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第一部 エピローグ~島~
②
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闇の中から目覚めたもう一人の人物がいた。
「目覚めたか…」
目覚めた人物は状況を確認し、言った。
「私の記憶がないという事は……負けたのですか?…」
「そうだ…だが、君が負けた事により多額の資金が入った…デキレースと言う者もいたが…まぁいい…」
「手間を掛けさせたようですね…」
「だがほとんどの客は満足したようだ…」
「ほう……見ごたえがあったと…」
「そうだ…大金を叩いたかいがあったと…皆は満足したようだ」
「後で記録を確認しますが……やはり月島葵ですか?」
「ああ……君の言うように、彼は我々の想像を遥かに越えていた…」
「でしょうね……私が負けたのですから…」
「で……次はどうする?…」
「そろそろ次の段階に行ってもいい頃合いでしょう…『あれ』を使います…」
「『あれ』か……また君も参加するのか?」
「この私が負けたまま黙っていると?…」
「あまり深入りはするなよ…」
「わかってます…目的はただ一つ……月島 葵とのゲームは目的達成までの余興に過ぎません…」
「蒼き星を天に還すまでの…」
……2011年…秋……
あれから二ヶ月が過ぎ、葵は日常に戻った。
あれだけ未知なる刺激を与えられた後だ……日常がつまらなくなるのも無理はない。
葵は今日……美夢の兄、宗吾に別件で合う予定だ。今抱えている事件の事で意見を葵に聞きたいようだ。
葵は自宅を出て、宗吾との待ち合わせ場所に向かう。
時刻は午後7時……話ついでに晩御飯を奢ってくれるようだ。
少し肌寒いので、黒のパーカーを羽織って待ち合わせ場所へ向かう。
その道中だった……背後から視線を感じる。
「やれやれ……またか…」
初めてではなかった。あの事件以…降背後からの見張るような視線は、何度も感じていた。
葵は振り向くこと無く言った。
「付けてきてるのは、わかってます……出てきて下さい…」
葵の言葉に反応して、電柱の陰から、小柄な人が出てきた。
「やれやれ……またあなたですか…」
電柱の陰から出てきたのは、小柄な女性だった。
身長は150cm前半で、ショートカット、カメラをぶら下げている。
その女性は言った。
「私から逃げようたって無駄よ!」
「僕は逃げも隠れもしていませんが?…現に堂々と道の真ん中を歩いています…」
「ぐっ、屁理屈を…」
「僕を付け回しても、良い事ありませんよ…」
「何を言うっ!『天変 月島のいくとこに事件あり』って、言うでしょっ!」
「言っているのは……あなただけでは?…春野五月(はるのさつき)先輩…」
五月と呼ばれる女性は…葵の言うことに、聞く耳を持たない…。
「隠したって無駄よ!あんたが半月入院していた、真相をつきとめるのよっ!」
葵は五月を無視して、すたすた先へ進んでいった。
「待ちなさいっ!無視するなっ!」
葵は待ち合わせ場所の居酒屋に到着した。
宗吾はすでに店の前に来ており、葵を見つけるなり呼んだ。
「葵っ!こっちだ!」
葵は呼ばれた方へと向かう。
「警部殿……こんばんは…」
宗吾は黒のスーツがよく似合い、清潔感の漂う、好青年といった感じだ。
宗吾につれられ、居酒屋の個室に案内された。
宗吾が言った。
「なぁ、葵……その娘…誰?」
五月はちゃっかり付いてきていた。そして、ちゃっかり葵の隣に座っている。
葵は気にする事無く答えた。
「ただのストーカーです…」
五月は声を荒げた。
「違うっ!ストーカーじゃないっ!」
宗吾が言った。
「じゃあ何?」
五月は胸を張って自己紹介を始めた。
「春野 五月 東鷹大学の 21歳……オカルト研究サークルの美人代表です…」
宗吾は笑って言った。
「ははは……自分で美人って、言っちゃったよ……あ~、面白れぇ…」
葵は言った。
「変わった人です…」
宗吾が言った。
「気に入ったよ……君も飲んで行ったら?奢るよ…」
五月は目を輝かせた。
「ほんとですか?…でも…」
葵は言った。
