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ケアンズへ3 ‥病室にて
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その頃、T大学病院8階東血液内科疾患病棟。
私は、病室から見える夜景を ベッドから起き上がり眺めていた。黒崎先生は 笠原先生が出て行った後、一度自分の医局に戻った。そして次に私の病室に 来た時は、沢山の資料とパソコンを抱えて いた。
「おい… しばらく俺もここに引っ越すぞ… 」
特別室は ミニキッチンもあり 、応接コーナーと、シャワールームが
配置され 患者の家族が十分寝泊まり出来るようになっている。
( だって…! 何言ってんだか、直ぐにオーストラリアへ行っちゃうくせに…)
私は 聞こえないと たかをくくって 無意識に独り言を呟いていた。
( だいたいぃ 、どこに何時死んじゃうかも知れない病人の部屋を仕事場にする医者がいるの…よ…全くぅ 、考えられない身勝手さ…周りの迷惑 考えろっつうの… !)
「お前っ!聞こえよがしに…何言ってんだよっ‼︎ 」
黒崎先生は 窓に向かって座る私の前に 立ちはだかる。上を見上げる私は、 見下げる先生と見つめ合う。
「聞こえたぁ…か」わざと らしくニッコリ微笑む。
「くぅー!っそ」先生は私を抱きしめ両脇へ逞しい腕を差し込み いきなりベッドから持ち上げた。そのまま お姫様抱っこに体勢を切り替えると、ベッドに腰を下ろし私は先生の膝の上…に、ちょこんと
座らされ、まるで お人形のように扱われる。分厚い胸に腕を伸ばしてしがみつくが 背中の途中までしか 腕が回らない。先生の カッターシャツの背中部分を掴む。胸に鼻を押し付けクンクンと匂いを嗅ぐと直接先生の肌に触れたくなってくる。
(…また 、罠にハマった…っ…)
先生は、怒るふりしながら私を優しく抱きしめ、頭に頬ずりする。私は、抱きしめられながら このささやかな一瞬の幸福に感謝する。
( 先生…だいすき… )
私の頭に頬を寄せる先生は、壊れ物でも扱うように 全ての動作が柔らかい。
「おい…また 体重減っただろ?」
私達は 窓の外の副都心の夜景を見ながら頬と頭を寄せ合う。繋いだ手は 指一本一本に神経を集中し絡ませる。僅かな、目にも止まらない動きにも、お互いが神経を研ぎ澄まし生きて触れ合える事を確かめるように指と指を絡ませる。
「痩せたかなぁ…太ってるほうが好き…?」
ちょっと拗ねて聞いてみる。
「まあなぁ…ガリガリの洗濯板は女じゃないな… ちょっとぐらい腹出て豊満なほうが…俺は好きだな、ルノアールの尻のデカイ女を思いだすなぁ… ‘あれ’ には、ムラムラ するっ」
先生はクックックッと腹筋を揺らして思い出し笑いをする。
( 何処の女性を思い出してるの?…まさか 、絵画の中の女に発情して…マスターベイションとかぁ⁈ バカ…? せんせい! 正直すぎだよ―)
「どうせ…青っちろい洗濯板ですぅっ」 俯いて 恨み言を言う。
「自覚してるんだぁ~ほっほぉ…!それならまあ…‘あれ’ だ…!
ん…! 美味い飯をたらふく食って、…もっと太ってくれ!デブになった俺のミチルを 見せてくれ…」
頭をくしゃくしゃと長い指で掻き混ぜられ、ギュと抱きしられる。
私の方は ”怒り” を指に込める。
( 腹が立つぅ…マジで 悲しくなる…どうしてこの人はこんなに 無神経…なのよ…私だって、健康になれるものなら、なりたいよ!元通りの体に戻って “あなた” の赤ちゃんを産みたいんだよっ!!!
一生ずっと ずぅぅっと近くに……いたいのに………
私を一人ぼっちにしないでっ! 私を放ってオーストラリアなんか行かないでよ…っ その間に…死んじゃっても しらないから…)
下を向く…と 涙が溢れ…、パジャマの膝にぽたぽたと落ちる。体を震わせないように硬くする。
先生は窓に視線を向けたまま、私が力を込めて握る指を優しく握り返し、
「ったく… 単純なやつ…ちょっとからかうと、すぐ本気にしやがる
……………泣くバカが、何処にいる?
