異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました

おーるぼん

文字の大きさ
46 / 515
一章 〜雑魚魔物使い〜

二十七話 蛇の道は袋小路

しおりを挟む
No.19 ツインヘッドボア
魔獣類シシナシクンピラ科

これはカムラ地方に存在する蛇型の魔物の一つ、ツインヘッドボアという名の魔物だ。

前回紹介したダブルヘッドボアの異称ではなく、近縁種だから気を付けて欲しい。

でも、見分けるのはとっても簡単だ。
頭が両端に付いてる方がダブルで、鈴生りに二つの頭が付いてるのがツインだからな。

文字だけ読んで覚えると間違える人が多いので、実際に見てみる事をオススメするぞ。

それと大きさだが、全長は5m、体重は500kgと、ダブルと全く同じくらいのサイズである。

あ、そうそう。
一つ言い忘れていたが……

皆さんの世界にいるアナコンダのような大型の蛇とコイツらとを比較すると、全長は前者に劣っているにも関わらず体重がそれの倍程もある……と、言う事に気付いた方もいるかも知れないが。

それは、コイツらの胴が極太であるからだ。
正確に測られた記録は無さそうだが、成体は俺の胴体くらいあると思われるくらいだからな。

とまあ、コイツはこんな感じの魔物なのだ……以上。

実は、コイツの頭同士が仲違いしている所はまだ発見されておらず、ダブルヘッドボアよりも考察、記述できる事柄が少ないのだ。

まあ、悪く言えば、アイツよりもツインヘッドボアは面白みに欠ける魔物って事だな。

ただし、近年ツインとダブルとの自然交雑が確認されたらしいので、そのうちにトリプルヘッドボアとかいうインパクト重視な魔物が誕生する可能性は高い。

(まあ、生息区域がほぼ同じなのだから、自然交雑はそこまで驚くべき事実というワケでも無いのだが)

物足りなかった諸君はそれに期待していてくれ。



観戦後、俺達はすぐに行動を開始した。

昼食を取ったその足で酒場へと赴き。

アルバイトっぽい、真面目そうな女の子が几帳面に壁へと貼り付けていた依頼書の中から、手頃なものをひっぺがし。

すると涙目になった彼女に詫び。

次に、これにも粘着しようとしたサイロ君を傷付けること無く追い返し。

そして今は、既にカムラ地方で討伐依頼のあった魔物の索敵を行っている……どうだ、我ながら稀に見る迅速さだろう?

一応言っておくと、この行動力は敗北への恐れが燃料になっているのではない。

ただ単に、最近練習ばかりで実戦をしていなかったから決勝戦の前に勘を取り戻しておこう……と、そう言うワケなのだ。

まあ、それはさておき。

今回の討伐対象はツインヘッドボア。
言わずもがなの事だがコイツは蛇の魔物だ。

最近、人里近辺に奥地での縄張り争いに敗れたのであろう若い個体数匹が現れるらしく、これを倒して欲しいのだそうだ。

しかし、まーた人里に魔物か。
少し前にアートードの討伐依頼もあったよな?

全く、近頃はどうなっているんだ……と、思うかも知れないが。

むしろアートードは被害者で、黒幕はそれを食すために追い駆け回していたツインヘッドボアだったらしいのだ。

だからまあ、可哀想なカエル君達を責めないであげて欲しい……俺からのお願いだ。

ちなみに言うと、コイツはアートードよりも格上なので、本来ならばこの依頼はFランク以上の魔物使いしか受けられないのだが。

しかし、未成熟の個体だと言う事で、俺達でも受諾出来たようだ。

「にしても、今度はツインか。
ダブルヘッドボアとは何が違うのかな?」

歩き疲れたがやる気はまだ残っている。

そこで、アバターの選択画面のように立ったままぐるぐると回転して索敵を行なっていた俺へと。

「クボタさんも見れば分かりますよ~」

コルリスは酒場で情報収集していた時、嫌と言う程聞いたその台詞と全く同じものを口にした。

「なっ!?……またソレ!?
ねえ、酒場でも聞いたんだけど、何で皆ソレしか言わないの!?」

「その方が早いから、でしょうね!」

だが、彼女はそう言って微笑むばかり。

まさか……コルリスもグルなのか?
そうやって皆、何も知らない俺の事をバカにしてるのか?

こちとら予備知識も無いから大変なんだぞ……?

とにかく、そう言った事は止めて欲しいんだが……

すると、そのように思い悶々としていた俺の元に突然。

偵察部隊に任命したはずのプチ男とケロ太が、びたんびたんと妙な足音を鳴らながら戻って来た。

「ん?お前達どうした?」

俺とこのぷるぷる生命体との間には、コミュニケーションツールが介在していない。

が。この世界に来てから最も長く付き合ってきた生物なので何と無くは分かる。三匹は少々慌てているようだ。

……ん?三匹?

そう言えばもう一匹、カエルみたいなのがいるような……?

「……あれ、アートードいるじゃん?
お前らどっから連れて来たんだ?」

どうやらあの足音……質の悪いバスケットボールが跳ねるようなあの音は。

今何故か俺の目の前にいる、子供のアートードによるものだったようだ。

「まだ子供ですね、キモ可愛いです!!」

「そうかな?可愛くはな……いっ!?」

だが、まだ話していた俺を無視して、突然にもミニアートードが俺の服を。

そしてスライムズはルーを掴み、ぐいぐいと引っ張り始めた。

「ご、ごめんって!可愛い!可愛いから!」

俺はミニアートードへとすぐに謝罪したが、それでも子蝦蟇の勢いが止まる事は無かった。

と言うかコイツ、別に怒ってるワケでは無さそうだ。

それにどちらかと言えばこの行動は、俺とルーを何処かに連れて行く事を目的としているような……??

そう思った俺が、彼等に引かれるがまま歩き出すと……その先にあった草藪の奥からは、何かが争うような物音が聞こえてきた。

もしやコイツら、ヤバそうな魔物と出会ったからって、保護者である俺を召喚しようとしているのか?

止めてくれ、魔物相手じゃ俺の戦闘能力など皆無に等しいんだぞ……?

……まあ良い。
逃げるかどうかを決めるためにも、まずは敵の情報を集めなければ。

俺は息を潜めて様子を窺……おうとしたが。

そんな暇は無かった。
潜伏するため屈もうとした俺とルーの背中を、ミニアートードが前方へと思い切り突き飛ばしたのだ。

そうして、渦中に放り込まる事となった俺達は、急いで周囲を見回す。

すると、そこには……

三匹の巨大な蛇型魔物と、それに立ち向かう傷だらけの大きなアートードの姿があった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

処理中です...