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神界転生
南家の悲劇
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南家では ペット猫タマが家出して 改めて 可愛がっていたペットがいなくなった事に 主(あるじ) 妻 主の母は 何となく喪失感に襲われていた。
特に 主の母 ヨネは 日頃 タマ相手に庭に出たり 縁側で日向ぼっこなど 高齢者特有の生活不活発状態が予防できていたが、その日常的な習慣が無くなると 一気に老けこみ食事やトイレ以外自室に引き篭もりがちになってきた。
「 タマちゃん 何処にいったのかしら?
ちゃんとご飯食べているかしら… あの子 味にうるさい猫だっから… 残飯漁り‥?できっこない‥」
「猫は死に際は人様に見せないってよく言うじゃないか…きっと死場所をみつけたんだろぅよ!」
主の晩酌の量が増えている。
「そんな事より イトは ? 2階から降りて来ないのか」
手酌の酌の回数が増える夫を見て
「お父さん、ちょっとお酒…控えた方がいいんじゃないですか?」
朝子は心配気に夫を見つめる。
「ただいまぁ‥」
勢いの無いイトの声が玄関の方から聴こえた。
「イトちゃん お帰り …」
ダウンジャケットを衣紋掛けに引っ掛けて マスクをしたままのイトが手を洗って 居間に入ってきた。
「隣り町の動物保護センターに行って来た‥あそこ 山の中にあるから、バスの本数が少ないのよ 職員さんにタマの拡大写真渡してきたんだけど‥ 似たような猫来たら 連絡してって お願いしてきた…」
「そうだったの… ご飯にしましょ?」
朝子がちゃぶ台から立ち上がろうとすると、
「まだ いいわ 食欲ないわ‥ タマが家出したのは、私のせいかもしれない… とにかく のたれ死んだりしてたら…一生後悔するかも‥ もうお爺ちゃんだし、 〝いたずら〟した私のせいなのよ…」
【その頃 天界では‥】
天君の20万歳の生誕祭が盛大に催されていた。
天宮門の真正面に姿を現した二人の見目麗しき男神‥
1人は漆黒の黒髪を腰まで伸ばし顔周りの髪を薄く梳き取り後頭部の少し上辺りでシンプルに、縛り周りは黒髪のひと束でぐるぐる巻にした上から縹色の絹のリボンで蝶に結び翡翠の簪で解けないように結び目を串刺した髪型。
血の気のない白い皮膚、綺麗な半円の眉毛 まつ毛まで漆黒で カッと見開いた眼(まなこ)は碧海を彷彿とさせる濃い青緑色。 その真ん中の瞳ときたら、墨黒でキラキラと光りに反射して性別問わず吸い込まれそうな美しい顔立ちだった。
その躰も長身で身につけた着物は、白い薄絹をいくえにも着重ねて髪を結えた縹色のリボンと同じ光沢のある絹の上着を羽織りその上からたっぷり身幅をとった透ける白い絹羽二重を重ね着し足元と地面スレスレまで充分な長さのある贅沢な仕立ての着物だった。
そして 隣の神ときたら、同じく漆黒の黒髪を頭頂部でお団子状に結上げ真珠の玉飾りでお団子の元を巻き付け残りはだらりと左右に下げている。光沢のある絹の着物は下に白煉、上着は瑠璃紺の二枚重ねですっきりと着こなし腰帯はやや緩く結んでいるから 堅い印象の色合いの衣がその男神の妖艶な面立ちも相まってかえって色めかしい印象を天宮門に集まってきた神々に与えた。
「何とも豪華絢爛な二人よ、あのもの等 愛玩されるための神獣とはいえ 天族の麗しい神々を彷彿とさせるわ」
と、小声で噂されるほどだった。
『兄上 兄上とご一緒すると いつも神々から羨望され 心地良いことこの上ない‥♪』
『フンッ… あの者らにとって 我らは所詮愛玩獣からの成り上がり者…蔑みの言葉が分からないか? おめでたい奴め 』
天界の一日は 人間界の一年に相当すると言われている。
蒼霊や青牙が天帝の誕生日を祝う宴席にいる間に 人間界の南家では、次々と、災難が降りかかっていた。
【そして人間界】
タマが家出した1年後‥‥‥
イトの祖母、ヨネは安らかにその75歳の生涯を閉じた。
「ヨネさん 急に‥」
南家は、四十九日の精進上げの席を法要後に用意していた。
生前ヨネと親しくしていた知人達も親類縁者に混じって故人を偲び思い出話しに時間も過ぎてきたころ、
「皆さま、本日は 我が母 南 ヨネの四十九日の法要にお運びいただき、故人になり代わりまして 御礼を申し上げ、‥‥‥もう‥し‥
‥」
主の 孝徳が その場に へなへなと崩れ落ち 横たわってしまった。
あなたぁ! あなたっ! 孝徳さんっ ! しっかりしてっ!