これだけ… 俺がめいっぱい愛してやってるってのに…っ…まだ足らねぇってかぁ?」
先生は、頭を屈めると 私の目の前に顔を斜めに近づけ
「キス できないだろっ …顔あげろっ! 泣き虫…」
先生の言う通りに顔を上げる。涙が睫毛に貯まり先生の顔が滲む。先生の唇が私の唇を覆い、しっとりと包み込み密着する。
先生はキスしたまま、私の後頭部を持ち替えた手で 支えながら私をベッドに寝かせて上から覆い被さる。
激しい口づけはできない。
今の私の身体の状態では、それだけで内出血を起こす。
愛を確かめ合う、お互いの唇を吸う事も出来ず、ただ唇に触れるだけの愛情表現。狂おしく切ない思いは、私だけじゃない…わかっていても、先生の全てが欲しい。
私の上に被さる先生に腕を絡ませ 先生の髪の毛の中に指を掻き入れて髪を弄ぶ。先生は、私のおでこ 鼻、 頬といわず、優しく口づけしていく。私は自分のパジャマのボタンを外し
「すこし… すこしだけ…」
先生に 裸の胸をさらけ出す。
先生も私の身体に跨がったままシャツを脱ぐ。
下からシャツを無造作に脱ぐ動作の美しいさにうっとりする。
たくましい二の腕と分厚い胸の付け根の深い窪みは黒い脇毛でぼけ…私は深呼吸する。体毛で隠された窪みから発散される先生だけの雄の匂い…私だけのオヤジ臭…
真っ白いオーダーメードのシャツはソファーへ投げつける。
先生の太い首は耳の下辺りから筋が喉元に届くところで 窪みをつくり 左右にがっちりと鎖骨が広がる。鎖骨の上は、なだらかに隆起し筋肉が肩から腕の付け根まで続く。
喉元の窪みはそのまま先生の下腹部の臍まで浅く一筋の窪みとなって映しだされている。喉元から中心に左右に胸筋が艶めきながら盛り上がり、その盛り上がりのやや下に 濃いココア色の乳首と乳輪が左右に外向きに位置つけられ、腹筋はシックスパックの名のとおり
うっすらと六つに割れ、 そのどれもが胸筋と同様に艶めき、まるでギリシャ彫刻のアポロンの彫像を思わせる。
先生は私の裸の上半身にそっと手の平を当てた。
首の静脈辺りに添わせ、親指で皮膚の感触を確かめる。
「ミチル … 綺麗だ…」
先生は私を上から見下ろし、 うっとりと私に視線を落としてくれる。
「抱いて…先生 、愛してるの…離れたくない…」
涙があふれて 先生の顔が 滲む…
(…死にたくない…………死にたく………ない………神様…っ どうか…私たちを引き離さないで…)
心が叫ぶ
先生はそっと 私に体重を載せる事無く、覆い被さり 首筋に顔を埋める。
「離さない…大丈夫だ…お前の不安は、俺が全て代わってやる…一人で苦しむな……」
甘く、 優しく…力強く囁く先生を 抱きしめる…
ベッドでお互いを見つめ合う。先生の張りのある素肌を指でなぞる。先生も私の乳房に手の平を添わすが 手荒く揉んだりはしない。
親指で乳首を摩る。 「 あぁ…ん…」
「感じてる…な…?」黒崎先生は、にやけながら囁きかけて私の反応を確かめる。
「んっ もうエッチ…言葉にしないでっ!」顔が火照る…
私は胸に置かれた先生の手を掴み胸から離すと、無防備な先生の裸の胸に顔を埋めて…頬ずりする。先生の腕の中で いつまでも 抱かれていたい。狭い患者用特殊寝台の上で二人の戯れは続く。私は、先生の胸に顔を埋め 先生の匂いに刺激をうけて ココア色の小さな乳首にキスしてみた。先生の反応がない事をいいことに 少し吸ってみる。
〝…ビクッ…〟
( やっぱ感じてる、可笑しい。) 先端を舐めてみた。
「……っ くぅ ちょろちょろと…」
ブツブツ呟く先生は、もう 半分うたた寝していた。
自分の胸元で ゴソゴソと動く私の顔に手を添え 上向きにさす。
私はニンマリ笑う。先生は眠そうな目でフンっと、一瞥し それかまた 私を抱き 寝息をたてだす。私はそっと手を先生の下半身へ持っていく。綿のチノパンの上から太く硬い腿を摩ってみる。筋肉で覆われ 肉の張りが手の平に伝わる。
熱が手に伝わる。 逞しい…
先生の筋肉質の身体は 燃えるように暖かく、貧血の私にはもってこいの暖房器具代わり…先生は寝息をたて熟睡しだしている。腰辺りに捲れている薄い毛布を引っ張りあげて 先生の懐に潜り込む。私がごそごそと動くもので、深い眠りから引き戻された先生は、いつものように 私を抱き寄せ鼻先を擦り寄せてくる。
「せんせい お休み…」
静かに瞼を閉じて、深くやすらかな暗闇の世界へ…
私は、病室から見える夜景を ベッドから起き上がり眺めていた。黒崎先生は 笠原先生が出て行った後、一度自分の医局に戻った。そして次に私の病室に 来た時は、沢山の資料とパソコンを抱えて いた。
「おい… しばらく俺もここに引っ越すぞ… 」
特別室は ミニキッチンもあり 、応接コーナーと、シャワールームが
配置され 患者の家族が十分寝泊まり出来るようになっている。
( だって…! 何言ってんだか、直ぐにオーストラリアへ行っちゃうくせに…)
私は 聞こえないと たかをくくって 無意識に独り言を呟いていた。
( だいたいぃ 、どこに何時死んじゃうかも知れない病人の部屋を仕事場にする医者がいるの…よ…全くぅ 、考えられない身勝手さ…周りの迷惑 考えろっつうの… !)
