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町田柊士
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好奇心と興味から中学三年生 藍川繭は商店街の中ほどにある八幡画材の店先ガラス引き戸を開けた。
その日だけは店内の奥まで照明で照らされ先週初めて登った直階段も店先からはっきり確認できた。
二階の話し声も階下に聞こえてくる。気後れしそうになる気持ちを奮い立たせて奥へと進む。階段の下まで来たとき
背後から人が近づいてくる気配で振り返ると
そこには 繭の視界を遮る壁のような身体が
立ち塞がり 頭を上げると いかつい顔の男子学生が繭を見下していた。
ヒッ
咄嗟に声にならない悲鳴のような息を吸い込む。
「チビ じゃま 」
大きな学生は繭を容易く退かせて急な勾配の直階段を二段飛ばしで駆け上がっていった。
繭は呆気にとられてその壁のような後ろ姿を見送るしかなかった。
そろそろと手摺り伝いに二階に上がると フロアは老若男女数人が 繭を押し退けた学生を取り囲み 何やら楽し気に繭にはわからない話題で盛り上がっている。
「おや 来たなー 繭ちゃん!」
入り口で覗き込むセーラー服姿の女子中学生に店主が手招きする。
中にいた数人が一斉に繭の方に視線を向けた。
一人を除いて皆が手招きやら声掛けしだして
やっと部屋に一歩一歩足を踏み入れ
「お邪魔します。今日は見学させて頂きたくて来ました。藍川繭と言います。聖女学院中等部の三年生です」
日頃 両親から挨拶の徹底を躾けられていた甲斐があった。
「お嬢ちゃん、 牧師さんとこの娘さんだよねー」
初老の男性が発した言葉で 一同は素性の明らかになった繭を手放しで歓迎した。
「そろそろ 先生とモデルさんが来られるのでみなさんお好きな位置でご用意ください」
店主が差配して間もなく プロの画家先生と
男性モデルがやって来た。
モデルは時間を惜しむかのように着衣を脱ぎ
中央の椅子に腰掛かけ、画家は今日の課題を参加者に説明しモデルにポージングを指示した。
室内は静寂に包まれる。
繭は部屋の隅の丸椅子に腰掛けて、初めてみる生身の男性裸体を凝視した。その場には恥ずかしさや、淫らさのかけらもない。
参加者は沈黙のなか木炭、鉛筆 クレパス
思い思いの描画材を紙の上に走らせる。
ふと 一人だけ、異空間にいるような先ほどの学生に繭の視線が止まった。
早っ え!
もう書き上げたの…
学生は時を惜しむかのように何枚もデッサンしていく。
近づいて見たい!
繭は強い衝動のまま モデルを取り囲む老若男女の後ろから 学生の背後に忍び寄った。
すごい…
学生は人体の関節 筋肉 節 体毛 皺のひとつひとつに至るまで詳細かつ大胆なタッチでデッサンしていく。
学生のデッサンに魅入られていると店主が
そっと話かけてきた。
「繭ちゃん、 彼が例の学生さんだよ、
町田柊士君」
町田柊士 さん…
その日だけは店内の奥まで照明で照らされ先週初めて登った直階段も店先からはっきり確認できた。
二階の話し声も階下に聞こえてくる。気後れしそうになる気持ちを奮い立たせて奥へと進む。階段の下まで来たとき
背後から人が近づいてくる気配で振り返ると
そこには 繭の視界を遮る壁のような身体が
立ち塞がり 頭を上げると いかつい顔の男子学生が繭を見下していた。
ヒッ
咄嗟に声にならない悲鳴のような息を吸い込む。
「チビ じゃま 」
大きな学生は繭を容易く退かせて急な勾配の直階段を二段飛ばしで駆け上がっていった。
繭は呆気にとられてその壁のような後ろ姿を見送るしかなかった。
そろそろと手摺り伝いに二階に上がると フロアは老若男女数人が 繭を押し退けた学生を取り囲み 何やら楽し気に繭にはわからない話題で盛り上がっている。
「おや 来たなー 繭ちゃん!」
入り口で覗き込むセーラー服姿の女子中学生に店主が手招きする。
中にいた数人が一斉に繭の方に視線を向けた。
一人を除いて皆が手招きやら声掛けしだして
やっと部屋に一歩一歩足を踏み入れ
「お邪魔します。今日は見学させて頂きたくて来ました。藍川繭と言います。聖女学院中等部の三年生です」
日頃 両親から挨拶の徹底を躾けられていた甲斐があった。
「お嬢ちゃん、 牧師さんとこの娘さんだよねー」
初老の男性が発した言葉で 一同は素性の明らかになった繭を手放しで歓迎した。
「そろそろ 先生とモデルさんが来られるのでみなさんお好きな位置でご用意ください」
店主が差配して間もなく プロの画家先生と
男性モデルがやって来た。
モデルは時間を惜しむかのように着衣を脱ぎ
中央の椅子に腰掛かけ、画家は今日の課題を参加者に説明しモデルにポージングを指示した。
室内は静寂に包まれる。
繭は部屋の隅の丸椅子に腰掛けて、初めてみる生身の男性裸体を凝視した。その場には恥ずかしさや、淫らさのかけらもない。
参加者は沈黙のなか木炭、鉛筆 クレパス
思い思いの描画材を紙の上に走らせる。
ふと 一人だけ、異空間にいるような先ほどの学生に繭の視線が止まった。
早っ え!
もう書き上げたの…
学生は時を惜しむかのように何枚もデッサンしていく。
近づいて見たい!
繭は強い衝動のまま モデルを取り囲む老若男女の後ろから 学生の背後に忍び寄った。
すごい…
学生は人体の関節 筋肉 節 体毛 皺のひとつひとつに至るまで詳細かつ大胆なタッチでデッサンしていく。
学生のデッサンに魅入られていると店主が
そっと話かけてきた。
「繭ちゃん、 彼が例の学生さんだよ、
町田柊士君」
町田柊士 さん…
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