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神界転生
捨てられた飼い主
しおりを挟むイトは 人間界の猫の姿となった私を こともあろうか、捕まえて鈴付きの首輪で拘束しようと動いた。
運動能力も皆無の女に捕まる私では無かったが、部屋から一歩も出られないように、せせ細い部屋の小窓を閉て鍵をかけた。
私は 人間界の丑三つ時の空気に触れないと 本来の神の姿に戻る事が出来ない。
「タマッ 当分 外出禁止だからね! あんたが化け猫だって お 母さん達にしられたら、あんた 保健所行きなんよ!わかってる? 保健所っていったら‥ 安楽死よ! 安楽死ぃ! 注射1回で殺されるのよ!」
裸のまま追い回していたのに 今頃気がついたのか やっと下着を着け出す卑しい女。
‥保健所に送られた方が早く天界に戻れるのだが‥
しかも 私を手にかけた獣医とイトは、残りの人生 辛酸を舐め尽くし、挙句非業の死を迎えるだろうに‥
知らぬが仏とはよく言ったものだ‥仏陀もヒトの諺に重宝に使われては、天界での面目もあったものではないが‥
今度戻ったら 仏陀の法会で馬鹿にしてやろうか‥
いや‥ 確か、東王父は仏教に造詣が深いと書物に記されていたような、
仏陀をからかうのは‥やめておこう‥
‥‥‥ それにしても イトめ、
私を保健所に引き渡すだけで 事は済むのだ、朝になったら保健所に行こうじゃないか‥
殺処分で後悔するのは お前の方だ、フフフフ
〝こらっ!なっ、何をするっ 〟
私ともあろうものが、尾を掴まれた…
あれやこれやと思考を巡らせているすきに イトに捕まった。
〝ならば 仕方がない。
さあ 保健所が開いたら私を連れて行ってくれ 〟
ところが、イトは私を抱き抱えてベッドに横になると 布団をすっぽりと被り、私に添い寝するかたちで 例の猫可愛がりを始めた。
「ねぇ タマちゃん‥ ほんとに 化け猫になっちゃったの? 嘘だよね、幻ぃ~ とか‥‥さっきのアレ は 何だった⁈ 最近 欲求不満な私のエッチしたい願望が あんな夢になった? ねぇ~ タマちゃん‥」
‥‥ 夢? なハズなかろう? 自分で躰を調べてみろ‥私に可愛がられた痕跡があるだろう‥
つっ! 不意に来るなっ!
くっ!あーぁ気持ちいい~
お前のその、指先コチョコチョは私のツボにドンピシャなんだ‥ おー! ゾクゾクするぞ!
ヒトの世の猫形に仙躰を納めていると 少しの猫可愛がりで不覚にも喉を鳴らしてしまう。
ぁぁ‥‥‥そこだ‥そこ‥おぉぉ‥
猫の躰が勝手に動きイトの指先に躰を強く擦り付けていく。
イトはイトで‥
「うぅん タマちゃんの毛感触が気持いい 猫吸いしちゃうっ」
イッ、イト! やめろっ 腹の柔らかいところを吸うんじゃ無い!
ダメだっ それ以上さがるなっ!
猿は一度自慰を覚えてしまうと 寝食を忘れるくらい行為に耽るらしいが、猫は春から夏の発情期に繁殖行動する至極真っ当な動物だ。
だが お前ときたら、私が自慰に耽る指先を持たないのをいいことに あろうことか 私のツボを激しく刺激しおって!
あっ あ あ あ あ あ あ あぁぁ~
「あら タマちゃん コレ もしかして 気持ちいいの? もっとしてあげる~」
や や やめろぉぉぉぉぉぉ。。。。。。。。
………… *・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「イトっ! イトぉっ いつまで寝てるの! 起きなさいっ
もう お昼よっ! 」
朝子が 昼前になっても起きてこないイトを、心配して二階の部屋までわざわざ起こしに来た。
扉が開いた瞬間に 私はイトの部屋を飛び出した。
しめたっ 朝子 よくやった!
一目散に階段を駆け下り 茶を飲むヨネを蹴飛ばし驚いて茶をこぼしたヨネを尻目に居間を突っ切った。台所の勝手口のいつもの出入り口目指して駆け抜けたつもりが、途中で 胴体がふわりと浮いた。
なっ なんだっ 誰だ 邪魔するやつは!
「タマっ 捕まえたぁ 、久々ぁっ もう20歳過ぎてるよな…すごくない! 足腰、めっちゃ動いてるじゃん! 」
… ヨシ か‥
この家の長男 徳也(ヨシヤ)が帰省したようだ‥
フン 捕まったのがお前でよかったわ‥
ガブッ!