救急車っ!救急車っ! お父さんっ! 動かすなっ!
触るなっ 頭の血管切れてるかもしれない! ! !
幸いにも 孝徳は一命を取り止めた。 しかし 後遺症は重く残り 言葉が出なくなり、また手脚の麻痺により自分の身の回りのことができなくなっていた。
ヨネの納骨すら済ませられないまま この先、家計の事を考えたら イトものんびり出来る立場ではなくなり 毎日ハローワーク通いが続いている。
長男の徳也(ヨシヤ)は、就職先からは内定を貰って今はアルバイトを沢山掛け持ちしながら 出来るだけ経済的な負担をかけずに来年大学を卒業する事に専念していた。
「お母さん、色々考えたって 仕方が無いから、もう休んだら? アタシだって 就職面接受けまくってるし、アタシの退職金、失業保険も全部家に入れるから 大丈夫だって‥ お父さんも最近は自分でご飯食べれるようになったって 言ってたじゃない?」
最近の朝子の様子も不安定で 喜んでいたとおもったら 急に塞ぎ込む事が増えてきた。
アタシも早く仕事きめなきゃ…
イトの歳になると キャリアが、邪魔をして好条件の求人先から採用の返事は来ない。 大学を卒業して一部上場の商社勤務が足を引っ張る。
ハローワークの帰り道 この一年 色々ありすぎて気にも留めていなかった近所の大銀杏の木がある小さな公園。
タマは、ここで鳴いていた…
家出したまま行方不明の飼い猫は 歳から考えて生きてはいまいと思うイトだった。
全て落葉し幹回りだけで視界を遮る銀杏の木を回り込むと、
あら 新しいお弁当屋が出来てる…
お母さんとお昼 お弁当にしよう♪
イトは母に お昼ごはんの用意はしなくていいとメールした。
周辺は雑居ビルやマンションが建ち並び、すっかり都会になっていた。
全く気にしてなかった…こんなに建物だらけの町だった、
まぁそれにしても 銀杏の公園 開発されず残っている…
小学校低学年の子供達が大きなランドセルを背負って散々午後下校している。
公園の二つあるブランコは男の子と女の子がギコギコ揺らしながら乗っていた。それをベンチで見守るママ友らしき2人が笑顔で楽しげに会話している。
幸せそうだな…
小さな雑居ビルに挟まれた二階建ての古い木造住宅の一階が店舗になっていた。
随分長いことシャッター降りていたよ…ここ
綺麗にリフォームされ
黄色い日除けに[ニコニコ弁当]の文字。
硝子引き戸を両サイドに開き 沢山のメニューの短冊が所狭しと貼り付けられている。
立て看板も黄色に 実物弁当の、写真が転写されていた。
弁当を受け取る台には A4サイズのラミネート加工した弁当の写真とメニューの文字
「いらっしゃいませ お決まりになったらお声かけください」
弁当の手渡し口から店員の声が響くが 戸外が明るくて中の店員は逆光でよく見えなかった。
「すみません、 幕の内弁当二つ お願いします」
「はいっ かしこまりましたぁ」
元気のいい店員さん…
イトは弁当が出来上がる間 少し下がって ニコニコ弁当の店構えを観察して …
【パート募集】の小さな張り紙が ニコニコ弁当の立て看板に貼ってあるのが目に止まった。
イトは衝動的に
弁当の受け取り口で 「あのーパートまだ募集してますか?」
【またまた、天界では、】
『蒼霊さま 伽羅様お目通りを願っておりますが…』
~*~~*~~*~~*~~*~*~~
私が、天界に戻ったその日は日柄も良く天帝の誕生日を祝う宴が催されていた。
数ヶ月ぶりに 天帝に目通りすると、なんと天帝の何番めかの側室の娘‥つまり皇女の隣りで伽羅が、はべっていた。
