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ステラの章・恋する王女
クロトの思い出の場所
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あたしはクロトの腕にしがみついたまま夕日の差すトリスタの街を歩いていた。
クロトと一緒に街を歩いた事は何度もあるけど、こうして恋人同士として歩くのは初めてのことだ。
あたしは頬を赤く染めながらただクロトと街を歩いていた。
「ステラ、どこか行きたいところはあるか?」
行きたいところ……?
クロトに聞かれ少し考えてみるけど特に行きたいところは思いつかない……。
「特に無いかな……。でも、クロトと一緒にいるだけであたしは満足よ」
「そうか。なら少し行きたいところがあるんだが、そこでもいいか?」
「うん!」
とは言ったものの、クロトはあたしをどこへと連れて行く気なのかしら?
だけど、それがどこであろうとあたしはクロトと一緒にいられるならそれだけで満足だ。
あたしはクロトと手を繋ぎながら彼の行くままについていくことにした。
「さ、着いたぞ」
歩き始めてからから数分後……。
あたしはクロトに連れられてトリスタの街の片隅にある小さな丘の上にやって来た。
そこは街が一望できる場所で、夕日に照らされる街並みがとても幻想的に見えていた。
「綺麗……」
あたしは思わずそう呟く……。
トリエステの第三王女として十八年間この街に住んでいたけど、こんな場所があったなんて全然知らなかった……。
そしてそんなあたしの隣にはクロトがいて、クロトはあたしの腰に手を回して抱き寄せながら一緒に街を見下ろしているようだった。
「……ねぇクロト。ここってどこなの?」
「ここは……以前俺がよく来ていた場所なんだ」
「よく来てた場所……?」
「あぁ……。ここはまだ従騎士だった頃、落ち込んだり自信を失いそうになったときにこの場所に来ていたんだ」
クロトはどこか昔を懐かしむように街を見下ろしていて、あたしはそんなクロトの横顔をじっと見つめていた。
その夕日に照らされた顔は凛々しく、そしてどこか儚いようにも見えた。
「クロトにも落ち込んだりしたことがあったの?」
「おいおい、当たり前だろ。お前は俺を何だと思ってるんだ……。話を戻すが、そんな時にこの場所に来るとこの街を絶対に守るんだって気にさせてくれる、そんな場所だったんだ」
「そっか……。確かにここから見るトリスタの街は綺麗だもんね。その気持ちは分かるわ」
それからあたしとクロトはしばらくの間何も言わずにただ黙って街を見下ろし続けた。
そして、再びクロトは口を開く
「本当は……本当に守りたかったのはこの街じゃないんだ」
「え……?」
「俺が本当に守りたかったのはステラ、お前なんだ」
「それって……どう言う……」
クロトはそう言い、あたしの顔をじっと見つめてくる。
あたしは思わずその吸い込まれそうなクロトの瞳をずっと見つめていた。
「俺にとってステラは最初は妹みたいな感じだった、でもステラが大きくなるにつれいつの間にか妹としてではなく、一人の女の子として見るようになったいった。だが、俺は城の使用人の息子でステラはこの国の姫……。身分が違い過ぎた……、そう思った俺は騎士となって出来るだけステラの傍にいたいと思ったんだ。ステラのお目付け役を買って出たのもそのためだ」
その優しげなクロトの表情を見ると、あたしの胸がドキっと、ときめく……。
そして、街を見ながら話すクロトの横顔に本当に惹かれていく……、それこそもう離れたくないほどに……。
それと同時に一つの疑問も浮かんでいた。
「じゃあ……、なんでいつもは意地悪したりとか、あたしを小バカにするようなことを言ったりやったりしてたのよ……?」
そう聞くとクロトは少しだけ間を空けてから小さなため息をついた。
「……男ってやつはある意味じゃガキなんだよ。好きな子には自分へと気を引くためについ意地悪をしてしまうんだ。特に俺の場合ステラのお目付け役をしていた頃にはお前のことがとっくに好きになっていたからな、それを自分自身で誤魔化すためにしていたって理由もある」
「何よそれ」