ギャっ!
私はヨシヤの腕を 〝甘噛み〟して その腕から逃れ 勝手口の私専用の出入り口から 戸外に飛び出した。
「ヨシヤぁ タマっ 捕まえてぇー」
パジャマ姿で髪を振り乱したイトが二階から駆け下りてきたが、猫の姿は何処にもなかった。
「えっ 痛ぇっ … もう出て行っちゃったよ」
「何で 捕まえてくれなかったのよっ!」
「ヨッちゃん 消毒、消毒っ 猫に噛まれたら、ばい菌入って膿んでくるらしいからっ」
朝子は 薬箱を用意する。
「何ごと…騒がしい … あれ ヨシヤ…帰ってたの? 今年も帰ってこないとばかり思っていたわ おばあちゃんに顔みせなさいー」
ヨネが居間横の自室の襖を開け 孫を手招きした。
「義母さん ちょっとまっててください タマが ヨシヤの腕を引っ掻いたんで…消毒してますから、」
そうでも言わないと 噛んだ事を知ったら ヨネは捨てるか保健所に引き渡すかしろ と必ず言い出すと朝子が機転を効かせた。
勢いよく飛び出し振り返ったヒトの家の何と粗末なことか‥
ヒトの世の20年は 天界の2年にすぎない。私の修練は2年と司命君が決めて野良の過酷な暮らしを課していたが 普段の徳の高さから早々と 家猫になり 安寧に暮らすことができた。
天族の司命星君は、神々の運命を好き勝手に筋書き立てるが、にも関わらずその地位はあまり高くはない。
よって神々の最高位東王父に愛玩された我ら猫族にたいしては 元来嫉ましく思っている。度々、その時の気分で思いもよらぬ辛酸を修練の筋書きに書き入れる事甚だしい。
その筋書きに 誰かが、司命が逆らえない高位の神が、救済の一行を加えさせたに違いなかった。 その神は私に対して好意的だったのだろう…。
さて‥ イトの家に巡らせた結界を破ったので、そろそろ 迎えのものが来る筈だが…
いつもの野良の集会場所で 迎えを待っていると、いつの間にやらどことはなしに 天界に籍をもつ猫が集まってきた。
『蒼霊様 お戻りになられるのですね』
『無虞‥見送らずともよいのに‥‥』
『いえ いえ そうは参りませぬ。人間界で蒼霊様に何かあれば、私が戻れなくなります‥』
『 大袈裟な‥』
まだ 昼を過ぎたところで 猫形のまま僅かな仙力しかつかえず、単独で天界には戻れない。
天界の仙力の強いモノに同行して戻る方法が手っ取り早く 真昼間でも瞬間移動ができた。
そうこうしていると、一瞬白い靄が一塊たったかと見ると 透ける白い衣を幾重にも重ね着し 絹の白藍の上着を洒落に着流し玉の簪でお団子に結い上げた男子とも女子とも見分けのつかない美しい人形の猫神が立った。
『 迎えは お前か‥』
私の腹違いの弟 つまり猫族の王 班翁の側室の子‥
青牙。
『 蒼霊兄 お前か‥はないでしょう 伽羅が天族の姫に見初められ毎日後宮に入り浸り 役目を果たさぬゆえ やむにやまれず私がお迎えにあがった次第‥』
『青牙様 相変わらずの麗しきお姿、ご無沙汰致しております』
『無虞‥か? なんと 珍化な三毛の猫形 他になかったのか? お前はいつ戻るのだ?』
『無虞は 人間界が気に入って 当分は気ままな野良暮らしを続ける気だ‥』
私は 知らぬ顔をしながら 二人の話しに割って入った。
青牙と無虞は 他人の会話に割り込む無粋な蒼霊を呆れ顔で見た。
『私は お前たちの雑談を聞きたいわけではないっ 天界に戻るぞっ青牙!』
『兄上 では 参りましょうか…』
私は青牙の左肩に軽く手を置いた。
『無虞‥皆のモノ さらば 』
*・゜゚・*:.*:.。..:*・゜゚・**.。.*・:*・゜゚・*
『さらば‥って 行ったけど 南さん宅は 結界も破れちゃったし‥蒼霊様が降りてこられて イトさんの慈悲の行ないで 二十数年幸せを、絵に描いたような まるで ご長寿アニメのような家族だったが‥はてさて‥』
『無虞様ぁ それって どう言う事ですかぁ?』
白黒のブチ猫が 意味を説明しろと 無虞猫にニャンニャンまとわりついた。やがて見送りにきた 天界に籍をもつ数匹の猫達もニャァニャァ鳴き出すしまつ。
「まぁ 昼間から 野良の集会?」
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