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第八章 太陽の下で
③
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……東應医大…喫茶店……
葵は有紀と喫茶店にいた。二人は皆の近況ついて話していた。
九条は目を覚ましてすぐに、退院の手続きをとって、退院した。
仕事が物凄く溜まっていたようで、九条が目を覚ました時、秘書の山村は大いに喜んだ。
九条にはあの世界での記憶は無かった。記憶が無いことによって、九条は自分に何が起こったのか、すぐに理解したそうだ。
九条は皆に簡単な挨拶をして無事退院した。次に会う時は派手にパーティーでもしようと言い、皆と別れた。
陸にしてもあの世界での記憶が無いので、無理に関わる必要なかった。
しかし、亜美には記憶が残っていたので、陸を気にしていた彼女にとっては少し辛かったかもしれない。
だが、歩と有紀の説得で、陸にあの世界での事は言わないでおく事を、何とか納得してもらった。
有紀は言った。
「祥子にあの世界での記憶は無かったよ…」
「やはりそうですか……彼女の精神状態は?」
有紀は言った。
「私は精神科医ではないからな……。でも安心しろ、信頼のおける精神科医に、彼女の事は任せた…」
葵はいつものアイスカフェラテをすすりながら言った。
「そうですか……。でも彼女はあの世界の記憶がなくなって、かえってよかったのかも知れませんね…」
「そうだな……。人を殺害した感触など忘れた方がいい……。結果……皆こうして生きているからな」
葵は言った。
「愛さんはどうなりました?話しによると不治の病だそうですが……」
有紀は少し気難しい表情になった。
「それなんだが…」
「どうかしましたか?」
「ただの胃潰瘍だった…」
葵はキョトンとして言った。
「はぁ……それは意外です。でも何故、有紀さんはそんな表情を?」
有紀の表情は気難しいままだ。
葵が尋ねた。
「何か気になる事が?」
有紀は言った。
「ああ……。彼女が教師なのは葵も知っているだろ?」
「はい、知っています」
「教師の職場はストレス社会だ……。急性胃潰瘍になる事はよくある話だし、そこは不思議ではない…」
「確かにそうですね。だとしたら愛さんは誤診で末期の胃ガンと診察されたのでは?」
「うむ、そうなんだが……それがどうもおかしいんだ」
「おかしい?」
「彼女は近くの内科で診察を受けて、末期の胃ガンだと診察されたらしい」
葵も表情が険しくなった。
「確かにそうですね……。町医者で末期の胃ガンと診断するのは……あり得ませんね」
「ああ……仮に胃ガンの可能性があったとしても……。より、確実に検査をするために、大学病院などの大きな病院を紹介するはずだ。その場で末期の胃ガンと診断するのは……無い……。誤診もいいところだ」
葵は言った。
「その町医者とは?」
有紀は言った。
「そこからが問題なんだ……。愛に聞いた病院を調べたら……そんなものは存在しなかったんだ」
「では、その病院は…」
「誰かが作った架空の病院だったんだ。そして、愛は診断されたその日の夜に……意識を無くした…」
葵は言った。
「アマツカが仕組んだようですね」
「お前もそう思うか?」
「そう考えるのが普通ですよ……。しかし、だとすれば……やはり彼は恐ろしい…」
「そうだな……人身掌握に長けている」
葵や有紀が言うように、アマツカは人の心を利用して目的を遂行する。
今回の祥子や愛といったように、彼女らを利用し、ゲームを進行した。
アマツカの人選が見事にはまったとも言える。
葵は言った。
「アマツカは危険すぎます。あの思想に、頭のよさ……そして人身掌握に長けた点……。おそらくその能力の高さで、スポンサーも付けているのでしょう」
有紀が言った。
「まだ奴にかかわるのか?」
葵は髪をクルクルさせた。
「嫌でも、向こうからやってきますから……。どうやら彼は、僕と歩さんにご執心のようですから…」
「そんな呑気な事を言ってる場合ではないぞ…」
葵は話を変えた。
「ところで……マリアという女性の事は?」
記憶を失った謎の女性……通称マリア……。彼女に関しては、この東應医大にいなかったのだ。
彼女に関しては謎が多い……。歩に拳銃を渡したり、記憶が無い分、彼女に関しては謎が深まるばかりだ。
味方なのか敵なのか…それとも、また別の何かか。
