労働契約型魔法少女ルビー・フェニックス〜手取り28万で戦います〜

ノン・タロー

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休業宣言

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 今日はまったりと詰め所内で過ごす……はずだったのだけど、よくよく考えれば昼食や夕飯の材料がないことに気がついたあたしは荷物持ちレオナードと共に街へと買い出しに来ていた。

(はぁ~……カップラーメンとか売ってないわよね~……)

 そう思いながら商店街にある八百屋や精肉店を眺める……。

 こういう体調が優れないとか、少し怠い日の味方カップメン!

 お湯を注げば出来上がり!

 それがあればレオナードにこれを食べててと言えるのに……。
 むう~……異世界とはなんとも不便なところね……。

 あたしは心の中で愚痴をこぼしながら店を回っていた。

 と、その時どこからともなく美味しそうな匂いが漂ってくる……。
 あたしはその方へと目をやるとコロッケ屋が目についた。

 これだ!あたしには惣菜屋という心強い味方がいた!

「レオナード、今日の昼食は惣菜のコロッケでいいわよね?」

「いや……俺的にはアカリの手作り料理の方が……」

「惣菜で……いいわよね……!ね……っ!」

「あ……ああ……、分かった」

 あたしの誠意のこもったお願いにレオナードは快く頷いてくれたのでコロッケと、夕飯用のドネルケバブを買って帰ることにした。

 これであとはゆっくりと出来るわ♡

 そう思っていたのだけど……。

「はははは……!ルビー・フェニックス見つけたぞ!テアーズとヴァルグを退けていい気になっているかもしれないが、今度はこのぼくライトニング・リッキーが相手だ!」

 ……なんでこんな時に出てくるかな。

 あたしは面倒くさそうにため息を付くと頭をポリポリと掻いた。

「……あのさ、悪いんだけど今日はあたし戦う気ないから」

「えっ!?」
「えっ!?」

 あたしの戦わない宣言にレオナードとリッキーの声がハモる。

 こいつら本当は仲がいいんじゃのかな……?

 そんな疑念が一瞬あたしの頭を過った。

「ルビー・フェニックス!ぼくと戦わないなんてどう言うこと……っ!?」

「そ……そうだぞアカリ……!ミッドナイト・ミラージュと戦うのがお前の役目だろうっ!」

「はぁ~……あのね……、あたしは"あの日"で戦う気力なんてないの……。後日ならいくらでも相手してあげるからその時に来てちょうだい」

 あたしは盛大なため息を付くと詰め所へと戻ることにした。

「ね……ねえ……、あの日って何……?」

「お……俺が知るわけないだろ……?」

 ……たく、これだから男ってやつは。

 あたしは盛大なため息をつきながらリッキーとレオナードの会話を聞き流していたのだった。
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