チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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四章 海を渡った少女

甲虫種の魔物

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 翌朝……、食事を済ますと私達は討伐対象のキラーホーネットと、キラービートルという魔物を探し、針葉樹の森を進む。

 この木は見た感じ杉の木や松の木に近く、魔物が出たからだろうか、伐採の途中で放置されたと想われる杉の木みたいなのが幾つも見受けられる。

「討伐対象の魔物ってそもそも、どんな魔物なんだろう……?」

 私達は周囲を見渡しながら森の中を歩く。
 巨大な虫だと言うから、見ればすぐに分かりそうなものだとは思うのだけど、それらしき姿が今のところない無い……。

「わ……妾としては出来れば出て欲しくないのぉ~……」

 一方の玉藻は本当に嫌なようで、ビクビクと周囲を警戒しながら歩いていた。

 すると、近くで何かの羽音のようなものが聞こえてきた。
 どうやらそれは上の方から聞こえてくるようだ。

(なんだろう……?)

 私はその音がするを向くと、そこには複数の大きな蜂のような魔物の姿があった!

「こ……これがキラーホーネット……っ!?」

 その魔物は人間よりは少し小さいが、私が知る普通の蜂と比べると遥かに大きい。

「ひ……ひいぃぃ……っ!?カナ……!あ……あれを見るのじゃ……っ!?」

 玉藻が左の地面を指さして悲鳴を上げている。
 指差す方を見ると、そこには大きなヘラクレスオオカブトのような魔物が何匹も歩いている。

「これがキラービートル……っ!?」

 キラービートルと思われる魔物は、体長が人間よりは少し小さいみたいだが、頭に鋭いツノを持っていた。

「おいカナ……っ!囲まれているぞ……っ!?」

 そして、いつの間にか私達はキラーホーネットとキラービートルに囲まれてしまっていた……!

 キラーホーネットが不気味な羽音を立てながら、まるで隙を伺うかのように私達の周りを飛び回っている。

 もしかすると、こいつ等も大蜘蛛同様に鋼鉄に近い甲殻を持っているのだろうか……?
 だとすると、この数はかなりの脅威だ……。

「く……っ!」

 私は剣と盾を持って構える……。

「く……来るでない……!妾に来るでないぞ……っ!!」

「どうにかしてこいつ等を蹴散らすぞ……っ!」

 玉藻は怯え、バッシュは魔銃を構えると、その時一匹のキラーホーネットがお尻から毒針を出して私に襲いかかる……!

 それを横に躱すと、キラーホーネットとのすれ違いざまに剣で斬る……!
 すると、真っ二つに斬られたキラーホーネットは地面へと落ち、動かなくなった。

 どうやら、キラーホーネットの甲殻は大蜘蛛ほど硬くはないようだ……。

 仲間が倒されたからか、キラーホーネットが一斉に襲いかかってくる……!
 そのスピードと数の多さからとても目では追いきれない……!

(それなら……!)

 私は目を閉じ、周囲の気配を探る……。
 すると、バッシュと玉藻、さらにキラーホーネットとキラービートルの気配が手に取るように分かる……。

「はっ!」

 私は襲い来るキラーホーネットの攻撃を躱しながら、剣を振るっていく。

 時折、地面から飛び掛かってくる気配も感じるが、これはキラービートルだろう……。

「く……っ!?」

 あの鋭いツノで切りつけられる前に剣を振るうが、大蜘蛛よりも硬く、剣が弾かれる……!

 カブトムシの魔物というだけあって、甲殻も硬いようだ……!

「の……のう、バッシュ……。なんでカナは目を瞑っておるのじゃ……?」

「あれはカナが会得した心眼だ……!それより俺の背中に引っ付くな……っ!戦いにくい……っ!!」

「嫌じゃ……!妾は虫が苦手なのじゃ……っ!!」

 気配から察するにバッシュは魔銃の弾をマシンガンのように連射して撃っているようだが、玉藻が邪魔で戦いにくいようだ。

 そんな玉藻はバッシュの背中に引っ付いて離れないらしい……。

「はあ……っ!!」

 最後の一匹を倒し、目を開けると周囲には多くの虫たちの死骸が散らばっていた。

 ふう~……。

 剣を鞘へとしまおうとすると、キラーホーネットとはまた違う羽音が上の方から聞こえてくる……。

「な……なに……?」

 私は上を見上げると、人間よりも大きなキラーホーネットの姿があった……!

「な……何あれ……っ!?」

 見た目はキラーホーネットに似ているが、形がやや違う……。
 キラーホーネットが働き蜂だとするなら、あれは女王蜂だろうか……?

「おいカナ……っ!こっちもでっかいのがいるぞ……っ!!」

 地面の方を見ると、大きなキラービートルみたいなやつまでいた……!
 普通のキラービートルとは違い、鋭いツノが3本付いている……!

「バッシュっ!あっちのキラービートルをお願い……っ!」

「分かった……っ!!」

 私は剣を構えると、巨大なキラーホーネットと対峙するのだった……。
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