有紀は言った。
「詳細はさっぱりだ…」
葵は髪をクルクルさせた。
「彼女はいったい何者だったのでしょう?拳銃を持っていたので、ただの一般人ではなさそうですが…」
有紀も言った。
「あと、記憶が無かったのが気になるな…」
「なかなか、スッキリしません…」
有紀が言った。
「話を逸らされたが……お前、これからどうするつもりだ?」
「アマツカの事ですか?」
「また奴が何かを仕掛けてくるのは、私でもわかるぞ」
「しかし、現状は後手にまわるしかありませんね。何せ向こうからの誘い待ちですから…」
「何か手はないのか?」
葵は髪をクルクルさせた。
「現状はお手上げです。しかし、彼をこのまま放っておく訳にもいきません。彼は、この世界を浄化すると、言ってるのですから…」
「危険人物にかわりないな…」
葵は言った。
「できるだけの準備はしておきます。今はそれくらいしかできませんから…」
いつ仕掛けられてもいいようにしておく。確かに葵の言うように、後手にならざる終えないこの現状では、できる限りの準備をするしかないのかもしれない。
……退院日……
やっと退院日がやって来た。
葵の母は用事のため病院にこれなかったが、代わりに美夢が来た。
美夢は言った。
「忘れ物ない?」
葵は言った。
「ないよ……子供でないんだから…」
見送りに来た歩が言った。
「相変わらずお似合いだね…」
茶化す歩の隣で、五月が写真をパシャパシャ撮っている。
葵が言った。
「何しているのですか?」
五月が言った。
「オカルト記事は、出せないから……違う記事を書こうかと…」
美夢が言った。
「何の記事を書くんですか?五月先輩…」
五月は胸を張って言った。
「決まってるじゃんっ!『東應の天変月島と学内アイドル藤崎、熱愛発覚!』これで決まりよっ!」
葵は呆れて言った。
「アホですね…」
五月は激昂した。
「アホとは何よっ!アホとはっ!」
葵は言った。
「もしそんな記事を掲載したら、訴えますから…」
訴えるという葵の言葉に、五月は怯んだ。それを見て美夢はクスクス笑っている。
最後に歩は言った。
「とにかく、日常に戻ったんだ。しっかり楽しんでね。まあ、君には刺激が足りないかも、だけど」
葵は笑って言った。
「いえ……当分は楽しみますよ。今を…」
葵の言葉にはアマツカとの戦いの前の、休息をとると、いった意味も込められていたのかも知れない。
葵は有紀と喫茶店にいた。二人は皆の近況ついて話していた。
九条は目を覚ましてすぐに、退院の手続きをとって、退院した。
仕事が物凄く溜まっていたようで、九条が目を覚ました時、秘書の山村は大いに喜んだ。
九条にはあの世界での記憶は無かった。記憶が無いことによって、九条は自分に何が起こったのか、すぐに理解したそうだ。
九条は皆に簡単な挨拶をして無事退院した。次に会う時は派手にパーティーでもしようと言い、皆と別れた。
陸にしてもあの世界での記憶が無いので、無理に関わる必要なかった。
しかし、亜美には記憶が残っていたので、陸を気にしていた彼女にとっては少し辛かったかもしれない。
だが、歩と有紀の説得で、陸にあの世界での事は言わないでおく事を、何とか納得してもらった。
有紀は言った。
「祥子にあの世界での記憶は無かったよ…」
「やはりそうですか……彼女の精神状態は?」
有紀は言った。
「私は精神科医ではないからな……。でも安心しろ、信頼のおける精神科医に、彼女の事は任せた…」
葵はいつものアイスカフェラテをすすりながら言った。
「そうですか……。でも彼女はあの世界の記憶がなくなって、かえってよかったのかも知れませんね…」
「そうだな……。人を殺害した感触など忘れた方がいい……。結果……皆こうして生きているからな」
葵は言った。
「愛さんはどうなりました?話しによると不治の病だそうですが……」
有紀は少し気難しい表情になった。
「それなんだが…」
「どうかしましたか?」
「ただの胃潰瘍だった…」
葵はキョトンとして言った。
「はぁ……それは意外です。でも何故、有紀さんはそんな表情を?」
有紀の表情は気難しいままだ。
葵が尋ねた。
「何か気になる事が?」
有紀は言った。
「ああ……。彼女が教師なのは葵も知っているだろ?」
「はい、知っています」
「教師の職場はストレス社会だ……。急性胃潰瘍になる事はよくある話だし、そこは不思議ではない…」
「確かにそうですね。だとしたら愛さんは誤診で末期の胃ガンと診察されたのでは?」