クロトの話を聞いてあたしは思わずクスッと笑いがこぼれた。
「だからさ、この街を守ることは引いてはステラを守ることに繋がる。ここで見る街の光景とステラの笑顔を重ねて、俺は折れそうになった心を何度も何度も奮い立たせていたんだ。そう、全てはステラの笑顔を守るために……」
「クロト、臭すぎよ」
あたしは歯の浮くようなセリフを言うクロトに肩を竦めてみせた。
でも、クロトがそんな頃からあたしのことを想ってくれていたなんて知らなかったな……。
「そ……そうか……?」
「でも……」
「ん……?」
「でも、クロトがあたしのことをそんなに想ってくれていたんだなって事は十分伝わったわ……」
あたしは頬を赤くしながら夕日に染まる街を見つめていると、クロトも同じように街を見つめ、そして二人揃ってしばらくの間、無言でただ街を眺めていた。
そして、あたしはおもむろに口を開いた。
「でもそっか……、クロトはそんなにあたしの事が好きだったんだ……」
「わ……悪いかよ……?」
「ううん、すっごく嬉しい」
「ステラ……!」
クロトへとはにかんだような笑顔を見せると、突然クロトはあたしをギュッと抱きしめた。
突然のことでビックリしたけど、あたしはそのままクロトに身を任せる事にした。
「クロト突然過ぎよ……それに、少し力が強いわ……」
「嫌か……?」
「ううん……ちっとも嫌じゃないよ。もっとこうしてクロトの腕に包まれていたい……」
目を閉じてクロトの胸に耳をあてると彼の心臓の音が聞こえてくる……。
それを聞くたびにあたしの心臓も「トクン、トクン……」と心地いいときめきをあたしに与えてくれている。
クロトの匂いと温もりに包まれながらクロトの事が今まで以上にもっと好きになっていく……。
「ステラ……愛している」
「クロト……あたしも……クロトの事、愛しているわ……」
あたしは頬を赤く染め、潤んだ瞳でクロトを見つめる……。
そして、どちらからともなく顔を近付けたあたし達は求め合うように何度もキスを交わした。
そしてその後、あたしとクロトは食事を済ませたあと、一軒の宿屋で愛を確かめ合うように何度も身体を重ね、お互いを求めあったのだった。
クロトとのこの関係がいつまでも続くことを願って……。
クロトと一緒に街を歩いた事は何度もあるけど、こうして恋人同士として歩くのは初めてのことだ。
あたしは頬を赤く染めながらただクロトと街を歩いていた。
「ステラ、どこか行きたいところはあるか?」
行きたいところ……?
クロトに聞かれ少し考えてみるけど特に行きたいところは思いつかない……。
「特に無いかな……。でも、クロトと一緒にいるだけであたしは満足よ」
「そうか。なら少し行きたいところがあるんだが、そこでもいいか?」
「うん!」
とは言ったものの、クロトはあたしをどこへと連れて行く気なのかしら?
だけど、それがどこであろうとあたしはクロトと一緒にいられるならそれだけで満足だ。
あたしはクロトと手を繋ぎながら彼の行くままについていくことにした。
「さ、着いたぞ」
歩き始めてからから数分後……。
あたしはクロトに連れられてトリスタの街の片隅にある小さな丘の上にやって来た。
そこは街が一望できる場所で、夕日に照らされる街並みがとても幻想的に見えていた。
「綺麗……」
あたしは思わずそう呟く……。
トリエステの第三王女として十八年間この街に住んでいたけど、こんな場所があったなんて全然知らなかった……。
そしてそんなあたしの隣にはクロトがいて、クロトはあたしの腰に手を回して抱き寄せながら一緒に街を見下ろしているようだった。
「……ねぇクロト。ここってどこなの?」
「ここは……以前俺がよく来ていた場所なんだ」
「よく来てた場所……?」
「あぁ……。ここはまだ従騎士だった頃、落ち込んだり自信を失いそうになったときにこの場所に来ていたんだ」
クロトはどこか昔を懐かしむように街を見下ろしていて、あたしはそんなクロトの横顔をじっと見つめていた。
その夕日に照らされた顔は凛々しく、そしてどこか儚いようにも見えた。
「クロトにも落ち込んだりしたことがあったの?」
「おいおい、当たり前だろ。お前は俺を何だと思ってるんだ……。話を戻すが、そんな時にこの場所に来るとこの街を絶対に守るんだって気にさせてくれる、そんな場所だったんだ」
