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全日本学生美術展
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「おじさーん、おそすぎぃ!」
「あー ごめん、ごめん ついついラジオに聴き入ってて お待たせしたね 繭ちゃん」
店主は腰に手を添えて 歩くのが辛そうな歩様だった。
「おじさん 腰が痛いの?」
繭は店のレジ前にクロッキー帳を差し出しながら 店主がゆっくり近づいてくる姿を見ていた。
「いやぁ ねぇ 寝っ転がっていると起き上がりに腰が痛むんだな 年には勝てないよ」
レジスターで商品の値段を打ち込んでレシートとお釣りを繭に手渡しながら、
「あ、そうだ 繭ちゃん時間はあるかい?待たせてしまったお詫びに 特別なモノを見せてあげるよ!」
「え? 何? 何を見せてくれるの?」
「今年の学展の総理大臣賞 知ってるかい?」
「え~と 確か湘山工業高校の人だった?裸婦像?」
「そう それね 全国に展覧したあとね ここにあるんだよ!」
店主は 得意気に微笑んだ。
「うそー! なんで? 何でここにあるの?
嘘でしょー⁈」
「繭ちゃんは うちの二階初めてなんだよね、まあついてきなさい」
薄暗い店内の奥に直階段が壁に沿って二階に伸びている。普段は店先の陳列棚で欲しい画材を物色するだけなのだから今まで知るはずも無い。
店主の後について急な階段を登っていくと
わずかに天窓から光が差し込む程度の暗闇の中 油絵の具の匂いとカビの匂いが混じり合うどんよりとした空気が充満していた。
店主は窓に巡らされた遮光カーテンを引いた。
強烈な西陽が部屋全体を照らす。
そこは20畳程の広さで 所狭しと大小のキャンバスが重ねて立てかけられていた。
部屋の中ほどにF120号の巨大なキャンバスがイーゼルに乗って白いシーツがかけられていた。
「繭ちゃん、作者には内緒だよ、」
店主は指で内緒ポーズをとりながらシーツを剥ぎ取った。
繭は声も出せないほど目の前の絵画に圧倒されて その場に座り込んでしまった。
言葉では言い尽くせない迫力と神々しいまでの裸婦像
「繭ちゃん 大丈夫かい?」
店主は繭に立ち上がれるか 確かめるように手をさしのべた。
「おじさん 腰を抜かすってこんな感じかも、
こんな近くで 大賞受賞作品みるの初めてだし、すごい、すごい高校生!」
「そうだな 彼は時々 ここの絵画教室にきている子でね、静物画や、風景が題材の時は音沙汰ないんだけど 人が題材の時だけひょっこり来て 素晴らしいデッサンを仕上げるんだよ、 ど素人の私が言うのも信憑性ないが。まぁ一種の天才肌って言うか 素晴らしい才能の持ち主だな、
来年再び入賞でもしようもんなら、芸大には推薦されそうだね」
世の中には天才的な才能を苦もなく発揮できる人が存在する。
神に選ばれし人…
「そうだ 来週絵画教室あるからよかったら見学においで 堅苦しくない気楽なあつまりだから 一度来てみるといい」
「あー ごめん、ごめん ついついラジオに聴き入ってて お待たせしたね 繭ちゃん」
店主は腰に手を添えて 歩くのが辛そうな歩様だった。
「おじさん 腰が痛いの?」
繭は店のレジ前にクロッキー帳を差し出しながら 店主がゆっくり近づいてくる姿を見ていた。
「いやぁ ねぇ 寝っ転がっていると起き上がりに腰が痛むんだな 年には勝てないよ」
レジスターで商品の値段を打ち込んでレシートとお釣りを繭に手渡しながら、
「あ、そうだ 繭ちゃん時間はあるかい?待たせてしまったお詫びに 特別なモノを見せてあげるよ!」
「え? 何? 何を見せてくれるの?」
「今年の学展の総理大臣賞 知ってるかい?」
「え~と 確か湘山工業高校の人だった?裸婦像?」
「そう それね 全国に展覧したあとね ここにあるんだよ!」
店主は 得意気に微笑んだ。
「うそー! なんで? 何でここにあるの?
嘘でしょー⁈」
「繭ちゃんは うちの二階初めてなんだよね、まあついてきなさい」
薄暗い店内の奥に直階段が壁に沿って二階に伸びている。普段は店先の陳列棚で欲しい画材を物色するだけなのだから今まで知るはずも無い。
店主の後について急な階段を登っていくと
わずかに天窓から光が差し込む程度の暗闇の中 油絵の具の匂いとカビの匂いが混じり合うどんよりとした空気が充満していた。
店主は窓に巡らされた遮光カーテンを引いた。
強烈な西陽が部屋全体を照らす。
そこは20畳程の広さで 所狭しと大小のキャンバスが重ねて立てかけられていた。
部屋の中ほどにF120号の巨大なキャンバスがイーゼルに乗って白いシーツがかけられていた。
「繭ちゃん、作者には内緒だよ、」
店主は指で内緒ポーズをとりながらシーツを剥ぎ取った。
繭は声も出せないほど目の前の絵画に圧倒されて その場に座り込んでしまった。
言葉では言い尽くせない迫力と神々しいまでの裸婦像
「繭ちゃん 大丈夫かい?」
店主は繭に立ち上がれるか 確かめるように手をさしのべた。
「おじさん 腰を抜かすってこんな感じかも、
こんな近くで 大賞受賞作品みるの初めてだし、すごい、すごい高校生!」
「そうだな 彼は時々 ここの絵画教室にきている子でね、静物画や、風景が題材の時は音沙汰ないんだけど 人が題材の時だけひょっこり来て 素晴らしいデッサンを仕上げるんだよ、 ど素人の私が言うのも信憑性ないが。まぁ一種の天才肌って言うか 素晴らしい才能の持ち主だな、
来年再び入賞でもしようもんなら、芸大には推薦されそうだね」
世の中には天才的な才能を苦もなく発揮できる人が存在する。
神に選ばれし人…
「そうだ 来週絵画教室あるからよかったら見学においで 堅苦しくない気楽なあつまりだから 一度来てみるといい」
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