『蒼霊よ、久しく目通りせなんだが 息災であったのか?』
『天君 2年の間 人間界に降っておりました。』
『そうであったか、実は 其方が不在であったため班翁に頼んで其方の取り巻きの伽羅を我が皇女に譲り受けたのだ、了解してくれるか?』
『畏れ多い、伽羅のような無粋なモノで 皇女さまを、お慰みできますでしょうか?』
『はははは、それが 湘緋(しょうひ)は 伽羅にぞっこんなのだよ …
かの帝君が 蒼霊墟で其方の祖先を愛玩していたことを 実は余は不可思議に思えていたのだが… 湘緋が片時も手放さないと側室が心配するので 様子を見たが 確かに あの毛感触 しなやかな身のこなし、人形にして連れ歩くも 見目麗しく なかなかに武術も優れて 皇女の護衛にもなるではないか! 余は少し蒼霊族を冷遇しすぎていたやもしれぬと、悔やんだ。これからは 10大神獣に劣らぬ地位を授ける。』
伽羅め 上手く立ち回ったな…
『畏れ多き有難き幸せ』
~~*~~*~~*~~*~~*~~*
『目通りする 通せ 』
『殿下っ お帰りなさませっ』
皇女にかわいがられていると見えて 毛艶の良いこと!
しかも その身につけし金糸の刺繍が入った上着…相当貢がれておるな…
蒼霊と碁の対局をしていた青牙が 伽羅の変わりようを瞳孔を細くして値踏みする。
『私を覚えていてくれたか‥』
『蒼霊様! 蒼霊様を忘れてしまうなどっ、あり得ませぬ。
…何を、お戯ればかり…』
碁盤を挟んで 蒼霊と対峙している 猫族第二皇子 青牙が
『伽羅 湘緋殿下は優しく扱ってくださるか?』
『青牙様っ ‥ どうお答えいたせば‥』
伽羅の困惑など意に返さず 蒼霊は
『青牙っ お前の番だ 』
碁の勝負に執着していた。
青牙が次の手を打ちながら、
『つまりは、皇女は猫可愛がりが 上手か?と聴いているのだ』
『そっそうで ございますねえ‥』
伽羅の金色の眼球の中の瞳孔がキュッと締まって一本の縦線になった。
『伽羅っ お前はもう 私を警護しなくても良い身。皇女を御守りする役目を全うするがよい』
碁は蒼霊が優勢を保っていた。
すると 天籍を有しながら 人間界に身を置く 無虞から 蒼霊に報告が入った。
‥‥‥‥
〻 蒼霊様‥ イト様のお命 あと僅かかと‥〻
‥イトめ… まだしぶとく生きておったのか…
〻どのようにさせていただきましょうか?
すでに イト様には ご親族もいらっしゃらず、今はひっそり私供の猫に看取られながら 息を引き取る寸前でございます。〻
天界の三日は 人間界の三年に相当する。
【三年前…】
「お母さん、あのね、なかなか就職先がさ、決まらないからね、とりあえず銀杏公園の近くに お弁当屋さんができたから そこで明日からアルバイトするわ そこの幕の内買ってきたよ お母さんっ」
イトは マスクしたままいつものように ダウンコートを右衛門掛けに引っ掛けて 洗面所で手指を入念に洗い 居間に居るはずの母親に話しかけながら幕の内弁当を持って居間の襖を開けた。
「あれ…お母さん? 待っててってメールしたのに…どこに出掛けたの⁈」
台所に行くと 朝子の携帯が置きっぱなしだった。 え?
着信と着信メールが数件表示されている。
「たしか…パスワードは お父さんの誕生日?」
イトは母の携帯の着信番号に 電話を返してみた。
「もしもし…」
「ハイ 南いこまリハビリセンター附属病院です」
えっ お父さんの病院?…
「あのぉ そちらに入院している 南 孝徳の家の者ですが電話いただいたでしょうか?」
「少々お待ち下さい 今 お調べします…」
お父さん…何かあったの?