「あなたに遠慮なんて言葉は似合わないでしょ…」
「ぐぐっ……月島葵…言わせておけば…」
宗吾が五月を落ち着かせる。
「まぁまぁ……五月……ちゃんだっけ?とりあえず乾杯しようよ…ビールでいい?」
五月は割れに帰った。
「あっ、はいっ!有り難うございます!」
「僕は……そうですねぇ…久々の警部殿との食事ですので…甘い梅酒でも、もらいましょうか…」
なにわともあれ、三人はグラスを重ねて、乾杯した。
……30分後……
「ぐぅ~、ぐぅ~、ぐぅ~…」
宗吾が寝ている五月を見て言った。
「寝ちゃったぞ……この娘…」
「そのようです…」
「わかってたのか?」
「ええ……美夢から聞いています、酒が入るとこの方はすぐに寝ると…」
「それで、つれてきたのか…」
「ええ……警部殿もこういう人は好きでしょう?だったら無理にまかず、つれてきました…」
「まぁ…いいか……気持ち良さそうに寝てるし…」
「うるさい方も静かになった事ですから…さっそく資料を…」
葵がそう言うと宗吾は、資料の入った封筒を手渡した。
葵は中身を確認することなく封筒を鞄にしまった。
「では、家で確認し……すぐ連絡します」
「おいっ!もうちょっと興味もてよ……まぁ、今のお前には刺激が足りないか…」
「すみません……事件の資料はしっかり確認しますので…」
宗吾はおかわりしたビールを、飲み干して言った。
「で、なんだ……アマツカだったか?お前が追ってるの…」
「何かわかりましたか?」
「公安にいる知り合いに聞いたり、俺も色々調べたが…何も…」
「そうですか……にわかに信じ難い話ですから…」
「お前と美夢が言った事だから、信じてない訳じゃない…」
「そう思っていただいてるだけで、ありがたいです」
宗吾は顔をしかめて言った。
「葵……もう、いいんじゃないか?皆無事だったわけだし…警察も動けないぜ…」
「まぁ……何も起こってませんからね……すぐ港に置き去りにされたわけですら…拉致監禁の立件も難しいですね…」
「だろ……だからお前もさっ、警察に入る準備をそろそろ…」
「警部殿、どさくさにまぎれて何を言ってるんです?僕は警察官になるつもりは毛頭ありませんよ…」
「でも、もったいないぞ…その能力は…」
葵は苦笑いして言った。
「僕には『国民を守る』使命を持って、捜査するなんて、できません。僕を動かしているのは、好奇心と刺激です…」
「その好奇心と刺激をくれるのが…そのアマツカってか?…」
「言い切れませんが…興味深い……アマツカの原動力は何なのかと…」
宗吾は呆れて言った。
「やれやれ……こりゃ美夢も大変だ」
葵は表情を固めて、宗吾に言った。
「警部殿……くれぐれも、美夢には……僕がアマツカの事を調べてるとは…」
「言わないで……だろ?…」
「ええ…彼女を巻き込みたくない…」
「だったらやめろよ…」
「それはできません…」
そう言うと葵は立ち上がった。
立ち上がった葵を見て、宗吾が言った。
「もう帰るのか?」
「ええ……ストーカーさんが寝てる間に…」
「この娘どうしたらいいの?」
「起きたら、飲み相手にでもして下さい…」
葵はそう言うと、さっさと帰ってしまった。
残された宗吾は呟いた。
「やれやれ……落ち着きないなぁ…」
葵が帰ってしばらくすると、五月が目覚めた。
「ううん……あれ?私……」
「起きたかい?」
五月は現状を把握した。
「私、またやっちゃった……。あれ?月島 葵は?」
宗吾は笑顔で言った。
「帰ったよ……ストーカーさんによろしくって…」
五月は顔を真っ赤にして言った。
「ストーカーじゃっ!ありませんっ!」
「まぁまぁ……葵も帰っちゃったし、俺も一人じゃ寂しいからさ…もうちょっと付き合ってよ…奢るから…」
五月は少し考えたが、笑顔で宗吾に言った。
「私なんかで良かったら…」
「全然っ!君…面白いから、ただ…アルコールはもうだめだよ、君寝ちゃうから…」
五月は申し訳なさそうに言った。
「面目ないです…」
こうして奇妙な二人組の飲み会が始まった。
宗吾と五月と別れた葵は一人帰路に着こうとした。
すると前から美夢がやって来た。
「葵っ!」
「美夢…どうしてここに?」
