OVER-DRIVE

陽芹孝介

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第十四話 別れと出発

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  出航準備前のウィングのフリースペースには、皆が集まり話をしていた。
 「目的地は何処なんだ?」
  ギルの素朴な疑問に、ユイも乗っかった。
 「あっ……それアタシも知らない……」
  するとジンが言った。
 「我々の目的地は……エスパドールだ」
  ギルが言った。
 「エスパドールっつたら……発掘大国じゃねぇか」
  ジンが言った。
 「我々の旅にあてはない……しかし、それを継続さすには、それなりの資金が必要なのだ」
  エリスも言った。
 「スポンサーになって貰おってわけ……」
  ギルが言った。
 「あてのない旅か……まぁ俺には持ってこいだが……」
 「アタシも異論な~しっ!楽しければいいもんねっ!」
  ユイがそう言ったところでロックが言った。
 「で?次は?……エスパドールまでは、まだまだあるぜ……」
  ジンが言った。
 「ライフシティーの南『エルサ平原』を越えて、『ドレル』で補給し……その南の『ダルム神殿』へ行こうと思う」
  ユイは目をシパシパさせた。
 「いっきに言い過ぎ……わけがわからん……」
  ロックが言った。
 「ドレルは元は小さな王国で……通称剣豪国家と言われていた。だからドレル出身の剣士はそこそこやるぜ」
  ジンが言った。
 「そしてダルム神殿は……錬金術の発祥と言われている神殿だ……。世界で発行されている錬金術資格は、全てダルム神殿から許可が下りてから発行される」
  エリスは呟いた。
 「錬金術の……発祥……」
  ロックが言った。
 「大バァから聞いた話の事もあるからな……どうせ行き道だし、寄る価値はあるだろ……」
  するとギルがジンに言った。
 「だったらエルサ平原にも寄ってくれ……。そこで採れる『エルサ草』は薬の調合に万能だからな」
  ジンはアゴをさすった。
 「なるほど……では、休憩がてらに寄るか……」
  そう言ったジンは立ち上がり、皆に言った。
 「そろそろ浮遊石も暖まっただろう……私は離水準備をする」
  ジンはそう言うと、フリースペースを後にし、それを確認したロックがぼそりと言った。
 「アイツそういやぁ……ここに来てから橋を爆破した以外、何かやったか?」
  ユイが言った。
 「ずっと漁船を弄ってたみたいだよ……。あとアタシとロックが乗ってたエアバイクも弄ってた」
  エリスが言った。
 「新しいメカでも造ってんのかなぁ?」
  ロックが言った。
 「まぁアイツが造るもんだから……期待はできんだろ……」
  しばらく皆が話していると、部屋のスピーカーからジンの声がした。

 『お前ら甲板に出てみろ』

  ジンの呼び掛けに、一同はフリースペースを後にし、甲板に出た。
  その光景に一同は目を丸くした。
 「こりゃあ……」
  港にはライフシティーの住人達が集結し、ロック達を見送りに来ていたのだ。
  その数は30~40人はおり、港は騒然としていた。
 「青髪の旦那っ!」「ギル先生っ!」
  ロック達を確認すると、住人達は歓声を上げた。
 「あっ!姉ちゃんっ!」
  ユイがそう言った視線の先には、マキと車イスに乗った大バァもおり、ユイを見送っている。
 「ユイッ!たまには帰ってくのよぉっ!」
  マキの叫びに、ユイは涙ぐんで何度も頷いた。
 「うんっ!……うんっ!……ぐすっ……」
  すると住人の中にはジルとドルの親子もいた。
 「兄貴……それに親父まで……」
  二人を見付けて呟くギルに、ジルは拳を握って、ギルに向けた。
  ギルはその様子に一瞬目を見開いたが、すぐにニヤリとして、拳を突き返した。
 「ギル先生っ!がんばれよっ!」
 「たまには帰ってきてねっ!」
 「ここはアンタの故郷だっ!」
  ロックはギルに言った。
 「寂しいか?」
  ギルは微笑した。
 「へっ……ダァホが……誰が……。寂しいどころか、やる気がみなぎるよ……」
 「そうかいっ……」
  ロックはエリスとユイ、そしてギルに言った。
 「んじゃあ行くかっ!次の目的地に……」
  ウィングは勢いよく離水し、空に上がった。

  それは町と住人……これまでに出会った者との別れでもあったが、新たな仲間も出来た。
  新たなる想いを乗せて、ウィングは次の目的地に向かって、勢いよくライフシティーから飛び立った。


  ……北東部ブリージア地区……

  ロック達がライフシティーから旅立った頃……北東の地ブリージアではアデル軍による統治が本格化していた。
  アデルの管轄になる事を拒否し続けたが……その抵抗も虚しく、先日とうとうアデル軍の介入によって、ブリージアはあっさりと陥落した。
  この侵攻及び統治を一任されているのが、元アデル十傑でるジャミル将軍だ。
  ジャミルはこの日、統治が本格化してから初めてブリージアに入った。
  北東部ブリージアは少数民族ブリージア人の歴史ある土地で、近代的には程遠かったが、歴史や文化を重んじるブリージアは平穏にその歴史を刻んできたのだ。
  しかし……建造物等は破壊され、荒れ果てた姿に、その面影は既になかった。
  軍の用意したテントに待機していたジャミルに、部下が報告に来た。
 「ジャミル将軍っ!『赤石せきせき』を発見しましたっ!」
  部下の報告に、ジャミルの表情は険しくなった。
 「ここに……」
 「はっ!」
  部下は高級そうな小箱を、ジャミルに手渡した。
  ジャミルがその箱を開けると……。
 「美しい……」
  箱の中には、赤く輝く小さな丸い宝石が、ジャミルの瞳を照らしていた。
  ジャミルは箱を閉じて立ち上がった。
 「すぐにアデルに戻り、ロメロ博士に解析させろ……」
  部下は背筋を伸ばして敬礼した。
 「はっ!」
  ジャミルは悪どくニヤついた。
 「ククク……この赤石が……『オーバードライブ』なら……」
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