「すみません 今から病棟にお繋ぎします」
‥‥‥‥
特に 主の母 ヨネは 日頃 タマ相手に庭に出たり 縁側で日向ぼっこなど 高齢者特有の生活不活発状態が予防できていたが、その日常的な習慣が無くなると 一気に老けこみ食事やトイレ以外自室に引き篭もりがちになってきた。
「 タマちゃん 何処にいったのかしら?
ちゃんとご飯食べているかしら… あの子 味にうるさい猫だっから… 残飯漁り‥?できっこない‥」
「猫は死に際は人様に見せないってよく言うじゃないか…きっと死場所をみつけたんだろぅよ!」
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「そんな事より イトは ? 2階から降りて来ないのか」
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「お父さん、ちょっとお酒…控えた方がいいんじゃないですか?」
朝子は心配気に夫を見つめる。
「ただいまぁ‥」
勢いの無いイトの声が玄関の方から聴こえた。
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ダウンジャケットを衣紋掛けに引っ掛けて マスクをしたままのイトが手を洗って 居間に入ってきた。
「隣り町の動物保護センターに行って来た‥あそこ 山の中にあるから、バスの本数が少ないのよ 職員さんにタマの拡大写真渡してきたんだけど‥ 似たような猫来たら 連絡してって お願いしてきた…」
「そうだったの… ご飯にしましょ?」
朝子がちゃぶ台から立ち上がろうとすると、
「まだ いいわ 食欲ないわ‥ タマが家出したのは、私のせいかもしれない… とにかく のたれ死んだりしてたら…一生後悔するかも‥ もうお爺ちゃんだし、 〝いたずら〟した私のせいなのよ…」
【その頃 天界では‥】
天君の20万歳の生誕祭が盛大に催されていた。
天宮門の真正面に姿を現した二人の見目麗しき男神‥
1人は漆黒の黒髪を腰まで伸ばし顔周りの髪を薄く梳き取り後頭部の少し上辺りでシンプルに、縛り周りは黒髪のひと束でぐるぐる巻にした上から縹色の絹のリボンで蝶に結び翡翠の簪で解けないように結び目を串刺した髪型。
血の気のない白い皮膚、綺麗な半円の眉毛 まつ毛まで漆黒で カッと見開いた眼(まなこ)は碧海を彷彿とさせる濃い青緑色。 その真ん中の瞳ときたら、墨黒でキラキラと光りに反射して性別問わず吸い込まれそうな美しい顔立ちだった。
その躰も長身で身につけた着物は、白い薄絹をいくえにも着重ねて髪を結えた縹色のリボンと同じ光沢のある絹の上着を羽織りその上からたっぷり身幅をとった透ける白い絹羽二重を重ね着し足元と地面スレスレまで充分な長さのある贅沢な仕立ての着物だった。
そして 隣の神ときたら、同じく漆黒の黒髪を頭頂部でお団子状に結上げ真珠の玉飾りでお団子の元を巻き付け残りはだらりと左右に下げている。光沢のある絹の着物は下に白煉、上着は瑠璃紺の二枚重ねですっきりと着こなし腰帯はやや緩く結んでいるから 堅い印象の色合いの衣がその男神の妖艶な面立ちも相まってかえって色めかしい印象を天宮門に集まってきた神々に与えた。
「何とも豪華絢爛な二人よ、あのもの等 愛玩されるための神獣とはいえ 天族の麗しい神々を彷彿とさせるわ」
と、小声で噂されるほどだった。
『兄上 兄上とご一緒すると いつも神々から羨望され 心地良いことこの上ない‥♪』
『フンッ… あの者らにとって 我らは所詮愛玩獣からの成り上がり者…蔑みの言葉が分からないか? おめでたい奴め 』
天界の一日は 人間界の一年に相当すると言われている。
蒼霊や青牙が天帝の誕生日を祝う宴席にいる間に 人間界の南家では、次々と、災難が降りかかっていた。
【そして人間界】
タマが家出した1年後‥‥‥
イトの祖母、ヨネは安らかにその75歳の生涯を閉じた。
「ヨネさん 急に‥」
南家は、四十九日の精進上げの席を法要後に用意していた。
生前ヨネと親しくしていた知人達も親類縁者に混じって故人を偲び思い出話しに時間も過ぎてきたころ、
「皆さま、本日は 我が母 南 ヨネの四十九日の法要にお運びいただき、故人になり代わりまして 御礼を申し上げ、‥‥‥もう‥し‥
‥」
主の 孝徳が その場に へなへなと崩れ落ち 横たわってしまった。
あなたぁ! あなたっ! 孝徳さんっ ! しっかりしてっ!
