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一章 〜雑魚魔物使い〜
六話 意外と知らない『キミ』の事
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バシッ、バシッ
ルーのジャブが掌に当たり、小気味良い音を周囲に響かせる。
最近になってから漸く彼女が手加減を覚えてくれたお陰で、俺を正面に据えた対人練習が可能となったのだ。
これで技術的な面において細かい指導が出来る……まあ、ルーの戦闘能力ならこのままでも通用するのかもしれないが、それでもやっておいて損は無いはずだ。
……グニャリ
「……ん?」
ルーの拳をいなすために後退した時、ぬかるみに足を突っ込んでしまった……いや違った。
プチ男を踏んでしまっていた。
「あっ、ごめん!大丈夫か?」
そう問い掛けるも、プチ男は気にしている風でも無く。
すぐさま元のまんまるな形状に戻ったかと思うと、今度はめちゃくちゃに伸び縮みをするという、謎の動作をやり始めた。
「またソレか」
実は、昨日からプチ男は俺に纏わり付き、この動きばかりするようになったのだ。
理由はこれっぽっちも分からない。
何かに対して怒っている訳では無さそうだし、朝食もさっき食べたから腹が減っているという事も……
というか、そもそもとしてコイツは石でも紙でも椅子の脚でも、何でも勝手に食べるので空腹とは無縁のはずだ。
それなら一体、何を要求しているのか?
……こーゆう時はコルリスに聞くに限る。
「ん~とですね。本来これは威嚇行動なんですけど、今はクボタさんに『自分は強いぞ!』ってアピールしているみたいです」
と、言うワケで実際に聞いてみた所……以上がコルリス先生のお言葉であった。
「あぁ、言われてみれば確かにそう見える、かも。
でも、何で急にやり始めたんだろ?」
「多分アレですよ、ほら、明日の」
明日……?
明日は二回目の試合がある。
そして、それに勝てばもう次が決勝らしい。
この地区はあまり参加者がいなかったのだろう。
……そういえば。
対戦相手はコイツと同じ、スライム系の魔物だった。
「もしかしてお前、出たいの?」
まさかとは思ったが、俺がそう聞いてみると、プチ男は。
無い首の代わりに全身を縦方向に揺すってその通りであると即答した。
……マジか、本当にそうだったとは。
もしや、同種族を前にして闘争心が湧き上がった……とまあ、そんな所だろうか?
しかし……
「そっか、お前の気持ちは分かった。
でももう試合にはルーが出場してるし、急に交代は出来ないと思うんだ、悪いけどまた今度な」
「いえ、出れますよ」
「え!?」
俺の予測に反してそう答えたのは、当たり前ながらコルリスだった。
「あ!言い忘れてましたね。
大会に魔物は、原則三匹までエントリー出来て、その中から一匹選んで戦わせるんですよ。
でも現状ではこの子達しかいないので、この前二匹とも登録しておきました。
だから、プチ男君も出場出来ます!!」
「へぇ~、そんな制度があったんだ。知らなかったよ」
「魔物も風邪や病気になりますから、もしもの時の交代要員ですね。
それにルーちゃんだけ登録して相性の悪い魔物と当たったりした場合、手も足も出せないまま負けちゃう、って可能性もゼロではないですから」
「うん、その通りだ。コルリスちゃんは俺の元いた世界で言うところの『有能』だね。あっ、もちろん褒め言葉だよ」
「ゆっ、ユーノウですか?それほどでも」
俺がそう言うと、彼女は頬をほんのりと赤く染め、もじもじし始めた。初めて見る表情だ、実に可愛いらしい。
「良かったなプチ男。コルリスちゃんのお陰で出場出来るぞ。
じゃあ、お前も特訓しないとだな」
俺がプチ男をわしゃわしゃと撫で回すと、何故だか奴の肉体は普段よりもほんの少し柔らかくなった。
「そうだクボタさんっ、今度の対戦相手はスライム系の魔物でしたよね?
だったら、情報収集としてコレに参加してみませんか?」
そう言ってコルリスが懐から取り出した紙に目をやる。
なになに、『Gランク魔物使い必見!!トロールでも分かるスライム講座!!』……と、書いてあるらしい。
「こりゃあまた、今の俺達のためにあるような講座だな」
「ええ、昨日届いた郵便物の中でたまたまそれだけがプチ男君に〝食べられずに残ってた〟んです。
しかも開催は今日!これはもう運命なんじゃないでしょうか!」
……は?
「…………コルリスちゃん、一応聞くけど。
昨日届いた大会関係のビラ……じゃなくて、紙は残ってるの?