「お前っ!聞こえよがしに…何言ってんだよっ‼︎ 」
黒崎先生は 窓に向かって座る私の前に 立ちはだかる。上を見上げる私は、 見下げる先生と見つめ合う。
「聞こえたぁ…か」わざと らしくニッコリ微笑む。
「くぅー!っそ」先生は私を抱きしめ両脇へ逞しい腕を差し込み いきなりベッドから持ち上げた。そのまま お姫様抱っこに体勢を切り替えると、ベッドに腰を下ろし私は先生の膝の上…に、ちょこんと
座らされ、まるで お人形のように扱われる。分厚い胸に腕を伸ばしてしがみつくが 背中の途中までしか 腕が回らない。先生の カッターシャツの背中部分を掴む。胸に鼻を押し付けクンクンと匂いを嗅ぐと直接先生の肌に触れたくなってくる。
(…また 、罠にハマった…っ…)
先生は、怒るふりしながら私を優しく抱きしめ、頭に頬ずりする。私は、抱きしめられながら このささやかな一瞬の幸福に感謝する。
( 先生…だいすき… )
私の頭に頬を寄せる先生は、壊れ物でも扱うように 全ての動作が柔らかい。
「おい…また 体重減っただろ?」
私達は 窓の外の副都心の夜景を見ながら頬と頭を寄せ合う。繋いだ手は 指一本一本に神経を集中し絡ませる。僅かな、目にも止まらない動きにも、お互いが神経を研ぎ澄まし生きて触れ合える事を確かめるように指と指を絡ませる。
「痩せたかなぁ…太ってるほうが好き…?」
ちょっと拗ねて聞いてみる。
「まあなぁ…ガリガリの洗濯板は女じゃないな… ちょっとぐらい腹出て豊満なほうが…俺は好きだな、ルノアールの尻のデカイ女を思いだすなぁ… ‘あれ’ には、ムラムラ するっ」
先生はクックックッと腹筋を揺らして思い出し笑いをする。
( 何処の女性を思い出してるの?…まさか 、絵画の中の女に発情して…マスターベイションとかぁ⁈ バカ…? せんせい! 正直すぎだよ―)
「どうせ…青っちろい洗濯板ですぅっ」 俯いて 恨み言を言う。
「自覚してるんだぁ~ほっほぉ…!それならまあ…‘あれ’ だ…!
ん…! 美味い飯をたらふく食って、…もっと太ってくれ!デブになった俺のミチルを 見せてくれ…」
頭をくしゃくしゃと長い指で掻き混ぜられ、ギュと抱きしられる。
私の方は ”怒り” を指に込める。
( 腹が立つぅ…マジで 悲しくなる…どうしてこの人はこんなに 無神経…なのよ…私だって、健康になれるものなら、なりたいよ!元通りの体に戻って “あなた” の赤ちゃんを産みたいんだよっ!!!
一生ずっと ずぅぅっと近くに……いたいのに………
私を一人ぼっちにしないでっ! 私を放ってオーストラリアなんか行かないでよ…っ その間に…死んじゃっても しらないから…)
下を向く…と 涙が溢れ…、パジャマの膝にぽたぽたと落ちる。体を震わせないように硬くする。
先生は窓に視線を向けたまま、私が力を込めて握る指を優しく握り返し、
「ったく… 単純なやつ…ちょっとからかうと、すぐ本気にしやがる
……………泣くバカが、何処にいる?