「うむ、そうなんだが……それがどうもおかしいんだ」
「おかしい?」
「彼女は近くの内科で診察を受けて、末期の胃ガンだと診察されたらしい」
葵も表情が険しくなった。
「確かにそうですね……。町医者で末期の胃ガンと診断するのは……あり得ませんね」
「ああ……仮に胃ガンの可能性があったとしても……。より、確実に検査をするために、大学病院などの大きな病院を紹介するはずだ。その場で末期の胃ガンと診断するのは……無い……。誤診もいいところだ」
葵は言った。
「その町医者とは?」
有紀は言った。
「そこからが問題なんだ……。愛に聞いた病院を調べたら……そんなものは存在しなかったんだ」
「では、その病院は…」
「誰かが作った架空の病院だったんだ。そして、愛は診断されたその日の夜に……意識を無くした…」
葵は言った。
「アマツカが仕組んだようですね」
「お前もそう思うか?」
「そう考えるのが普通ですよ……。しかし、だとすれば……やはり彼は恐ろしい…」
「そうだな……人身掌握に長けている」
葵や有紀が言うように、アマツカは人の心を利用して目的を遂行する。
今回の祥子や愛といったように、彼女らを利用し、ゲームを進行した。
アマツカの人選が見事にはまったとも言える。
葵は言った。
「アマツカは危険すぎます。あの思想に、頭のよさ……そして人身掌握に長けた点……。おそらくその能力の高さで、スポンサーも付けているのでしょう」
有紀が言った。
「まだ奴にかかわるのか?」
葵は髪をクルクルさせた。
「嫌でも、向こうからやってきますから……。どうやら彼は、僕と歩さんにご執心のようですから…」
「そんな呑気な事を言ってる場合ではないぞ…」
葵は話を変えた。
「ところで……マリアという女性の事は?」
記憶を失った謎の女性……通称マリア……。彼女に関しては、この東應医大にいなかったのだ。
彼女に関しては謎が多い……。歩に拳銃を渡したり、記憶が無い分、彼女に関しては謎が深まるばかりだ。
味方なのか敵なのか…それとも、また別の何かか。
有紀は言った。
「詳細はさっぱりだ…」
葵は髪をクルクルさせた。
「彼女はいったい何者だったのでしょう?拳銃を持っていたので、ただの一般人ではなさそうですが…」
有紀も言った。
「あと、記憶が無かったのが気になるな…」
「なかなか、スッキリしません…」
有紀が言った。
「話を逸らされたが……お前、これからどうするつもりだ?」
「アマツカの事ですか?」
「また奴が何かを仕掛けてくるのは、私でもわかるぞ」
「しかし、現状は後手にまわるしかありませんね。何せ向こうからの誘い待ちですから…」
「何か手はないのか?」
葵は髪をクルクルさせた。
「現状はお手上げです。しかし、彼をこのまま放っておく訳にもいきません。彼は、この世界を浄化すると、言ってるのですから…」
「危険人物にかわりないな…」
葵は言った。
「できるだけの準備はしておきます。今はそれくらいしかできませんから…」
いつ仕掛けられてもいいようにしておく。確かに葵の言うように、後手にならざる終えないこの現状では、できる限りの準備をするしかないのかもしれない。
……退院日……
やっと退院日がやって来た。
葵の母は用事のため病院にこれなかったが、代わりに美夢が来た。
美夢は言った。
「忘れ物ない?」
葵は言った。
「ないよ……子供でないんだから…」
見送りに来た歩が言った。
「相変わらずお似合いだね…」
茶化す歩の隣で、五月が写真をパシャパシャ撮っている。
葵が言った。
「何しているのですか?」
五月が言った。
「オカルト記事は、出せないから……違う記事を書こうかと…」
美夢が言った。
「何の記事を書くんですか?五月先輩…」
五月は胸を張って言った。
「決まってるじゃんっ!『東應の天変月島と学内アイドル藤崎、熱愛発覚!』これで決まりよっ!」
葵は呆れて言った。
「アホですね…」
五月は激昂した。
「アホとは何よっ!アホとはっ!」
葵は言った。
「もしそんな記事を掲載したら、訴えますから…」
訴えるという葵の言葉に、五月は怯んだ。それを見て美夢はクスクス笑っている。
最後に歩は言った。
「とにかく、日常に戻ったんだ。しっかり楽しんでね。まあ、君には刺激が足りないかも、だけど」
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