チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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三章 旅立つ少女

お仕置きの時間です

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 あれからビーチでの鬼ごっこは毎日の日課に組み込まれた……。

 朝は目が見えないまま、バッシュさんに取られた服を取り返すことから始まり、人混みの街を歩き、食事をしてからビーチに向かい鬼ごっこをする……。

 鬼ごっこをしてから数日たった経った頃には杖を外され、ビーチでは難易度を上げると言って、服ではなく水着へと着替えさせられ、当たり前のように捕まると身体中触られる……。

 バッシュさんはイヤらしく私の身体を触られたり、タック君にキスをされたりと……、思い出してだけで顔から火が出そうな事が本当にたくさんあった……。

「よし……!今日の鬼ごっこは趣向を変えよう。今回はカナが鬼だ。俺達を捕まえたら、捕まえたやつを一分間好きにできる。勿論何をするかはカナの自由だ……!」

 今度は私が二人を掴まれればいいのか。と言うことは、今までの仕返しができる……っ!!

「それではスタートだっ!」

 バッシュさんの声で二人が動き出す。
 今まで散々エッチな鬼ごっこをさせられてきたので二人の気配はもう分かっている……。

 周囲の気配を探ると、すぐ近くにタック君を感じる……。
 しかも、私を煽っているのか近づいたりしてきていた。

「そこ……っ!!」

「うわぁ……っ!?」

 一瞬の隙を付いて、タック君を捕まえると、タック君の動きが止まった……。

「んふふふ~……、タック君……?よくも今まで散々私の身体を触ってくれたよね……?それに胸が小さいとまで言ってたよね……?」

「か……カナ姉ちゃん……顔が怖いよ……?」

「それはそうでしょ……?だって怒ってるんだもんっ!悪い子にはお仕置きだよっ!!」

 私はタック君のズボンとパンツを下げると、全力で直にお尻へと平手打ちをする。

「ひぎぃ……!痛い……!カナ姉ちゃん痛い……っ!!」

「悪い子にはお尻ペンペンだよっ!!」

 私は一分もの間、タック君へとお尻ペンペンをしたのだった。

「さて、次は……」

 一分が経ち、半泣きになっているタック君を解放すると今度はバッシュさんへと狙いをつける。
 バッシュさんは、気配を消すと本当にわかりにくいが、掴めないことはない……。


 私は意識を集中させ、バッシュさんの気配を探る……。
 ……いた。

「そこだーっ!!」

 後ろからまた私の胸を触ろうとしていたバッシュさんを掴んだ!

「げ……っ!?」

 私に捕まり、バッシュさんの動きも止まる。

「バッシュさん……、たっぷりと今までのお礼をしてあげるよ……」

 指をボキボキと鳴らしながら、多分にこやかな笑みを浮かべる。

「カナ……、笑顔が怖いぞ……?」

「そうだね……。だって……私、怒ってるからっ!!」

そしてバッシュさんの顔面を全力で殴る!

「ぐは……っ!?」

 動きが止まっているからか、殴っても倒れない。
 これが人間サンドバッグ……もとい鬼サンドバッグってやつか……。

 面白いっ!!
 私はバッシュさんの動きが戻るまでひたすら全力で殴り続けた。

「ひ……、ひいぃぃ……!カナ姉ちゃん、めっちゃ怖い……!」

 そんな私を見てタック君は本気で怖がっていたのだった……。


 ◆◆◆


「か……カナさん……。そろそろ帰りましょう……」

 日が暮れ出したのだろう、いつの間にか下手になったバッシュさんが敬語になっていた。

「あ、もう夕方なんだね。帰ろうかバッシュ、タック君」

 そして私はいつの間にかバッシュとタメ口を叩くようになっていた。

「う……うん……、カナ姉ちゃん……。あの……バッシュ兄ちゃん、殴られすぎて顔が変わってるよ……?」

「私は見えないから分かんな~い♪」

 私は見えないことで逆に開き直る。

 ビーチからの帰り道を人混みの中をスイスイと避けながら歩き、タック君を家まで送ってから宿屋へと戻ったのだった……。


 ◆◆◆


~サイドストーリー~

 ーミーナー

 最近タックがよくカナやバッシュと一緒に遊んでいるみたいだ。

 Cランク試験の話があってから最初こそ挑んできたけど、目が見えなくなってからと言うものカナは勝負を仕掛けてこなくなった……。

 ランザに行くのを諦めたのか、それとも何か考えがあるのか……。

(う~ん……)

「姉ちゃん、ただいまーっ!」

 ボクが顎に手を当てて考えていると、タックが帰ってきた。

「あ、おかえりタック。あ、カナも一緒だったんだ」

「うん、今日もタック君にお世話になったからね。家まで送ってきたんだよ」

「それはありがとう」

 最後にカナと戦って以降カナはずっと目を閉じている。

 バッシュの話では目が見えなくなった訳では無く、特訓なのだとは言っていたけど……。

「それじゃあ、ミーナ。私は宿屋に帰るね」

「え……?あ……!」

 ボクが何か言おうとすると、カナはそう言うと人混みの中をスイスイと避けて歩いていく。

 まるで本当は目が見えているかのように……。
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