116 / 123
ルーナの章・名を捨てた王女
ルーカスとの再会
しおりを挟む
あたしの目の前に現れたのは栗色のポニーテールの男性だった。
「……誰のことを言っているのか分からないけど人違いじゃないのかしら?あたしはただの冒険者よ」
あたしはそう言い、再び切り株へと座るとパンを口へと運ぶ。
「そうか……、てっきり私が探していた人だと思っていたが人違いなのなら仕方ない……が、ここで会ったのも何かの縁だ、自己紹介くらいはしておこう。私は"ルーカス・フェレック"だ。よければ君の名を聞かせてはもらえないか?」
「……ルーナ・ランカスターよ」
そう、その男性はヴァルゼン帝国の第一皇子、ラインハルト・フォン・ヴァルゼンだった。
ルーカスと名乗っているということはお忍びかなにかなのかも知れない……が、今のあたしには関係のないことだ。
「ルーナ、隣いいか?」
ルーカスはそう言い、あたしが答える前にあたしの隣へと座る。
「ちょっと、まだいいなんて言ってないわよ?」
「細かいことは気にするな。……それより、ステラ姫が失踪したそうだな」
「……そうみたいね、少し前まではそこら中に張り紙がされていたわ」
「ルーナはステラ姫の居所を知っているんじゃないのか?」
「さてね……、きっとどこかの山の中でどこかの皇子と話でもしているんでしょ?」
「……そうか。クロトはどうした?」
「知らないわ」
「アリアは?」
「誰のことかしら?」
「一国の姫が冒険者へと身をやつすとは何があった……?」
「さてね、あたしはただの冒険者よ、お姫様じゃないわ」
「そうは言うが、ここに証が……これは……っ!?」
ルーカスはあたしの首元へと目を向け、王女の証を見ようとすると驚愕した……!
「何をそんなに驚いているのかしら?」
ルーカスが驚いている理由にだいたいの見当はついているが、あたしは敢えて気が付かないふりをする。
「その火傷のような跡はどうしたんだ……っ!?まさか自分で焼いたのか……?」
「……これはあたしがまだ駆け出しの時に魔物から受けた傷跡よ」
と言うのはもちろん嘘で、これは自分のファイヤーバレットで焼いた跡だ。
「この後どうするつもりだ?」
「何も決めてはいないわ。でも、どこか遠くに行くのも悪くないかもとは思ってはいるわ」
「それなら……私の国には来るか?別れ際に言った通り私はまだ君のことを諦めてはいない」
「誰かと勘違いしているんじゃないのかしら?最初に言った通り、あたしはルーナ・ランカスターよ?あなたが諦めていないと言う"ステラ姫"じゃないわ」
「私はまだステラ姫の事を諦めてはいない、と君には言ってはいないのだが?」
「……ち!」
ルーカスはニヤリと笑みを浮かべると、あたしはしまったと思わず舌打ちを打つ。
「それで、何があったんだ?クロトはどした、一緒じゃないのか?」
「クロトの事は本当に知らないわ。ただ、一つ言うとすればあたしはアリアに負けた、ただそれだけよ……」
「そうか……。それなら尚の事私の国に来ないか?ルーナ・ランカスターとしてでもいい、私の妃としてずっと傍にいて欲しい」
「……どうしてそんなにあたしに拘るの?」
「以前、君が我がヴァルゼン城にいた時のことを覚えているか?その時私は君に"私の話を聞いて欲しい"と言ったことを覚えているか?」
ラインハルトの話……。
確かにそれは覚えている、彼の昔の話を話すと言っていたけど、その時あたしはそういう気分ではなかった事もあり断ったのよね。
でも……。
「ええ、覚えているわ」
「今なら私の話を聞いてもらえるかな?」
「……ええ、いいわ」
でも、今なら彼の話を聞くのもいいかもしれない。
あたしは彼の言葉に頷くと、ラインハルトは自身の昔の話を語りだしたのだった……。
「……誰のことを言っているのか分からないけど人違いじゃないのかしら?あたしはただの冒険者よ」
あたしはそう言い、再び切り株へと座るとパンを口へと運ぶ。
「そうか……、てっきり私が探していた人だと思っていたが人違いなのなら仕方ない……が、ここで会ったのも何かの縁だ、自己紹介くらいはしておこう。私は"ルーカス・フェレック"だ。よければ君の名を聞かせてはもらえないか?」
「……ルーナ・ランカスターよ」
そう、その男性はヴァルゼン帝国の第一皇子、ラインハルト・フォン・ヴァルゼンだった。
ルーカスと名乗っているということはお忍びかなにかなのかも知れない……が、今のあたしには関係のないことだ。
「ルーナ、隣いいか?」
ルーカスはそう言い、あたしが答える前にあたしの隣へと座る。
「ちょっと、まだいいなんて言ってないわよ?」
「細かいことは気にするな。……それより、ステラ姫が失踪したそうだな」
「……そうみたいね、少し前まではそこら中に張り紙がされていたわ」
「ルーナはステラ姫の居所を知っているんじゃないのか?」
「さてね……、きっとどこかの山の中でどこかの皇子と話でもしているんでしょ?」
「……そうか。クロトはどうした?」
「知らないわ」
「アリアは?」
「誰のことかしら?」
「一国の姫が冒険者へと身をやつすとは何があった……?」
「さてね、あたしはただの冒険者よ、お姫様じゃないわ」
「そうは言うが、ここに証が……これは……っ!?」
ルーカスはあたしの首元へと目を向け、王女の証を見ようとすると驚愕した……!