「そっか……。確かにここから見るトリスタの街は綺麗だもんね。その気持ちは分かるわ」
それからあたしとクロトはしばらくの間何も言わずにただ黙って街を見下ろし続けた。
そして、再びクロトは口を開く
「本当は……本当に守りたかったのはこの街じゃないんだ」
「え……?」
「俺が本当に守りたかったのはステラ、お前なんだ」
「それって……どう言う……」
クロトはそう言い、あたしの顔をじっと見つめてくる。
あたしは思わずその吸い込まれそうなクロトの瞳をずっと見つめていた。
「俺にとってステラは最初は妹みたいな感じだった、でもステラが大きくなるにつれいつの間にか妹としてではなく、一人の女の子として見るようになったいった。だが、俺は城の使用人の息子でステラはこの国の姫……。身分が違い過ぎた……、そう思った俺は騎士となって出来るだけステラの傍にいたいと思ったんだ。ステラのお目付け役を買って出たのもそのためだ」
その優しげなクロトの表情を見ると、あたしの胸がドキっと、ときめく……。
そして、街を見ながら話すクロトの横顔に本当に惹かれていく……、それこそもう離れたくないほどに……。
それと同時に一つの疑問も浮かんでいた。
「じゃあ……、なんでいつもは意地悪したりとか、あたしを小バカにするようなことを言ったりやったりしてたのよ……?」
そう聞くとクロトは少しだけ間を空けてから小さなため息をついた。
「……男ってやつはある意味じゃガキなんだよ。好きな子には自分へと気を引くためについ意地悪をしてしまうんだ。特に俺の場合ステラのお目付け役をしていた頃にはお前のことがとっくに好きになっていたからな、それを自分自身で誤魔化すためにしていたって理由もある」
「何よそれ」
クロトの話を聞いてあたしは思わずクスッと笑いがこぼれた。
「だからさ、この街を守ることは引いてはステラを守ることに繋がる。ここで見る街の光景とステラの笑顔を重ねて、俺は折れそうになった心を何度も何度も奮い立たせていたんだ。そう、全てはステラの笑顔を守るために……」
「クロト、臭すぎよ」
あたしは歯の浮くようなセリフを言うクロトに肩を竦めてみせた。
でも、クロトがそんな頃からあたしのことを想ってくれていたなんて知らなかったな……。
「そ……そうか……?」
「でも……」
「ん……?」
「でも、クロトがあたしのことをそんなに想ってくれていたんだなって事は十分伝わったわ……」
あたしは頬を赤くしながら夕日に染まる街を見つめていると、クロトも同じように街を見つめ、そして二人揃ってしばらくの間、無言でただ街を眺めていた。
そして、あたしはおもむろに口を開いた。
「でもそっか……、クロトはそんなにあたしの事が好きだったんだ……」
「わ……悪いかよ……?」
「ううん、すっごく嬉しい」
「ステラ……!」
クロトへとはにかんだような笑顔を見せると、突然クロトはあたしをギュッと抱きしめた。
突然のことでビックリしたけど、あたしはそのままクロトに身を任せる事にした。
「クロト突然過ぎよ……それに、少し力が強いわ……」
「嫌か……?」
「ううん……ちっとも嫌じゃないよ。もっとこうしてクロトの腕に包まれていたい……」
目を閉じてクロトの胸に耳をあてると彼の心臓の音が聞こえてくる……。
それを聞くたびにあたしの心臓も「トクン、トクン……」と心地いいときめきをあたしに与えてくれている。
クロトの匂いと温もりに包まれながらクロトの事が今まで以上にもっと好きになっていく……。
「ステラ……愛している」
「クロト……あたしも……クロトの事、愛しているわ……」
あたしは頬を赤く染め、潤んだ瞳でクロトを見つめる……。
そして、どちらからともなく顔を近付けたあたし達は求め合うように何度もキスを交わした。
そしてその後、あたしとクロトは食事を済ませたあと、一軒の宿屋で愛を確かめ合うように何度も身体を重ね、お互いを求めあったのだった。
クロトとのこの関係がいつまでも続くことを願って……。
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