これだけ… 俺がめいっぱい愛してやってるってのに…っ…まだ足らねぇってかぁ?」
先生は、頭を屈めると 私の目の前に顔を斜めに近づけ
「キス できないだろっ …顔あげろっ! 泣き虫…」
先生の言う通りに顔を上げる。涙が睫毛に貯まり先生の顔が滲む。先生の唇が私の唇を覆い、しっとりと包み込み密着する。
先生はキスしたまま、私の後頭部を持ち替えた手で 支えながら私をベッドに寝かせて上から覆い被さる。
激しい口づけはできない。
今の私の身体の状態では、それだけで内出血を起こす。
愛を確かめ合う、お互いの唇を吸う事も出来ず、ただ唇に触れるだけの愛情表現。狂おしく切ない思いは、私だけじゃない…わかっていても、先生の全てが欲しい。
私の上に被さる先生に腕を絡ませ 先生の髪の毛の中に指を掻き入れて髪を弄ぶ。先生は、私のおでこ 鼻、 頬といわず、優しく口づけしていく。私は自分のパジャマのボタンを外し
「すこし… すこしだけ…」
先生に 裸の胸をさらけ出す。
先生も私の身体に跨がったままシャツを脱ぐ。
下からシャツを無造作に脱ぐ動作の美しいさにうっとりする。
たくましい二の腕と分厚い胸の付け根の深い窪みは黒い脇毛でぼけ…私は深呼吸する。体毛で隠された窪みから発散される先生だけの雄の匂い…私だけのオヤジ臭…
真っ白いオーダーメードのシャツはソファーへ投げつける。
先生の太い首は耳の下辺りから筋が喉元に届くところで 窪みをつくり 左右にがっちりと鎖骨が広がる。鎖骨の上は、なだらかに隆起し筋肉が肩から腕の付け根まで続く。
喉元の窪みはそのまま先生の下腹部の臍まで浅く一筋の窪みとなって映しだされている。喉元から中心に左右に胸筋が艶めきながら盛り上がり、その盛り上がりのやや下に 濃いココア色の乳首と乳輪が左右に外向きに位置つけられ、腹筋はシックスパックの名のとおり
うっすらと六つに割れ、 そのどれもが胸筋と同様に艶めき、まるでギリシャ彫刻のアポロンの彫像を思わせる。
先生は私の裸の上半身にそっと手の平を当てた。
首の静脈辺りに添わせ、親指で皮膚の感触を確かめる。
「ミチル … 綺麗だ…」
先生は私を上から見下ろし、 うっとりと私に視線を落としてくれる。
「抱いて…先生 、愛してるの…離れたくない…」
涙があふれて 先生の顔が 滲む…
(…死にたくない…………死にたく………ない………神様…っ どうか…私たちを引き離さないで…)
心が叫ぶ
先生はそっと 私に体重を載せる事無く、覆い被さり 首筋に顔を埋める。
「離さない…大丈夫だ…お前の不安は、俺が全て代わってやる…一人で苦しむな……」
甘く、 優しく…力強く囁く先生を 抱きしめる…
ベッドでお互いを見つめ合う。先生の張りのある素肌を指でなぞる。先生も私の乳房に手の平を添わすが 手荒く揉んだりはしない。
親指で乳首を摩る。 「 あぁ…ん…」
「感じてる…な…?」黒崎先生は、にやけながら囁きかけて私の反応を確かめる。
「んっ もうエッチ…言葉にしないでっ!」顔が火照る…
私は胸に置かれた先生の手を掴み胸から離すと、無防備な先生の裸の胸に顔を埋めて…頬ずりする。先生の腕の中で いつまでも 抱かれていたい。狭い患者用特殊寝台の上で二人の戯れは続く。私は、先生の胸に顔を埋め 先生の匂いに刺激をうけて ココア色の小さな乳首にキスしてみた。先生の反応がない事をいいことに 少し吸ってみる。
〝…ビクッ…〟
( やっぱ感じてる、可笑しい。) 先端を舐めてみた。
「……っ くぅ ちょろちょろと…」
ブツブツ呟く先生は、もう 半分うたた寝していた。
自分の胸元で ゴソゴソと動く私の顔に手を添え 上向きにさす。
私はニンマリ笑う。先生は眠そうな目でフンっと、一瞥し それかまた 私を抱き 寝息をたてだす。私はそっと手を先生の下半身へ持っていく。綿のチノパンの上から太く硬い腿を摩ってみる。筋肉で覆われ 肉の張りが手の平に伝わる。
熱が手に伝わる。 逞しい…
先生の筋肉質の身体は 燃えるように暖かく、貧血の私にはもってこいの暖房器具代わり…先生は寝息をたて熟睡しだしている。腰辺りに捲れている薄い毛布を引っ張りあげて 先生の懐に潜り込む。私がごそごそと動くもので、深い眠りから引き戻された先生は、いつものように 私を抱き寄せ鼻先を擦り寄せてくる。
「せんせい お休み…」
静かに瞼を閉じて、深くやすらかな暗闇の世界へ…
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