138 / 515
二章 〜下級魔物使い〜
七十四話 突然の来客
しおりを挟む
簡単なあらすじ『クボタさん一家に新たな家族が加わりました』
俺とエリマが扉を開け、部屋から出て来てみると。
そこでまだ、おザキ様は待っていてくれた。
「お待たせしました尾崎さん。この子は、これから僕と一緒に歩むという道を選んでくれました」
〝どうやらそのようだな……クボタ、エリマを頼んだぞ〟
「はい」
おザキ様は言った。
どうやら彼もこの子の名前を知っていたようだ。
〝そしてエリマ、元気でな〟
次に彼は俺の後ろにいるエリマを見遣り、微笑みながらそう言う。
そうされたエリマは頭を深く下げた。
多分、おザキ様に敬礼しているのだろう。
そしてそのお辞儀は俺にした時とは少し違い、もっと礼儀正しいというか、堅苦しいというか……とにかく、エリマのしたそれからはそのような雰囲気が感じられた。
どうやらエリマは自分よりも強力な魔物としてか、はたまた住む場所を提供してくれた者としてかは分からないが、彼を『敬うべき存在』として認識し、慇懃な態度で接しているようだ。
まあ、おザキ様は恐ろしいまでの実力を持つ魔物であるにも関わらず、これ程までに心優しいのだ。むしろそうしない理由が無いだろう。
と言うワケでそれを見た俺もエリマに倣い、おザキ様に感謝の意を込めた一礼をしておく事とした。
『エリマに出会わせてくれた』彼へ、その感謝の意を込めて。
〝おや……?〟
俺もエリマに倣い、頭を下げたその時。
おザキ様が不意に違和感を覚えたかのような声を上げ、長い長い廊下の先に目を遣るのが見えた。
「どうか、したんですか?」
〝珍しい。どうやら客人のようだ〟
俺の問いかけに対し、おザキ様はそう言う。
魔王城に客人。
彼クラスに強い魔物とかだろうか。
もしそうだとしたらその人は……いやその魔物は、俺を見つけた途端に取って食おうとしたりはしないだろうか?
嫌でも色々と考えてしまい、背筋が寒くなる。
おザキ様はそんな俺の心境を察したのか、こちらに向き直ってこう言ってくれた。
〝私が見て来るとしよう。だからクボタ、そう心配するな〟
「あ……気付いてましたか」
〝その様子を見ればな……さて、では行って来るが、その間ここで待っているのも退屈だろう?そこで一つ、頼まれてくれないか?〟
「え?ええ、勿論大丈夫ですけど……それは一体どう言うものなんです?」
〝君達を待っている間、『アイツ』が近くをウロウロとしているのを見かけたんだ。恐らく、まだ傷心しているのだろう。
仕方がないとは思うが……アルヴァークはそんな事など望んではいないはず。だからアイツの所まで行って、少し慰めてやってくれないか?
エリマと言葉を交わさずとも分かり合えた君だ。私よりも適任だろう。どうだ、頼めるか?〟
おザキ様はそう言い終えると、先程とは逆側の廊下に視線を向けた。多分、そちらの方に自称神様がいるのだろう。
「分かりました……けどアイツ、『今は一人にしておいて欲しい』みたいな事を言ってたんですよね?
なら、僕が行っても逆効果になるかもしれませんが……」
〝確かに言っていた。が、アイツは放っておくといつまでもウジウジとしているからな……ではすまないが、頼んだぞ〟
そうしておザキ様は少し申し訳なさそうな表情をした後、客人を迎えに行った。
「よし、じゃあ俺はアイツを探しに行かないとな……エリマはどうする?ここで待ってる?」
歩き出しつつエリマに聞いてみた所、彼も俺の背後にきちんと移動していた。どうやら付いて来てくれるようだ。
「お……そっかそっか、じゃあ行こうか」
俺とエリマは長く続く魔王城の廊下を歩いていた。
自称神様を探し、慰めてやるために。
ここから見た山々は低く、たまにある岩や、魔物達などは最早豆粒のように俺の目には映っていた。まだまだ位置で言えば高い所にいるのだろう。
視線を正面に戻すと、丁度また扉の前を通り過ぎた所だった。
今までいくつの扉をこうして通り過ぎて来た事だろう。正確な数字までは覚えていないが、両手の指だけではとうに足らぬ数となっているのはまず間違いない。
この建造物は縦もそうであるが、横も大きく作られていたようだ。中に入ってみて改めてそれがよく分かった。
エリマは不満を何一つ言わずに俺の後ろをついて来ている。何となくは分かっていたが、彼はやはり温順な性格の持ち主であったらしい。
振り向く度に「何?」とでも言いたげな人懐っこい視線を浴びせてくるこの魔物は、やはり犬のようだった。これまた見かけによらず随分と可愛らしい仕草である。
俺は時折そうしてエリマの様子を見ながら廊下をひたすらに歩き続ける。
すると、城の端にあった側防塔(?)のような所の一番上で、ぼんやりと光る小さな球体のようなものを発見した。
間違い無い、アイツだ。