「友達と買い物行った帰り…葵とお兄ちゃんが、いつもの店にいると思って…」
「警部殿とは……今……別れた」
「お兄ちゃん……一人で飲んでるの?」
「いや、ストーカー先輩と一緒…」
「あぁ、五月先輩ね……まだあんたの事、追ってるの?物好きたねぇ…」
「だから今は行かない方がいい…」
「そうする……お兄ちゃんに任せよう。帰ろっか…葵…」
美夢も五月に絡まれ、根掘り葉掘り聞かれて少し『五月アレルギー』になっている。
葵と美夢は五月を宗吾に任せて、帰る事にした。
今日は綺麗な月が出ている。
葵が月を眺めて言った。
「今日は……半月か……」
「綺麗だねっ!やっぱ人間…太陽と月は必要だよ」
「そうだな…」
「お兄ちゃんが言っていたよ…「昼は太陽で夜は月…それだけで酒は美味い」って」
「酒好きの警部殿が言いそうな、酒を飲む口実だな……でも…その通りだと、僕も思う…」
やはり人は太陽や月の光に照され、地に足を着けて生きて行けるから…。
命は…儚くもあり、美しい…。
……某日…午後……
葵は秋の少し肌寒い中、人が溢れる街中を歩いていた。
葵は歩と有紀に合う約束をしていた。
人混みの中葵は待ち合わせ場所の喫茶店へ向かう。
街の大きな交差点を、覆うように架かっている、巨大交差点を渡っている時だった。
交差点の上も人が多い…だがその中で確かに聞こえた。
「I saw again.(また会えましたね)」
その声に葵は反応した。
「I do not lose is time.(今度は負けませんよ)」
声の主を探すが、人が多すぎて…わからない。
辺りをキョロキョロする葵の、服の袖を引っ張る者がいた。
葵が袖先の方へと視線を移すと、子供がいた。男の子だ。
「君は?…」
男の子は言った。
「これお兄ちゃんに渡してって…」
「誰に?…」
「もう行っちゃった…」
笑顔の可愛らしい男の子から、茶封筒を手渡された。
葵は辺りを見渡したが……人が多すぎてわからない。
やがて男の子を呼ぶ声がした。
「ママだっ!…バイバイ」
男の子は母だと思われる女性の方へと、走って行った。
葵は男の子に手を振り、そして封筒の中身を見た。
それを見た葵は、思わず笑った。
「ふふふ……面白い」
「僕も…楽しみですよ…」
「目覚めたか…」
目覚めた人物は状況を確認し、言った。
「私の記憶がないという事は……負けたのですか?…」
「そうだ…だが、君が負けた事により多額の資金が入った…デキレースと言う者もいたが…まぁいい…」
「手間を掛けさせたようですね…」
「だがほとんどの客は満足したようだ…」
「ほう……見ごたえがあったと…」
「そうだ…大金を叩いたかいがあったと…皆は満足したようだ」
「後で記録を確認しますが……やはり月島葵ですか?」
「ああ……君の言うように、彼は我々の想像を遥かに越えていた…」
「でしょうね……私が負けたのですから…」
「で……次はどうする?…」
「そろそろ次の段階に行ってもいい頃合いでしょう…『あれ』を使います…」
「『あれ』か……また君も参加するのか?」
「この私が負けたまま黙っていると?…」
「あまり深入りはするなよ…」
「わかってます…目的はただ一つ……月島 葵とのゲームは目的達成までの余興に過ぎません…」
「蒼き星を天に還すまでの…」
……2011年…秋……
あれから二ヶ月が過ぎ、葵は日常に戻った。
あれだけ未知なる刺激を与えられた後だ……日常がつまらなくなるのも無理はない。
葵は今日……美夢の兄、宗吾に別件で合う予定だ。今抱えている事件の事で意見を葵に聞きたいようだ。
葵は自宅を出て、宗吾との待ち合わせ場所に向かう。
時刻は午後7時……話ついでに晩御飯を奢ってくれるようだ。
少し肌寒いので、黒のパーカーを羽織って待ち合わせ場所へ向かう。
その道中だった……背後から視線を感じる。
「やれやれ……またか…」
初めてではなかった。あの事件以…降背後からの見張るような視線は、何度も感じていた。
葵は振り向くこと無く言った。
「付けてきてるのは、わかってます……出てきて下さい…」
葵の言葉に反応して、電柱の陰から、小柄な人が出てきた。
「やれやれ……またあなたですか…」
電柱の陰から出てきたのは、小柄な女性だった。
