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1章
プロローグ
しおりを挟む私の名前は風見鈴。本と乙女ゲームがとても大好きな一人の少女だった。ある日お風呂に入ってうたた寝したところ……
見知らぬ部屋にいた。全裸で。ここ大事、全裸で。
「こ、ここどこ!?」
驚き声を上げたのは当たり前だと思いたい……もしかして私うたた寝してる間に攫われてしまった……?全裸で?全裸で?なぜ全裸?あ、お風呂に入ってたからですか!
などと一人で全裸の謎を解決してもこの部屋の謎はわかることはなかった。
「フォッフォッフォッ!とても驚いておるのぉ!面白いわい」
目の前に現れたじじ……おじいさん。聞いてほしい。じじ……って言おうとしたらとても睨まれたの。怖かったからおじいさんね。よし!おじいさん!
「貴様がわしのことをじじいと言ったのは許してやろう。わし、優しいからのぉ」
「アッ、ハイ。アリガトウゴザイマス」
まだ言いかけだったんだけど……と思ったが確かに初対面でじじいとか失礼だもんね!だが自分で自分のことを優しいとかいう……?流石おじいさん!ポジティブ!って思おう。思うことにしとこう。
「で、本題入らせてもらうぞい。君、お風呂で死んだからとりあえず転生ね」
「へっ?」
天声……転生??
「ひゃっふうううう!」
もしや、私がやってきた乙女ゲームたちのどれかに行ける!?やったー!
と喜んだ私は悪くないだろう。
「フォッフォッフォッ!そんなに嬉しいのか!転生させる甲斐があるわ!」
「ありがとうございます!おじいさん!いや、神様!!」
興奮して息が荒くなる私の頭を撫でる神様。その手は孫を撫でるおじいさん並に優しかった。
「ただし、その世界に降りたらわしらはほとんど手助けができなくなる。それでもよいか?」
「もちろん!がんばります!」
何度も読んだよこの展開!悪役令嬢かなぁ?それともヒロインかなぁ……!どちらにしても楽しみ!
「フォッフォッフォッ!ではな、鈴」
そう言うと辺りが光に包まれ、眠気が襲い、私はこれからの展開を想像しながら目を閉じたのだった。
「あう……」
陽の光が私のベッドに差し込み、私はその眩しさに目を開ける。
「あら、目が覚めたのね。リン。私のかわいい子」
その人は優しく私を抱っこする。
「おかあしゃま?」
「あぁ……本当によかったわ……3日も高熱を出していたのよ。もうすぐお父様もくるわ」
そう言ってお母さまは微笑む。おお……すごい包容力…
そうボーッと考えながらお母様の腕の中で私はお父様を待つ。と思ったかぁ!近くに!鏡がありました!
「おかあしゃま!あっち!あっちに行きたいです!」
私は鏡に手を伸ばす。
「あら、鏡が気になるの?いいわよ。一緒に行きましょう」
やったー!ナイスお母様!私はどんなゲームに転生したのか、または悪役令嬢かヒロインか。胸をおどらせながら鏡の前に連れて行ってもらった。ちなみにお母様は美人さんでした!
「へっ……」
鏡の前に連れて行ってもらった私は驚愕する。小さい頃の私がいたのだ。the・日本人の私が……何も変わっていない。いや、身長は縮んでいる。あとちょっと肌がきれいだ。
どの乙女ゲームのヒロイン、悪役令嬢にも似ても似つかない顔。
「キュウ……」
私は現実逃避するように意識を手放した。
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