罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

文字の大きさ
55 / 223
亜希の章 ツンデレな同居人

金色の泡と青の予感

しおりを挟む
 ウェットスーツに着替えた僕たちは、船着場へと向かった。
 そこには高藤や悠人をはじめ、他の班や一般の人たちの姿があった。

 僕たちは走って急ぐとみんなへと頭を下げる。

「ご……ごめん……!お待たせ……!」

「おせーぞお前……ら……」

 悠人は僕に怒鳴りかけた瞬間、僕の後ろにいた柊さんと早乙女さんを見て固まった。

「どうしたの、悠人……?」

「い……いや……、な……なんでもねえ……」

 そう言う悠人はなぜか前かがみになっている。
 しかし、僕はその理由を察した……。

 ……柊さんと早乙女さんのウェットスーツ姿を直視してしまったんだな。
 無茶しやがって……。

「……真壁くん、さすがにそれはウチ引くわ」

「……変態」

「最低……」

「ぐふ……っ!」

 早乙女さん、柊さん、そして亜希の冷たい視線が悠人に突き刺さる!

「あは……あははは……」

 僕はその様子に苦笑する……。

 早乙女さんと柊さんのウェットスーツ姿を直視していたら僕もあんな目に遭っていたのか……。

 僕は悠人に少し同情しながら説明や準備運動を行った後、船へと乗船した。


 ◆◆◆


 港から出て船に揺られること約10分……、遂にダイビングスポットへと到着した!

 海の透明度は驚くほど高く、海底までくっきりと見える。
 太陽の光が水面を通って差し込み、魚たちの鱗をキラキラと照らしていた。

「それではいよいよダイビングの時間だよ!みんな水中ゴーグルをつけて空気タンクを背負って!」

 笑顔で話す男性スタッフの説明で僕たちは水中ゴーグルをつけて、空気タンクを背負う。
 その瞬間、ずしりとした重さが背中にのしかかる。

(う……これ、想像以上に重い……!)

 亜希は大丈夫かな……?

「きゃ……!きゃあ……っ!?」

 僕は亜希へと目をやると空気タンクの重さにバランスを崩し、今にも倒れそうになっていた!

「危ない……!」

 僕は急いで亜希の肩を掴むと亜希もまた僕にしがみついてくる。

「亜希、大丈夫……?」

「ありがとう、彼方……。助かったわ」

 ふう、なんとか亜希を助けることができた……。
 僕はホッと胸をなでおろすと柊さんが僕をじぃ~と見つめている。

「な……なに……?」

「……ナイス」

 柊さんは僕へとグッジョブをすると船の縁へと向かって行った。

 ……なんだったんだろう?

 たまに柊さんのことが分からなくなる……。

「亜希、僕たちも船の縁に向かおうか」

「う……うん、わかったわ」

 僕と亜希は手を繋ぎながら船の縁へと座る。

「それでは皆さん、口にレギュレーターを咥えて!咥えたらゆっくりと後ろから入水するんだ!」

 僕と亜希はレギュレーターを咥えると手を繋いだまま背中から海へと入る。


 水中ゴーグル越しに見る海の中は水面から差し込む光が、海中に揺れる筋となって広がっていた。
 泡が金色に染まり、魚たちがその光の中を泳ぎ回る。

 レギュレーターのおかげで海の中でも問題無く呼吸ができ、僕は亜希のそばをゆっくりと泳いでいた。

 亜希の髪がゆらりと揺れ、彼女の瞳が太陽の光を受けてきらめく。
 サンゴ礁が水底で静かに揺れ、まるで水中の花畑のようだった。

 僕たちが泳いでいると多くの魚たちが寄ってきた。

 それは色鮮やかな魚たちで、瀬山市ではお目にかかれないほど綺麗な魚だった。

 数匹の魚が、まるで「ちょうだい」と言っているかのように僕の手元をつついてくる。

(餌でも欲しいのかな……?)

 僕はウェットスーツのポケットからソーセージのような餌を出すとそれに魚たちが群がる……!

(うお……っ!?)

 その様子に僕は驚き餌から手を離すと魚たちは一心不乱に餌を啄んでいた。

 と、その時亜希が僕に抱きついてきた……!

 何があったのかと彼女の方へと眼をやると、亜希もまた僕のように魚に餌をあげようとしたところ、たくさんの魚が群がって来たため驚いたようだ。

 亜希は苦笑しながら胸元に手を当て、僕を見つめてくる。
 たぶん「びっくりした……!」って伝えたいんだと思う。
 その瞳は、どこか安心しているようにも見えた。

 その後、僕と亜希は海中をゆっくりと泳ぎながら、目的地である青の洞窟へと向かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ルピナス

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。  そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。  物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。 ※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。  ※1日3話ずつ更新する予定です。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2026.2.22)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

元おっさんの幼馴染育成計画

みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。 だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。 ※この作品は小説家になろうにも掲載しています。 ※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

処理中です...