身長は150cm前半で、ショートカット、カメラをぶら下げている。
その女性は言った。
「私から逃げようたって無駄よ!」
「僕は逃げも隠れもしていませんが?…現に堂々と道の真ん中を歩いています…」
「ぐっ、屁理屈を…」
「僕を付け回しても、良い事ありませんよ…」
「何を言うっ!『天変 月島のいくとこに事件あり』って、言うでしょっ!」
「言っているのは……あなただけでは?…春野五月(はるのさつき)先輩…」
五月と呼ばれる女性は…葵の言うことに、聞く耳を持たない…。
「隠したって無駄よ!あんたが半月入院していた、真相をつきとめるのよっ!」
葵は五月を無視して、すたすた先へ進んでいった。
「待ちなさいっ!無視するなっ!」
葵は待ち合わせ場所の居酒屋に到着した。
宗吾はすでに店の前に来ており、葵を見つけるなり呼んだ。
「葵っ!こっちだ!」
葵は呼ばれた方へと向かう。
「警部殿……こんばんは…」
宗吾は黒のスーツがよく似合い、清潔感の漂う、好青年といった感じだ。
宗吾につれられ、居酒屋の個室に案内された。
宗吾が言った。
「なぁ、葵……その娘…誰?」
五月はちゃっかり付いてきていた。そして、ちゃっかり葵の隣に座っている。
葵は気にする事無く答えた。
「ただのストーカーです…」
五月は声を荒げた。
「違うっ!ストーカーじゃないっ!」
宗吾が言った。
「じゃあ何?」
五月は胸を張って自己紹介を始めた。
「春野 五月 東鷹大学の 21歳……オカルト研究サークルの美人代表です…」
宗吾は笑って言った。
「ははは……自分で美人って、言っちゃったよ……あ~、面白れぇ…」
葵は言った。
「変わった人です…」
宗吾が言った。
「気に入ったよ……君も飲んで行ったら?奢るよ…」
五月は目を輝かせた。
「ほんとですか?…でも…」
葵は言った。
「あなたに遠慮なんて言葉は似合わないでしょ…」
「ぐぐっ……月島葵…言わせておけば…」
宗吾が五月を落ち着かせる。
「まぁまぁ……五月……ちゃんだっけ?とりあえず乾杯しようよ…ビールでいい?」
五月は割れに帰った。
「あっ、はいっ!有り難うございます!」
「僕は……そうですねぇ…久々の警部殿との食事ですので…甘い梅酒でも、もらいましょうか…」
なにわともあれ、三人はグラスを重ねて、乾杯した。
……30分後……
「ぐぅ~、ぐぅ~、ぐぅ~…」
宗吾が寝ている五月を見て言った。
「寝ちゃったぞ……この娘…」
「そのようです…」
「わかってたのか?」
「ええ……美夢から聞いています、酒が入るとこの方はすぐに寝ると…」
「それで、つれてきたのか…」
「ええ……警部殿もこういう人は好きでしょう?だったら無理にまかず、つれてきました…」
「まぁ…いいか……気持ち良さそうに寝てるし…」
「うるさい方も静かになった事ですから…さっそく資料を…」
葵がそう言うと宗吾は、資料の入った封筒を手渡した。
葵は中身を確認することなく封筒を鞄にしまった。
「では、家で確認し……すぐ連絡します」
「おいっ!もうちょっと興味もてよ……まぁ、今のお前には刺激が足りないか…」
「すみません……事件の資料はしっかり確認しますので…」
宗吾はおかわりしたビールを、飲み干して言った。
「で、なんだ……アマツカだったか?お前が追ってるの…」
「何かわかりましたか?」
「公安にいる知り合いに聞いたり、俺も色々調べたが…何も…」
「そうですか……にわかに信じ難い話ですから…」
「お前と美夢が言った事だから、信じてない訳じゃない…」
「そう思っていただいてるだけで、ありがたいです」
宗吾は顔をしかめて言った。
「葵……もう、いいんじゃないか?皆無事だったわけだし…警察も動けないぜ…」
「まぁ……何も起こってませんからね……すぐ港に置き去りにされたわけですら…拉致監禁の立件も難しいですね…」
「だろ……だからお前もさっ、警察に入る準備をそろそろ…」
「警部殿、どさくさにまぎれて何を言ってるんです?僕は警察官になるつもりは毛頭ありませんよ…」
「でも、もったいないぞ…その能力は…」
葵は苦笑いして言った。