「何をそんなに驚いているのかしら?」
ルーカスが驚いている理由にだいたいの見当はついているが、あたしは敢えて気が付かないふりをする。
「その火傷のような跡はどうしたんだ……っ!?まさか自分で焼いたのか……?」
「……これはあたしがまだ駆け出しの時に魔物から受けた傷跡よ」
と言うのはもちろん嘘で、これは自分のファイヤーバレットで焼いた跡だ。
「この後どうするつもりだ?」
「何も決めてはいないわ。でも、どこか遠くに行くのも悪くないかもとは思ってはいるわ」
「それなら……私の国には来るか?別れ際に言った通り私はまだ君のことを諦めてはいない」
「誰かと勘違いしているんじゃないのかしら?最初に言った通り、あたしはルーナ・ランカスターよ?あなたが諦めていないと言う"ステラ姫"じゃないわ」
「私はまだステラ姫の事を諦めてはいない、と君には言ってはいないのだが?」
「……ち!」
ルーカスはニヤリと笑みを浮かべると、あたしはしまったと思わず舌打ちを打つ。
「それで、何があったんだ?クロトはどした、一緒じゃないのか?」
「クロトの事は本当に知らないわ。ただ、一つ言うとすればあたしはアリアに負けた、ただそれだけよ……」
「そうか……。それなら尚の事私の国に来ないか?ルーナ・ランカスターとしてでもいい、私の妃としてずっと傍にいて欲しい」
「……どうしてそんなにあたしに拘るの?」
「以前、君が我がヴァルゼン城にいた時のことを覚えているか?その時私は君に"私の話を聞いて欲しい"と言ったことを覚えているか?」
ラインハルトの話……。
確かにそれは覚えている、彼の昔の話を話すと言っていたけど、その時あたしはそういう気分ではなかった事もあり断ったのよね。
でも……。
「ええ、覚えているわ」
「今なら私の話を聞いてもらえるかな?」
「……ええ、いいわ」
でも、今なら彼の話を聞くのもいいかもしれない。
あたしは彼の言葉に頷くと、ラインハルトは自身の昔の話を語りだしたのだった……。
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夜の声
神崎
恋愛
r15にしてありますが、濡れ場のシーンはわずかにあります。
読まなくても物語はわかるので、あるところはタイトルの数字を#で囲んでます。
小さな喫茶店でアルバイトをしている高校生の「桜」は、ある日、喫茶店の店主「葵」より、彼の友人である「柊」を紹介される。
柊の声は彼女が聴いている夜の声によく似ていた。
そこから彼女は柊に急速に惹かれていく。しかし彼は彼女に決して語らない事があった。
幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係
紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。
顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。
※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
【完結】うだつが上がらない底辺冒険者だったオッサンは命を燃やして強くなる
邪代夜叉(ヤシロヤシャ)
ファンタジー
まだ遅くない。
オッサンにだって、未来がある。
底辺から這い上がる冒険譚?!
辺鄙の小さな村に生まれた少年トーマは、幼い頃にゴブリン退治で村に訪れていた冒険者に憧れ、いつか自らも偉大な冒険者となることを誓い、十五歳で村を飛び出した。
しかし現実は厳しかった。
十数年の時は流れてオッサンとなり、その間、大きな成果を残せず“とんまのトーマ”と不名誉なあだ名を陰で囁かれ、やがて採取や配達といった雑用依頼ばかりこなす、うだつの上がらない底辺冒険者生活を続けていた。
そんなある日、荷車の護衛の依頼を受けたトーマは――
氷の精霊と忘れられた王国 〜追放された青年、消えた約束を探して〜
fuwamofu
ファンタジー
かつて「英雄」と讃えられた青年アレンは、仲間の裏切りによって王国を追放された。
雪原の果てで出会ったのは、心を閉ざした氷の精霊・リィナ。
絶望の底で交わした契約が、やがて滅びかけた王国の運命を変えていく――。
氷と炎、愛と憎しみ、真実と嘘が交錯する異世界再生ファンタジー。
彼はなぜ忘れられ、なぜ再び立ち上がるのか。
世界の記憶が凍りつく時、ひとつの約束だけが、彼らを導く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる