白衣の下 第一章 悪魔的破天荒な医者と超真面目な女子大生の愛情物語り。先生無茶振りはやめてください‼️

高野マキ

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宗方先生の許可

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朝は いつものことだが、すぐに起床することができない。


昨日は、公官庁も一般企業も初出勤する所が殆どだった。
大学病院も新年、初日の診察日で 外来の混雑ぶりは普段の倍はあった。今日は土曜日で休診。


横で 緊急連絡も無く ぐっすり眠っている先生が居る。先生が近くに居るだけで安心する。
今朝は ベッドから起き上がると目眩が起きそうな予感が当たった。
上半身を起こそうと頭を擡げた瞬間 、目の前が暗転し、息苦しくなってきた。

( 酸素が足らない…よ…強い貧血かも…)

起き上がる事を諦めて、毛布の中で横になったまま大きく深呼吸してみる。

「おはようございます」入口の扉が開く。

「あらぁ!…まぁ」朝のバイタルチェックに来た若い看護師が入ってきた。

看護師は、黒崎先生の生の寝顔と上半身の裸に驚き、目のやり場に困っている。

「この人…昨日は忙しかったようで…、こんな姿で失礼します」
私は寝たまま 左腕をだす。看護師さんは、テーブルの上の資料と開けっ放しのパソコンを見て、

「黒崎先生は 何時もお忙しい方ですもんね…」

血圧を測ると同時に電子体温計の電子音が鳴る。

〝 コツッ〟 先生の腕が ベッドから落ちた勢いで 先生が目を覚ました。毛布から逞しい腕が二本飛び出し 伸びをする。

「グゥワァーッ」 ガッ と半身を起こすと、彫像のような筋肉質の上半身があらわになる。

「キャッ」若い看護師が 顔を真っ赤にして俯く。

「なんだ バイタルか…、見せてみろっ」
先生の態度がドクターに変わる。

「ヒッ…は はい」 看護師は、恐る恐るファイルを見せた。


看護師から取り上げた看護サマリーに、私の検査結果や入院の流れが記録されている。


「っつ…たくぅ…! リノのやつっぅ 」
先生の顔が凄い形相に変化した。若い看護師さんは黒崎先生が急に
厳しい顔つきになったので、自分がミスしたのかと、泣きそうになる。 私は 〝 まずい 〟と、思ったが まだ起き上がれそうにない。

「せんせっ !恐い顔やめてよっ …  ハァハァ…看護師さんに ファイルを…ハァァ…返しなさいっ…」
さすがに酸欠状態では、声もまともにだせない。私は寝たまま先生
の裸の背中をペチンと手の平で打つ。

「なっ 、なんだっ」私を睨む。

「なんだ…じゃぁ…ないのぉ…  コホッ… は….やく 返して …看護師さんが…」   私は声を張り上げようとしたが…息が上がり頭がジンジンする。 先生は私の蒼白な顔面を見て 

「おいっ ナ―ス! 笠原先生呼んでこい!  早くしろっ‼︎ 」
指示を出すと、私を見ながら 看護師の聴診器を奪いとった。

「ヒィッ」 若い看護師にも先生の緊張が伝わった。

その場でもたつく看護師を見て、先生自身が焦っていた事に気が付き、「悪いぃ…すまんが借りるっ 、早く呼んできてくれ 」と、穏やかに言い直し、先生は私の胸をはだけ 心音を確認する。


「ゆっくり  大きく息を吸って ゆっくりだ ス―――――ゥハ―――――ッ」


私は先生の指示に従って、ゆっくり深呼吸した。数回繰り返したところで 少し楽になる…


「ようしっ いい子だ……」
先生は ベッドから起き上がると シャツを着る。

「ミチル 、今日は貧血が酷いから動くな…笠原先生呼んでくるから」

「いいからっ…お、お願い…行かないで… ここに居て」
先生と離れるのが 急に心細くなる。先生も困ったといった表情で、私の顔を黙って見つめる。

「やだっ恐いよ…一人にしないでっ 先生っ…」
先生はうっすら微笑む。

「わかった  ずっとおまえの傍でいるよ…」

先生は、ベッド脇に深く腰かけ私を見つめる。

  手を繋ぐ。

(…………眠い…)

欠伸が出てくる…。



私は先生と手を繋いだまま眠ってしまった。正確には、意識が混濁してしまった。次に目覚めた時は、笠原先生が 近くで私の脈を取っていた。

       私は彼を探す。

(  何処に居るの  先生…? )

リノ先生は、点滴の輸液の調整をしながら


「 黒崎なら 居るよ…黒崎ぃ 綾野さんが起きたよ!」


「気分は?…吐き気ないか…」先生は、足元から近づいてきてベッド脇に座り私を見下ろす。

「大丈夫みたい 体があったかい…輸血したんだね」
心配顔の先生にニッコリ笑みながら、

「先生ぇ…まさかぁ 笠原先生に酷い事言ってないよね….?」
私は先生の瞳の奥を探る。 笠原先生に血液検査の結果を黙っていて欲しいと頼んでいた私…笠原先生が黙っていた事を先生に責められていないか気になった。


「あっあぁ  心配無用だよ綾野さん…黒崎ったらさあ 貴女が 一時的に酸欠状態になっただけなのに 慌てるわ、取り乱すわで…見ているこっちが恥ずかしくなるくらい…だったのよ………ねぇ~~っ?ク・ロ・サ・キ君  」

リノ先生は天井を見上げ ヤレヤレと飽きれ顔で私を笑わす。

   先生ときたら、都合が悪くなるとまた無視を決め込む。


「冷静沈着な黒崎先生でも、婚約者の事となると惚れた弱みですか」

黒崎先生の背後から、ほっそりして優しげな容姿に似合わず、隙のない鋭い目元が印象的な 色白の白衣を着た医師が現れた。

「うるせぇっ…て!」先生はふて腐れる。

その医師は、ニヤニヤ笑いながらリノ先生の上司で これから私の主治医になると、説明してくれた。


「綾野さん…宗方と言います  黒崎先生とは旧知の仲ですから安心して何でも 相談して下さい 」

宗方准教授は私の手を取り、しかも…‼︎

「綾野さん 、君が眠っている間に 君の推測通り輸血しました  結果が良ければ 来週 黒ちゃんと、オーストラリアに行ってみますか?」


突然の嬉しすぎる提案に

「うっ嘘っ!ぉ!! 」私は嬉しすぎて つい黒崎先生に抱き着いてしまい
点滴棒がひっくり返りそうになった。 先生は、私を受け止め子供をあやすように頭を撫でてくれた。

  点滴のチューブが強く引っ張られ、腕がチクッと痛んだ。




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