俺とエリマが扉を開け、部屋から出て来てみると。
そこでまだ、おザキ様は待っていてくれた。
「お待たせしました尾崎さん。この子は、これから僕と一緒に歩むという道を選んでくれました」
〝どうやらそのようだな……クボタ、エリマを頼んだぞ〟
「はい」
おザキ様は言った。
どうやら彼もこの子の名前を知っていたようだ。
〝そしてエリマ、元気でな〟
次に彼は俺の後ろにいるエリマを見遣り、微笑みながらそう言う。
そうされたエリマは頭を深く下げた。
多分、おザキ様に敬礼しているのだろう。
そしてそのお辞儀は俺にした時とは少し違い、もっと礼儀正しいというか、堅苦しいというか……とにかく、エリマのしたそれからはそのような雰囲気が感じられた。
どうやらエリマは自分よりも強力な魔物としてか、はたまた住む場所を提供してくれた者としてかは分からないが、彼を『敬うべき存在』として認識し、慇懃な態度で接しているようだ。
まあ、おザキ様は恐ろしいまでの実力を持つ魔物であるにも関わらず、これ程までに心優しいのだ。むしろそうしない理由が無いだろう。
と言うワケでそれを見た俺もエリマに倣い、おザキ様に感謝の意を込めた一礼をしておく事とした。
『エリマに出会わせてくれた』彼へ、その感謝の意を込めて。
〝おや……?〟
俺もエリマに倣い、頭を下げたその時。
おザキ様が不意に違和感を覚えたかのような声を上げ、長い長い廊下の先に目を遣るのが見えた。
「どうか、したんですか?」
〝珍しい。どうやら客人のようだ〟
俺の問いかけに対し、おザキ様はそう言う。
魔王城に客人。
彼クラスに強い魔物とかだろうか。
もしそうだとしたらその人は……いやその魔物は、俺を見つけた途端に取って食おうとしたりはしないだろうか?
嫌でも色々と考えてしまい、背筋が寒くなる。
おザキ様はそんな俺の心境を察したのか、こちらに向き直ってこう言ってくれた。
〝私が見て来るとしよう。だからクボタ、そう心配するな〟
「あ……気付いてましたか」
〝その様子を見ればな……さて、では行って来るが、その間ここで待っているのも退屈だろう?そこで一つ、頼まれてくれないか?〟
「え?ええ、勿論大丈夫ですけど……それは一体どう言うものなんです?」
〝君達を待っている間、『アイツ』が近くをウロウロとしているのを見かけたんだ。恐らく、まだ傷心しているのだろう。
仕方がないとは思うが……アルヴァークはそんな事など望んではいないはず。だからアイツの所まで行って、少し慰めてやってくれないか?
エリマと言葉を交わさずとも分かり合えた君だ。私よりも適任だろう。どうだ、頼めるか?〟
おザキ様はそう言い終えると、先程とは逆側の廊下に視線を向けた。多分、そちらの方に自称神様がいるのだろう。
「分かりました……けどアイツ、『今は一人にしておいて欲しい』みたいな事を言ってたんですよね?
なら、僕が行っても逆効果になるかもしれませんが……」
〝確かに言っていた。が、アイツは放っておくといつまでもウジウジとしているからな……ではすまないが、頼んだぞ〟
そうしておザキ様は少し申し訳なさそうな表情をした後、客人を迎えに行った。
「よし、じゃあ俺はアイツを探しに行かないとな……エリマはどうする?ここで待ってる?」
歩き出しつつエリマに聞いてみた所、彼も俺の背後にきちんと移動していた。どうやら付いて来てくれるようだ。
「お……そっかそっか、じゃあ行こうか」
俺とエリマは長く続く魔王城の廊下を歩いていた。
自称神様を探し、慰めてやるために。
ここから見た山々は低く、たまにある岩や、魔物達などは最早豆粒のように俺の目には映っていた。まだまだ位置で言えば高い所にいるのだろう。
視線を正面に戻すと、丁度また扉の前を通り過ぎた所だった。
今までいくつの扉をこうして通り過ぎて来た事だろう。正確な数字までは覚えていないが、両手の指だけではとうに足らぬ数となっているのはまず間違いない。
この建造物は縦もそうであるが、横も大きく作られていたようだ。中に入ってみて改めてそれがよく分かった。
エリマは不満を何一つ言わずに俺の後ろをついて来ている。何となくは分かっていたが、彼はやはり温順な性格の持ち主であったらしい。
振り向く度に「何?」とでも言いたげな人懐っこい視線を浴びせてくるこの魔物は、やはり犬のようだった。これまた見かけによらず随分と可愛らしい仕草である。
俺は時折そうしてエリマの様子を見ながら廊下をひたすらに歩き続ける。
すると、城の端にあった側防塔(?)のような所の一番上で、ぼんやりと光る小さな球体のようなものを発見した。
間違い無い、アイツだ。
0
あなたにおすすめの小説
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる