罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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二章 三者三様

拗ねる彼女と語る彼女

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 学園に着いた僕は、2年B組の教室へと足を踏み入れた。  
 中を見渡すと、すぐに亜希の姿が目に入った。

 彼女は僕の席の隣で、何か難しい顔をしていた。

「あ……じゃなかった、風原さんこれ……真奈美さんから預かってた弁当箱」
 
 思わず「亜希」と言いかけた僕はリュックから彼女の弁当箱を取り出すと、亜希は目を丸くした。

「へ……?」

 それと同時に教室内がざわめく……。

「おい……なんで御堂が風原に弁当を渡してるんだ……?」

「いや……なんでって……なんでだ……?」

「もしかして……同居してるとか……?」

「いやいやいや……、そんなマンガじゃないんだし……」

「いや、そう言えば通学中に御堂と風原の親が再婚して、同居したって話を聞いたぜ……?」

「マジか……、じゃあ本当に二人は同居してるのか……?」

 ザワザワ……。
 ザワザワ……。

「ね……ねえ、風原さんどういうこと……?」

「亜希、昨日御堂からの告白を振ったって言ってたけど……え……?同居したの……?」

 亜希と仲のいいクラスの女子たちが彼女の周りへと集まる。

 あ……あれ……?もしかして僕迂闊なことしちゃった……?

「か……御堂君……?」

 教室内の様子に亜希はワナワナと体を小さく震わせながら僕を睨む。

 まずい……怒られる……。

「御堂君ちょっといい?」

「柊さん……?」

 僕は亜希の怒りに身構えていると柊さんが声をかけてきた。

「昨日、御堂君が買ってたラノベ……私も買ってみたの」  

「えっ!?柊さんも"チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記"を買ったのっ!?」

「ええ、1巻と2巻を買ったの」

「それでどこまで読んだのっ!?」

「昨日1巻を読み終えたところ。わたし、ガラクタ屋に運び込まれた鎧がカナの仲間になるところを見てビックリした!」

「あぁ~、確かに僕も最初見た時ビックリしたよ!」

 柊さんの言うエピソードを頭の中で思い起こしながら返事を返す。

「あと、カナが街を出る所……あそこを見てわたし思わず泣きそうになった……」

「あそこは少し淋しくもあり新たな旅立ちを予感させるシーンだったね」

 僕はその後も柊さんとラノベの話で盛り上がっていると予鈴のチャイムが聞こえてきた。

「あ……予鈴……、御堂君またあとで……」

 柊さんは僕へと手を振ると自分の席へと戻っていった。

 その後亜希へと眼をやるとムスッとしている亜希の姿があった。

「風原さん、さっきは何を言いかけてたの?」

「……もういい!」  

 亜希はぷいっと顔を背け、頬を膨らませて拗ねていた。  
 僕は苦笑しながら、そっと机に座った。


 ~サイドストーリー~


 ──澪──


 授業中、わたしは授業で使うタブレットを開きながらも、意識は御堂君と風原さんの方へ向いていた。

 たぶん風原さんは御堂君に好意を持っていると思う……。
 彼女自身公言はしていないけど、わたしの勘がそう告げている。

 でも、風原さんは男子が苦手……だから、きっと自分の気持ちは御堂君には伝えてないと思う……。

 となれば最も警戒すべきは妹さんである由奈さんのほう……。
 今朝見た限りでは御堂君に抱きついていたし、エリシアでもわたしや御堂君が所属しているチームに入ってきた。

 あの行動力は侮れない……。

 でも、だからといって風原さんも油断する訳にはいかない……。
 今はまだ何も動いていないみたいだけど、それが逆に厄介……。

(……わたしだって、御堂君の隣にいたい。だから、負けるわけにはいかない)

 風原さん達には悪いけどここは一気に差をつけさせてもらう。

 幸いわたしにはラノベやエリシアという御堂君と共通の趣味がある、ここは一気に行かせてもらう……。

 わたしは、誰にも気づかれないように、静かに闘志を燃やした。
 この勝負、負けるわけにはいかない……。
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