救急車っ!救急車っ! お父さんっ! 動かすなっ!
触るなっ 頭の血管切れてるかもしれない! ! !
幸いにも 孝徳は一命を取り止めた。 しかし 後遺症は重く残り 言葉が出なくなり、また手脚の麻痺により自分の身の回りのことができなくなっていた。
ヨネの納骨すら済ませられないまま この先、家計の事を考えたら イトものんびり出来る立場ではなくなり 毎日ハローワーク通いが続いている。
長男の徳也(ヨシヤ)は、就職先からは内定を貰って今はアルバイトを沢山掛け持ちしながら 出来るだけ経済的な負担をかけずに来年大学を卒業する事に専念していた。
「お母さん、色々考えたって 仕方が無いから、もう休んだら? アタシだって 就職面接受けまくってるし、アタシの退職金、失業保険も全部家に入れるから 大丈夫だって‥ お父さんも最近は自分でご飯食べれるようになったって 言ってたじゃない?」
最近の朝子の様子も不安定で 喜んでいたとおもったら 急に塞ぎ込む事が増えてきた。
アタシも早く仕事きめなきゃ…
イトの歳になると キャリアが、邪魔をして好条件の求人先から採用の返事は来ない。 大学を卒業して一部上場の商社勤務が足を引っ張る。
ハローワークの帰り道 この一年 色々ありすぎて気にも留めていなかった近所の大銀杏の木がある小さな公園。
タマは、ここで鳴いていた…
家出したまま行方不明の飼い猫は 歳から考えて生きてはいまいと思うイトだった。
全て落葉し幹回りだけで視界を遮る銀杏の木を回り込むと、
あら 新しいお弁当屋が出来てる…
お母さんとお昼 お弁当にしよう♪
イトは母に お昼ごはんの用意はしなくていいとメールした。
周辺は雑居ビルやマンションが建ち並び、すっかり都会になっていた。
全く気にしてなかった…こんなに建物だらけの町だった、
まぁそれにしても 銀杏の公園 開発されず残っている…
小学校低学年の子供達が大きなランドセルを背負って散々午後下校している。
公園の二つあるブランコは男の子と女の子がギコギコ揺らしながら乗っていた。それをベンチで見守るママ友らしき2人が笑顔で楽しげに会話している。
幸せそうだな…
小さな雑居ビルに挟まれた二階建ての古い木造住宅の一階が店舗になっていた。
随分長いことシャッター降りていたよ…ここ
綺麗にリフォームされ
黄色い日除けに[ニコニコ弁当]の文字。
硝子引き戸を両サイドに開き 沢山のメニューの短冊が所狭しと貼り付けられている。
立て看板も黄色に 実物弁当の、写真が転写されていた。
弁当を受け取る台には A4サイズのラミネート加工した弁当の写真とメニューの文字
「いらっしゃいませ お決まりになったらお声かけください」
弁当の手渡し口から店員の声が響くが 戸外が明るくて中の店員は逆光でよく見えなかった。
「すみません、 幕の内弁当二つ お願いします」
「はいっ かしこまりましたぁ」
元気のいい店員さん…
イトは弁当が出来上がる間 少し下がって ニコニコ弁当の店構えを観察して …
【パート募集】の小さな張り紙が ニコニコ弁当の立て看板に貼ってあるのが目に止まった。
イトは衝動的に
弁当の受け取り口で 「あのーパートまだ募集してますか?」
【またまた、天界では、】
『蒼霊さま 伽羅様お目通りを願っておりますが…』
~*~~*~~*~~*~~*~*~~
私が、天界に戻ったその日は日柄も良く天帝の誕生日を祝う宴が催されていた。
数ヶ月ぶりに 天帝に目通りすると、なんと天帝の何番めかの側室の娘‥つまり皇女の隣りで伽羅が、はべっていた。
『蒼霊よ、久しく目通りせなんだが 息災であったのか?』
『天君 2年の間 人間界に降っておりました。』
『そうであったか、実は 其方が不在であったため班翁に頼んで其方の取り巻きの伽羅を我が皇女に譲り受けたのだ、了解してくれるか?』
『畏れ多い、伽羅のような無粋なモノで 皇女さまを、お慰みできますでしょうか?』
『はははは、それが 湘緋(しょうひ)は 伽羅にぞっこんなのだよ …
