罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

文字の大きさ
10 / 223
二章 三者三様

静かなるライバル宣言

しおりを挟む
「御堂君、おはよう……」

 由奈ちゃんと入れ替わるように柊さんが僕のところへとやってきた。

「柊さんおはよう」

「ねえ御堂君、さっきの女の子は……?」

「えっと……」

「ああ、あの子は彼方に突然出来た妹の由奈ちゃんだよ」

「妹……」

 柊さんの問いに僕は言葉を詰まらせていると代わりに悠人が答えると、柊さんの眉毛がピクリと動いた。

「しかもコイツ、同じクラスの風原さんと同居してるんだぜっ!?」

「ちょっと……!悠人……っ!?」

 悠人に知られたのが運の尽きと言わんばかりに亜希と同居していることをペラペラと話し始める悠人。

 ほんっと、亜希になんて言おう……。

「風原さんと……そう、御堂君は風原さんと同居しているのね……」

「えっと……柊さん……?」

 それを聞いた柊さんの眉毛がさらにピクリとと動く……。
 彼女の声は静かだったけど、その静かさがどこか怖かった……。

 いや、別に柊さんと付き合ってるというわけじゃないんだけど、なぜか柊さんに睨まれている……ような気がする。

「いや~でもさ、由奈ちゃんってマジで可愛いかったよな!俺もあんな妹ほしいわ~」

「悠人は黙ってて!」

 悠人に苛立ちを感じた僕は少しだけ強い口調で言い放った。

「……確か御堂君のお父さんが再婚したんだったよね?」

「あれ……?柊さんなんで知ってるの?」

「御堂君、エリシア・オンラインって知ってるよね?」

「え……?うん、知ってるも何も僕それしてるから……」

「わたしもエリシアしてるの。確か御堂君のキャラクターは"カナタ"だったよね……?わたしのキャラクターは"ミオリネ"って言えば分かるよね……?」

「え……?は……っ!?ぅえぇぇぇぇえーーーーー……っ!?」

 柊さんのカミングアウトに僕は思わず素っ頓狂な声を上げた。
 柊さんがエリシアをしているというだけでもビックリなのに、しかもミオリネさんだなんて……!

 確かに言ったよ……!
 昨日チャットで親が再婚したって言ったよ……!
 しかもその後由奈ちゃんが参加して僕の妹だって公言してたよ……!

「ふむ、どうやら御堂と柊は思わぬつながりがあったみたいだな……」

「彼方……!なんでお前ばっかり女子とこんなに縁があるんだよっ!お前はマンガやゲームの主人公かよっ!」

 悠人は僕の肩を掴むとガクガクと揺らしてきた。

「ちょ……!悠人やめてよ……!」

 それにそんなこと僕に言われても……!

「兎に角御堂君、わたし負けないから……」

 柊さんは僕へとそう言うと先に学園へと向かったのだった。


 ~サイドストーリー~


 ──亜希──


 一足先に学園へとたどり着いた私は教室へと向かう途中に担任の渡辺わたなべ 茉莉まつり先生と偶然出くわした。

 渡辺先生は私のクラスの担任にして現代文の担当。
 歳は30歳くらいで既婚だと言っていた。
 
「先生、おはようございます」

「おはよう、風原さん……じゃなくて御堂さんだったね」

 どうやらお母さんから苗字が変わったことが伝わっているのか、先生は私のことを元の"風原"から"御堂"へと言い換えていた。

「あの……先生お願いがあるんですけど……」

「お願い……?なんだい?」

「はい、私のことはこれまでどおり風原と呼んで欲しいんです」

「ん……?それはまあ構わないけど……どうしたんだい?」

 私のお願いに渡辺先生は腕組みをしながら不思議そうな顔をしていた。

「先生もご存知かと思いますが、私は今御堂君と同居しているんです。それを他の人に知られたら私自身恥ずかしいですし、変に茶化されたくもないし……」

「なるほど……風原さんの言う事も一理あるね、分かった他の先生方にもその旨を伝えておくよ」

「ありがとうございますっ!」

 私は先生へと頭を下げると、先生はこの場を離れていった。

 これでよし……と。
 確かに彼方と一緒に暮らせるのは嬉しいけど、それを変に茶化されるのはさすがにイヤだ。

 こうして先に手を回すことでHRホームルームで私の苗字が御堂に変わったと言うことをみんなに知られずに済むわね。

「風原さん……少しいい?」

 私は上機嫌で教室へと向かおうとすると柊さんに声をかけられた。

「柊さん……?何かしら?」

「……風原さんって御堂君と一緒に暮らしてるんでしょ?御堂君から聞いたの」

「え……っ!?」

 柊さんの言葉に私は戸惑いを隠せなかった。

 彼方のやつ……!あれだけ他言無用だって言ったのに柊さんには簡単に喋っちゃう訳……っ!?

「それと、わたし御堂君がしているエリシア・オンラインというゲームをしてて、御堂君とは同じチームに所属しているの」

「へ……へぇ~、柊さんってゲームするのね……」

「……わたし、風原さんが御堂君と一緒に暮らしていたとしても負ける気ないから、わたし御堂君のこと諦めないから!」

「え……?」

「わたしの言いたいことはそれだけ、それじゃあ教室で……」

 柊さんの言葉を聞いて私は思わずドキっとした。
 それは確かな宣戦布告だった。

 私は柊さんの背中を見つめながら手を握りしめたのだった……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

処理中です...