異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました

おーるぼん

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二章 〜下級魔物使い〜

七十三話 アルヴァークの息子、エリマ

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簡単なあらすじ『アルヴァークの息子は涙を流します』


アルヴァークの息子の目から零れ落ちた雫。

それを見た瞬間、俺は目の前にいる魔物が非常に聡明である事を知った。

彼は〝匂い〟のみ、という少ない証拠で、自身の父親が天へと旅立った事を理解しただけでなく、それを知って胸を痛め、涙までもを流したのだから。

まあ、これは俺の推測ではあるが。

だがしかし、そうでなければ魔物が、それもドラゴンが、涙を流すなど有り得ないはずだ。

(それと多分、匂いは自称神様がアルヴァークと戦った際、〝この身体〟についたのだと思われる)

「お前、分かったんだな」

そう思った俺は、アルヴァークの息子に話しかけながらその頬を撫でた。

先程まで彼に怯えていた俺がだ。
正直、今そうしている自分が一番驚いている……

が、あのような状態だったとしても、この子が大切に思っていた『一匹のドラゴン』。

その死には俺も深く、自称神様よりかは浅く……関わっているのだ。

せめて慰めてやらなければと、そのくらいは誰でも考えるはずだ。

それが例え、無意識下にあった俺だとしてもだ。
……とか言ってみたものの、正直それだけではない気がするのは何故だろう?

すると、そうされたアルヴァークの息子は「お返しだ」とでも言うように、今度は俺の頬をペロリと舐め、再び頭を押し付けてきた。

力を加減してくれているのが分かる。
どうやら甘えている(多分)だけであるらしい。

嫌な気分は全くしないし、むしろ嬉しかった。

そうしてくれると言う事は、俺がやった行為により彼の心の傷がほんの少しだけ癒えた。のかもしれないんだからな。

ひとまず、助かった……いや、良かった。

この様子ならば彼に敵意が無いのは確実、なはずだ。恐らく俺に接近して来たのはただ単に好奇心等の理由からであったのだろう。

それと……ここで漸く気が付いた。

俺が先程言った『彼を慰めたのにはまた別の理由がある、気がする』のワケが判明したのだ。

(長いので要約させてもらった)

それは。
アルヴァークの息子が『見た目に反して人懐っこい』からだ。

俺を恐れる事も、警戒する事も無く、匂いをくんくんと嗅ぎ、頬をペロリとし、また頭を押し付けて来る……そこには、犬のような方向性での愛らしさがあった。

うん。まあ、とりあえず可愛いのだ。
これはまさしく、ギャップ萌えというものだろう。

……という彼の一面を発見したのは良いが、今はその可愛らしいドラゴンと遊びに来たワケではない。

自らの使命を思い出した俺はアルヴァークの息子を一旦引き離してから、出来るだけ神妙な顔を作って彼にこう、話しかけた。

「ちょっと、ごめんな。
とりあえず一旦離れて……

良いかい?よく聞いて?
お父さんが亡くなったのは気付いてると思うから、そのまま続けるけど……最期にアルヴァークさんから頼まれたんだ。君の事をね。

勿論、ここに来たのはその約束を果たすため……君を外に連れ出すためだ。

だから、俺と一緒に……と、言いたい所なんだけど、俺は別の所に家があるから、そうなるとここを離れる事になる。

君はどうしたい?
確かに、約束はしたけど決めるのは俺じゃなくて、君だ。

当然、無理に付いて来る必要はないし、そうするのも、ここから出るのも嫌ならそれで良い。俺は無理矢理に君を連れ出そうとはしないよ。

てなワケで、まずは君の意見を聞きたいんだけど……あ、俺の言葉、分かる?」

最後の台詞は、昔ルーにも言ったな……

まあそれは良いとして、俺は自分の考えを全て吐き出した後に、彼の返事を待った。

しかし、彼は今の少々長ったらしい話を理解してくれただろうか?結構賢そうな感じだから一応きちんと伝えてはみたが。

……すると。

アルヴァークの息子は俺の事を暫く見つめた後に一度深く頭を下げ、「じゃあ早速、外に行こうよ」と言わんばかりに俺の服の袖口を引き、扉の前まで誘導しようとする。

どうやら心配は無用だったようだ。彼はやはり聡明であり、俺の言った事を全て理解してくれていたのだ。

「これは、OK……って事なんだよね?
そっか、嬉しいよ。

じゃあ改めて、よろしくね…………あ、名前。

何にしようかな、またコルリスと一緒に……」

袖を引かれながら、俺がそう言った時だった。
アルヴァークに似た声が聞こえたのは。


〝僕の名前は、エリマ〟


彼の視線がまっすぐにこちらへと向けられている。

間違いなく、この声は彼が発したものなのだろう。
彼もまた、人語を話す事が出来るようだ。何故普段からそうしないのかは、まだ分からないが。

まあ良いだろう。
これから先、それを知る機会などいくらでもあるのだから。

「そうか、君はエリマって言うのか。
じゃあよろしくね、エリマ」



こうして俺は……いや、俺達は今。

『家族として』も、本当の意味でも。
その第一歩を踏み出したのであった。
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