かの帝君が 蒼霊墟で其方の祖先を愛玩していたことを 実は余は不可思議に思えていたのだが… 湘緋が片時も手放さないと側室が心配するので 様子を見たが 確かに あの毛感触 しなやかな身のこなし、人形にして連れ歩くも 見目麗しく なかなかに武術も優れて 皇女の護衛にもなるではないか! 余は少し蒼霊族を冷遇しすぎていたやもしれぬと、悔やんだ。これからは 10大神獣に劣らぬ地位を授ける。』
伽羅め 上手く立ち回ったな…
『畏れ多き有難き幸せ』
~~*~~*~~*~~*~~*~~*
『目通りする 通せ 』
『殿下っ お帰りなさませっ』
皇女にかわいがられていると見えて 毛艶の良いこと!
しかも その身につけし金糸の刺繍が入った上着…相当貢がれておるな…
蒼霊と碁の対局をしていた青牙が 伽羅の変わりようを瞳孔を細くして値踏みする。
『私を覚えていてくれたか‥』
『蒼霊様! 蒼霊様を忘れてしまうなどっ、あり得ませぬ。
…何を、お戯ればかり…』
碁盤を挟んで 蒼霊と対峙している 猫族第二皇子 青牙が
『伽羅 湘緋殿下は優しく扱ってくださるか?』
『青牙様っ ‥ どうお答えいたせば‥』
伽羅の困惑など意に返さず 蒼霊は
『青牙っ お前の番だ 』
碁の勝負に執着していた。
青牙が次の手を打ちながら、
『つまりは、皇女は猫可愛がりが 上手か?と聴いているのだ』
『そっそうで ございますねえ‥』
伽羅の金色の眼球の中の瞳孔がキュッと締まって一本の縦線になった。
『伽羅っ お前はもう 私を警護しなくても良い身。皇女を御守りする役目を全うするがよい』
碁は蒼霊が優勢を保っていた。
すると 天籍を有しながら 人間界に身を置く 無虞から 蒼霊に報告が入った。
‥‥‥‥
〻 蒼霊様‥ イト様のお命 あと僅かかと‥〻
‥イトめ… まだしぶとく生きておったのか…
〻どのようにさせていただきましょうか?
すでに イト様には ご親族もいらっしゃらず、今はひっそり私供の猫に看取られながら 息を引き取る寸前でございます。〻
天界の三日は 人間界の三年に相当する。
【三年前…】
「お母さん、あのね、なかなか就職先がさ、決まらないからね、とりあえず銀杏公園の近くに お弁当屋さんができたから そこで明日からアルバイトするわ そこの幕の内買ってきたよ お母さんっ」
イトは マスクしたままいつものように ダウンコートを右衛門掛けに引っ掛けて 洗面所で手指を入念に洗い 居間に居るはずの母親に話しかけながら幕の内弁当を持って居間の襖を開けた。
「あれ…お母さん? 待っててってメールしたのに…どこに出掛けたの⁈」
台所に行くと 朝子の携帯が置きっぱなしだった。 え?
着信と着信メールが数件表示されている。
「たしか…パスワードは お父さんの誕生日?」
イトは母の携帯の着信番号に 電話を返してみた。
「もしもし…」
「ハイ 南いこまリハビリセンター附属病院です」
えっ お父さんの病院?…
「あのぉ そちらに入院している 南 孝徳の家の者ですが電話いただいたでしょうか?」
「少々お待ち下さい 今 お調べします…」
お父さん…何かあったの?
「すみません 今から病棟にお繋ぎします」
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だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。
最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。
この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。
そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。
そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。
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