剣術科の私と魔術科の冴えない僕

ノン・タロー

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幼馴染の二人

片思い中のアイツ

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 ーレオナー


 魔術科の教室を出た私は剣を腰に差し、手には鞄を持ったまま校門の辺りまで出てくると、そのまま帰ることなく一人ソワソワとしながら立っていた。

 校門から出てくる生徒へと目をやるも未だにハルトの姿は未だにない……。

 エリサはそんな事は無いと言っていたけど、もし本当にハルトの告白をルミナが受け入れたら……?
 そしてハルトとルミナが付き合いだしたら……。

 そう思うと胸が締め付けられ、思わず涙が滲み出そうになる。


 私がハルトを好きになった理由……それは私がまだ幼い頃へと遡る……。

 まだ私とハルトが幼い頃、私が近所の野良犬に襲われそうになったとき、ハルトが身を挺して守ってくれたのだ。

 弱っちいくせに必死に棒切れを振り回して私を守ってくれていた姿に私は幼心に恋をした。
 それ以来ハルトにこの想いを伝えられることもなく今に至る……。

 私が剣を握るようになったのもそんな弱っちいハルトを今度は私が守るため。

 そのため剣術の練習を必死に頑張って、今では二年の剣術科の中では上位の実力となった。

 しかし、肝心のハルトとの関係はと言うと未だに何の進展もしていない……。
 私の方からでも想いを伝えればいいのだろうけど、なかなか素直になれないので自分のことながらもどかしい……。

 そのため、よく言えば仲のいい友人。
 悪く言えば未だにただの幼馴染な関係。

 普段の私は活発で元気な女の子なんだけど、恋愛に関しては奥手で、好きな男の子に対しては告白どころか手すら繋ぐことも躊躇ってしまう始末……。

 ハルトから告白してくれるのを待っていたが、その結果がハルトがルミナ別の女の子に告白するという事態になってしまっている。

 こんな事なら勇気を振り絞ってでも私の方から動けば良かった……。

「はぁ~……」

 私は躊躇っていた自分に後悔しながら深~いため息をついた。

「あれ……?レオナやん」

 すると突然声をかけられた私は慌てて声のした方へと振り向くとそこにいたのはハルト……ではなくエリサだった。

 彼女は自分の鞄と、魔術師科の授業で使う魔法の杖を手にしている。

「なんだ……、エリサか……」

「人の顔を見てあからさまに落ち込むのやめてもらえへんかな……?」

「べ、別に落ち込んでないし!」

 慌てて取り繕う私に対しエリサは苦笑する。

「で、アンタここで不審者のごとくソワソワしとったけど……、もしかしてハルトが来るの待っとるん?」

「べ……別にハルトを待っていた訳じゃないし……!し……強いて言えばエリサと帰ろうかなって思ってただけだし……!」

「へ~……それならさっき教室で一緒に出ればよかったんやないん?……あ!ハルトや!」

「えっ!?どこ……っ!?」

 エリサが校舎の方へと指差すと私も直ぐ様そちらの方へと顔を向ける……が、そこにはハルトの姿はなかった。

 あ……あれ……?

「ウソや。本当はここでハルトを待っとるんやろ?おおかた、ハルトの告白がどないなったか気になってしかたないんやろ」

「そ……そそそそそ……そんな事はないし……!」

「……動揺しすぎや。そう言えば帰る時ハルトと会うたさかい、もうそろそろ来るんとちゃうか?ほな、ウチは先に寮に帰るで。ほなな」

 エリサは笑顔で私へと手を振ると寮のある方向へと歩いていった。

 そして、エリサと入れ変わるように一人の男子生徒の姿が見えてくる。

 その男子生徒はブラウン系なボサボサの髪型に黒縁のメガネをかけた人間の男子

 このボサボサな髪の黒縁メガネな地味男こそ私が密かに片思いをしている「ハルト・アーヴェル」だ。

 ハルトの姿を確認した私はすぐに声をかけようかとも思うも、どこか恥ずかしくなり校門の柱の陰へと隠れてしまった。

 しかし、このままここにいてハルトが気が付かずに去っていっては元も子もない……。
 ならどうする……?

(そう……さりげなく……飽くまでもさりげな~く偶然を装えばきっとうまく行くはず……!)

 私は頭をフル回転させ、さり気なくそして違和感なく偶然を装いハルトと合う方法を考えていた……のだが……。

「あれ?レオナここで何してるの?」

「ひゃう……っ!?」

 しかし、偶然を装う策を思いつく前に後ろからハルトに声をかけられ私は思わず飛び上がってしまった。

 驚きながら振り向くと、そこには魔法の杖と鞄を持ったハルトの姿があった。

 な……ななな……なんでハルトがもうこんな所に……っ!?

「そんなに驚かなくてもいいじゃないか……」

「そんな事言われても急に後ろから声を掛けるたら誰だってビックリするに決まってるだろっ!?」

「だってほら、校門の影から剣の鞘が見えていたから……」

「え……?」

 言われてみると、私の剣の鞘が後ろへと飛び出している。
 つまりこれを見れば誰かがここにいると言うことが一目瞭然だった訳だ。

 バカか……!
 私はバカか……っ!

(あは……あはははは……)

 私は頭を抱えてしゃがみ込む……。
 もう心の中で笑うしか無かった。

「折角だしレオナ、一緒に帰ろうか」

「し……仕方ないな……」

 よっしゃあーーーーーっ!

 口ではそう言いつつも心の中でガッツポーズを取りながら私はハルトと下校したのだった。
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