「僕には『国民を守る』使命を持って、捜査するなんて、できません。僕を動かしているのは、好奇心と刺激です…」
「その好奇心と刺激をくれるのが…そのアマツカってか?…」
「言い切れませんが…興味深い……アマツカの原動力は何なのかと…」
宗吾は呆れて言った。
「やれやれ……こりゃ美夢も大変だ」
葵は表情を固めて、宗吾に言った。
「警部殿……くれぐれも、美夢には……僕がアマツカの事を調べてるとは…」
「言わないで……だろ?…」
「ええ…彼女を巻き込みたくない…」
「だったらやめろよ…」
「それはできません…」
そう言うと葵は立ち上がった。
立ち上がった葵を見て、宗吾が言った。
「もう帰るのか?」
「ええ……ストーカーさんが寝てる間に…」
「この娘どうしたらいいの?」
「起きたら、飲み相手にでもして下さい…」
葵はそう言うと、さっさと帰ってしまった。
残された宗吾は呟いた。
「やれやれ……落ち着きないなぁ…」
葵が帰ってしばらくすると、五月が目覚めた。
「ううん……あれ?私……」
「起きたかい?」
五月は現状を把握した。
「私、またやっちゃった……。あれ?月島 葵は?」
宗吾は笑顔で言った。
「帰ったよ……ストーカーさんによろしくって…」
五月は顔を真っ赤にして言った。
「ストーカーじゃっ!ありませんっ!」
「まぁまぁ……葵も帰っちゃったし、俺も一人じゃ寂しいからさ…もうちょっと付き合ってよ…奢るから…」
五月は少し考えたが、笑顔で宗吾に言った。
「私なんかで良かったら…」
「全然っ!君…面白いから、ただ…アルコールはもうだめだよ、君寝ちゃうから…」
五月は申し訳なさそうに言った。
「面目ないです…」
こうして奇妙な二人組の飲み会が始まった。
宗吾と五月と別れた葵は一人帰路に着こうとした。
すると前から美夢がやって来た。
「葵っ!」
「美夢…どうしてここに?」
「友達と買い物行った帰り…葵とお兄ちゃんが、いつもの店にいると思って…」
「警部殿とは……今……別れた」
「お兄ちゃん……一人で飲んでるの?」
「いや、ストーカー先輩と一緒…」
「あぁ、五月先輩ね……まだあんたの事、追ってるの?物好きたねぇ…」
「だから今は行かない方がいい…」
「そうする……お兄ちゃんに任せよう。帰ろっか…葵…」
美夢も五月に絡まれ、根掘り葉掘り聞かれて少し『五月アレルギー』になっている。
葵と美夢は五月を宗吾に任せて、帰る事にした。
今日は綺麗な月が出ている。
葵が月を眺めて言った。
「今日は……半月か……」
「綺麗だねっ!やっぱ人間…太陽と月は必要だよ」
「そうだな…」
「お兄ちゃんが言っていたよ…「昼は太陽で夜は月…それだけで酒は美味い」って」
「酒好きの警部殿が言いそうな、酒を飲む口実だな……でも…その通りだと、僕も思う…」
やはり人は太陽や月の光に照され、地に足を着けて生きて行けるから…。
命は…儚くもあり、美しい…。
……某日…午後……
葵は秋の少し肌寒い中、人が溢れる街中を歩いていた。
葵は歩と有紀に合う約束をしていた。
人混みの中葵は待ち合わせ場所の喫茶店へ向かう。
街の大きな交差点を、覆うように架かっている、巨大交差点を渡っている時だった。
交差点の上も人が多い…だがその中で確かに聞こえた。
「I saw again.(また会えましたね)」
その声に葵は反応した。
「I do not lose is time.(今度は負けませんよ)」
声の主を探すが、人が多すぎて…わからない。
辺りをキョロキョロする葵の、服の袖を引っ張る者がいた。
葵が袖先の方へと視線を移すと、子供がいた。男の子だ。
「君は?…」
男の子は言った。
「これお兄ちゃんに渡してって…」
「誰に?…」
「もう行っちゃった…」
笑顔の可愛らしい男の子から、茶封筒を手渡された。
葵は辺りを見渡したが……人が多すぎてわからない。
やがて男の子を呼ぶ声がした。
「ママだっ!…バイバイ」
男の子は母だと思われる女性の方へと、走って行った。
葵は男の子に手を振り、そして封筒の中身を見た。
それを見た葵は、思わず笑った。
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