……いや。言わなくていいや。
だって、そもそもコイツにはまだ教えてないはずの対戦相手を知ってるって事はさ」
「ええ、食べる時に見たんでしょうね。
でもプチスライムって文字までは読めなかったような……?」
「まあ何にせよ、プチ男はその癖を治さない限り大会には出さない事にするよ」
そう言うと、プチ男の体は突如某蒟蒻から作られるゼリー程の硬さに変わった。
それを見た俺は掴み易くなったそんなプチ男を持ち上げ、一応揺すってはみたが。
残念ながら、彼の胃袋の中にあるはずのビラが出て来る事は無かった。
ルーのジャブが掌に当たり、小気味良い音を周囲に響かせる。
最近になってから漸く彼女が手加減を覚えてくれたお陰で、俺を正面に据えた対人練習が可能となったのだ。
これで技術的な面において細かい指導が出来る……まあ、ルーの戦闘能力ならこのままでも通用するのかもしれないが、それでもやっておいて損は無いはずだ。
……グニャリ
「……ん?」
ルーの拳をいなすために後退した時、ぬかるみに足を突っ込んでしまった……いや違った。
プチ男を踏んでしまっていた。
「あっ、ごめん!大丈夫か?」
そう問い掛けるも、プチ男は気にしている風でも無く。
すぐさま元のまんまるな形状に戻ったかと思うと、今度はめちゃくちゃに伸び縮みをするという、謎の動作をやり始めた。
「またソレか」
実は、昨日からプチ男は俺に纏わり付き、この動きばかりするようになったのだ。
理由はこれっぽっちも分からない。
何かに対して怒っている訳では無さそうだし、朝食もさっき食べたから腹が減っているという事も……
というか、そもそもとしてコイツは石でも紙でも椅子の脚でも、何でも勝手に食べるので空腹とは無縁のはずだ。
それなら一体、何を要求しているのか?
……こーゆう時はコルリスに聞くに限る。
「ん~とですね。本来これは威嚇行動なんですけど、今はクボタさんに『自分は強いぞ!』ってアピールしているみたいです」
と、言うワケで実際に聞いてみた所……以上がコルリス先生のお言葉であった。
「あぁ、言われてみれば確かにそう見える、かも。
でも、何で急にやり始めたんだろ?」
「多分アレですよ、ほら、明日の」
明日……?
明日は二回目の試合がある。
そして、それに勝てばもう次が決勝らしい。
この地区はあまり参加者がいなかったのだろう。
……そういえば。
対戦相手はコイツと同じ、スライム系の魔物だった。
「もしかしてお前、出たいの?」
まさかとは思ったが、俺がそう聞いてみると、プチ男は。
無い首の代わりに全身を縦方向に揺すってその通りであると即答した。
……マジか、本当にそうだったとは。
もしや、同種族を前にして闘争心が湧き上がった……とまあ、そんな所だろうか?
しかし……
「そっか、お前の気持ちは分かった。
でももう試合にはルーが出場してるし、急に交代は出来ないと思うんだ、悪いけどまた今度な」
「いえ、出れますよ」
「え!?」
俺の予測に反してそう答えたのは、当たり前ながらコルリスだった。
「あ!言い忘れてましたね。
大会に魔物は、原則三匹までエントリー出来て、その中から一匹選んで戦わせるんですよ。
でも現状ではこの子達しかいないので、この前二匹とも登録しておきました。
だから、プチ男君も出場出来ます!!」
「へぇ~、そんな制度があったんだ。知らなかったよ」
「魔物も風邪や病気になりますから、もしもの時の交代要員ですね。
それにルーちゃんだけ登録して相性の悪い魔物と当たったりした場合、手も足も出せないまま負けちゃう、って可能性もゼロではないですから」
「うん、その通りだ。コルリスちゃんは俺の元いた世界で言うところの『有能』だね。あっ、もちろん褒め言葉だよ」
「ゆっ、ユーノウですか?それほどでも」
俺がそう言うと、彼女は頬をほんのりと赤く染め、もじもじし始めた。初めて見る表情だ、実に可愛いらしい。
「良かったなプチ男。コルリスちゃんのお陰で出場出来るぞ。
じゃあ、お前も特訓しないとだな」
俺がプチ男をわしゃわしゃと撫で回すと、何故だか奴の肉体は普段よりもほんの少し柔らかくなった。
「そうだクボタさんっ、今度の対戦相手はスライム系の魔物でしたよね?
だったら、情報収集としてコレに参加してみませんか?」
そう言ってコルリスが懐から取り出した紙に目をやる。
なになに、『Gランク魔物使い必見!!トロールでも分かるスライム講座!!』……と、書いてあるらしい。
「こりゃあまた、今の俺達のためにあるような講座だな」
「ええ、昨日届いた郵便物の中でたまたまそれだけがプチ男君に〝食べられずに残ってた〟んです。
しかも開催は今日!これはもう運命なんじゃないでしょうか!」
……は?
「…………コルリスちゃん、一応聞くけど。
昨日届いた大会関係のビラ……じゃなくて、紙は残ってるの?
……いや。言わなくていいや。
だって、そもそもコイツにはまだ教えてないはずの対戦相手を知ってるって事はさ」
「ええ、食べる時に見たんでしょうね。
でもプチスライムって文字までは読めなかったような……?」
「まあ何にせよ、プチ男はその癖を治さない限り大会には出さない事にするよ」
そう言うと、プチ男の体は突如某蒟蒻から作られるゼリー程の硬さに変わった。
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