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覚醒編
運命の時に身を委ねよ 02
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赤く光る火の玉のような目が通りすぎると、背中を強く押された。
行け、という意味なのか、よく分からない。でも、行かなきゃいけないような気がした。
荒い息を吐きながら、走り出す。
でも、逃げていいのか分からなかった。
だけど、、やはり逃げちゃダメだと思った。校門まで逃げていた龍輝は、足を止める。
「にげちゃ…… だめだ……」
震える四肢をどうにかしなければ、はやく、戻ならければ。
助けてくれたのが、龍一じゃないか。あの時のように。
ーー 家族がいうが、いまいが、竜牙は竜牙だろう?
家族がいなくて、高校でも上手くやれなくて。そんな時、龍一が言ってくれた一言
「行かなきゃ!!」
勇気を振り絞って、走り出した。
その瞬間、学校が一瞬にして爆発する。
「うわぁぁぁぁああ!!」
爆風が起きて、龍輝の体は簡単に吹き飛ばされた。
学校の植木に、体が激突する。その痛みに、龍輝は大きく咳き込んだ。目の前に、誰かがいる。
「許せ……」
「え?」
漆黒のマントで身を包んだ男は、何かを呟くと、龍輝の首を鷲掴みにした。
「やめろ! 黒龍!!」
遠くから、龍一の声が聞こえる。
「あっ…… ぐっ……かはっ!」
首を締めてくる手を、力のない手で掴む。
苦しい。やめて、誰か。助けて。
「いいぞ、黒龍。その細い首をへし折ってしまえ」
遠くから、誰かがそう、黒龍に指示するのが分かる。
「…… やめ……て……」
一筋の涙が、龍輝の身に付ける金色の宝玉に触れた。
突如として、金色の光が放たれた。
ーーーーーーーーーーーー
「……この光は……」
突然の光に、身構えられなかった黒龍は龍輝から離れる。
それに気付いた龍一がすぐさま駆け寄ろうとした時、龍輝を優しく抱える、純白のストールを首にまき、天女の羽衣をまとい、純白の袖のない服を纏う男が立っていた。
「黒龍、この裏切り者が!!」
怒りの形相で、男。否、五龍帝王の一人、白帝白龍王。またの名を、白龍が、その姿を現していた。
「黒龍よ、我らが使命を忘れたとは言わせんぞ」
「…………」
黒龍。またの名を、黒帝黒龍王。裏切り者と言われる彼は本当に、裏切ったというのか。竜宮におられる、龍神を。
「まぁ良い。貴様の処分は後にしよう。まずは、貴様からだ」
白龍は、龍輝を龍一に渡すと、その視線を輝将の奥にいる八岐大蛇に向けられた。
八岐大蛇は小さく、笑う。それは、嘲りの笑み。
「やってみるがいい! 白龍王!!」
大きく、笑い声を上げながら、八岐大蛇は白龍を迎え撃つ
「龍輝! 輝将!!」
龍一の叫び声に、ハッと輝将は我に返った。
「すまん! すぐに行く!!」
呼ばれた輝将はすぐさま動き、龍輝へと駆け寄った。
黒龍によってつけられた傷は浅いが、八岐大蛇の攻撃の巻き添えになった傷は酷く、裂傷になっていた。
肉が裂け、皮が剥けていた。それを癒すために、優しく治癒を施す。
瞬間、激しい光が発せられた。輝将が振り返ると、白龍と八岐大蛇が戦っている。
八岐大蛇が縦横無尽に、空中に漂う赤い目の玉を動かし、赤い閃光を出す。それをやはり、縦横無尽に避けながら、それでも少し、怪我を負いながら、白龍は八岐大蛇に攻撃する。
すると、赤い衣をまとった。子供のような龍が現れた。
「早く! ここは、一旦、退くぜ!!」
多分、赤帝赤龍王だろう。その子供に言われるまま。龍一と輝将は龍輝を連れ、走り出した。
行け、という意味なのか、よく分からない。でも、行かなきゃいけないような気がした。
荒い息を吐きながら、走り出す。
でも、逃げていいのか分からなかった。
だけど、、やはり逃げちゃダメだと思った。校門まで逃げていた龍輝は、足を止める。
「にげちゃ…… だめだ……」
震える四肢をどうにかしなければ、はやく、戻ならければ。
助けてくれたのが、龍一じゃないか。あの時のように。
ーー 家族がいうが、いまいが、竜牙は竜牙だろう?
家族がいなくて、高校でも上手くやれなくて。そんな時、龍一が言ってくれた一言
「行かなきゃ!!」
勇気を振り絞って、走り出した。
その瞬間、学校が一瞬にして爆発する。
「うわぁぁぁぁああ!!」
爆風が起きて、龍輝の体は簡単に吹き飛ばされた。
学校の植木に、体が激突する。その痛みに、龍輝は大きく咳き込んだ。目の前に、誰かがいる。
「許せ……」
「え?」
漆黒のマントで身を包んだ男は、何かを呟くと、龍輝の首を鷲掴みにした。
「やめろ! 黒龍!!」
遠くから、龍一の声が聞こえる。
「あっ…… ぐっ……かはっ!」
首を締めてくる手を、力のない手で掴む。
苦しい。やめて、誰か。助けて。
「いいぞ、黒龍。その細い首をへし折ってしまえ」
遠くから、誰かがそう、黒龍に指示するのが分かる。
「…… やめ……て……」
一筋の涙が、龍輝の身に付ける金色の宝玉に触れた。
突如として、金色の光が放たれた。
ーーーーーーーーーーーー
「……この光は……」
突然の光に、身構えられなかった黒龍は龍輝から離れる。
それに気付いた龍一がすぐさま駆け寄ろうとした時、龍輝を優しく抱える、純白のストールを首にまき、天女の羽衣をまとい、純白の袖のない服を纏う男が立っていた。
「黒龍、この裏切り者が!!」
怒りの形相で、男。否、五龍帝王の一人、白帝白龍王。またの名を、白龍が、その姿を現していた。
「黒龍よ、我らが使命を忘れたとは言わせんぞ」
「…………」
黒龍。またの名を、黒帝黒龍王。裏切り者と言われる彼は本当に、裏切ったというのか。竜宮におられる、龍神を。
「まぁ良い。貴様の処分は後にしよう。まずは、貴様からだ」
白龍は、龍輝を龍一に渡すと、その視線を輝将の奥にいる八岐大蛇に向けられた。
八岐大蛇は小さく、笑う。それは、嘲りの笑み。
「やってみるがいい! 白龍王!!」
大きく、笑い声を上げながら、八岐大蛇は白龍を迎え撃つ
「龍輝! 輝将!!」
龍一の叫び声に、ハッと輝将は我に返った。
「すまん! すぐに行く!!」
呼ばれた輝将はすぐさま動き、龍輝へと駆け寄った。
黒龍によってつけられた傷は浅いが、八岐大蛇の攻撃の巻き添えになった傷は酷く、裂傷になっていた。
肉が裂け、皮が剥けていた。それを癒すために、優しく治癒を施す。
瞬間、激しい光が発せられた。輝将が振り返ると、白龍と八岐大蛇が戦っている。
八岐大蛇が縦横無尽に、空中に漂う赤い目の玉を動かし、赤い閃光を出す。それをやはり、縦横無尽に避けながら、それでも少し、怪我を負いながら、白龍は八岐大蛇に攻撃する。
すると、赤い衣をまとった。子供のような龍が現れた。
「早く! ここは、一旦、退くぜ!!」
多分、赤帝赤龍王だろう。その子供に言われるまま。龍一と輝将は龍輝を連れ、走り出した。
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