね、マリア」


その指をレオンは自分の唇にも触れた


そのレオンのした行為がマリアには
とても恥ずかしかった




ーーーーーーーーー





翌日のカレッジのカフェでお昼を食べている時に
レイチェルとアイネにパーティーに参加する事を言った


「じゃあ王太子様にエスコートしてもらうんだね!」

レイチェルが自分の事のようにウキウキしていた

「レイチェル当たり前じゃない
 マリアは王太子様としかそういう場には行かないよ」

「あ、それもそうね」

マリアは2人の会話に疑問に思う

「普通のパーティー‥だよね?」

レイチェルとアイネはマリアを見た

「え、マリア聞いていないの?」

「何を?」

「あのパーティーはね、言わば‥

 
 交流会という名の貴族のお見合いよ」

レイチェルがマリアとアイネにだけ聞こえる声で言った


マリアは驚いて声が出そうだったのを
両手で押さえた

「やっぱり知らなかったんだね。
 まぁマリアには王太子様がいるし
 必要ない事だもん。でもお食事も出るから
 それ目的で行く人もいるからね、私達みたいに」

ねー!とアイネとレイチェルはにこっと笑う

「え、でもレオン様強制的に連れてかれた事あるって」

「うーん。それは王族の人だからよくわからないけど
 話題にはなるよね‥」

うんうんとアイネは頷く


「でも今年からはマリアがいるから
 参加してもマリアのそばに居てくれるよ」


「そうだと‥いいな」


マリアは昨日の出来事を思い出し
2人にわからないように嬉しく笑た



ーーーーーーーー



"マリアとアイネは新しいドレス作った?"

"私は作って当日くる予定、マリアは?"

"私はレオン様が用意して下さるって言ってた"





さすが王太子様ーと言う2人だった




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