罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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由奈の章 甘えたがりな義妹

揺れる夜と僕の理性

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 学園祭から帰った僕は、自分の部屋でベッドに寝転がる。

「ふぅ……」

 静かに息を吐くと今日の学園祭のことが、じわじわと頭に浮かんでくる。

 僕は今日の学園祭での出来事を思い出す……。
 最初こそ女装させられて大変だったけど、それ以降はずっと由奈ちゃんと過ごしていた……。

 由奈ちゃんと一緒に回った模擬店……ベンチで食べたクレープ……。
 そして……一緒に入ったお化け屋敷……。

 由奈ちゃんと一緒にいるのは確かに楽しい。
 でも、彼女が抱きついてくるたびに……彼女の体温が、僕の理性をじわじわと溶かしていく……。
 胸がドキドキし、由奈ちゃんを抱きしめたくなる衝動が、胸の奥からこみ上げてくる……。

(でも……由奈ちゃんは妹なんだ……)

 確かに血が繋がってはいないし、つい最近とは言え僕の妹になった女の子……。

 きっと、由奈ちゃんが抱きついたりしてるのも僕を兄として慕っているからだと思う……。
 ……少し過激なような気もするけど。

 でも……いや、だからこそ由奈ちゃんを傷付ける訳には行かないし大切にしたいとも思う。

 でも……もし……もし由奈ちゃんが妹じゃなかったら……?
 義妹としてではなく……ただの女の子として出会っていたら……。

 もし、通学途中とかで普通の女の子として出会っていたら……僕は、もっと素直に恋をしていたかもしれない。

「由奈ちゃん……」

 僕は彼女の名前を呼ぶと胸の奥が温かくなるのを感じる……。
 僕は由奈ちゃんの事が好きなんだ。
 それも妹としてじゃなく、一人の女の子として……。

 でも……彼女は僕の妹なんだ……。

(兄として……義理とは言え妹に手を出すわけにはいかないよな……)

 男としての僕と、兄としての僕。
 その狭間で揺れながら——胸元で、そっと拳を握りしめた。


 ◆◆◆


 月曜日の朝――僕は、思いもよらない展開に巻き込まれることになる。

「彼方くんおはよう、ちょっといいかしら?」

 朝、僕は起きてリビングへと向かうと真奈美さんに声をかけられた。

 なんだろう……?

「真奈美さん、おはようございます。どうしたんですか?」

「んもう……、亜希ちゃんや由奈ちゃんは下の名前で呼ぶのに、なんで私は"お母さん"って呼んでくれないの……?彼方くんのいけず……!」

「えっと……まあ……、それはおいおい……」

「んもぅ……!そればっかり……っ!」

 真奈美さんは頬を膨らませて、拗ねたような目で僕を見つめてくる。

 ……真奈美さんって歳いくつだっけ?
 まぁ……聞いたら怒られそうだから止めておこう。

「それより、僕に何か用があるのでは……?」

「あ……、そうだったわ」

 真奈美さんは僕の言葉に思い出したように手をポンと叩く。

(自由な人だなぁ……)

「彼方くん今日って何か用事があったりする?」

「いえ……なかったと思いますけど……」

 真奈美さんの問いに僕は顎へと手を当てて思い起こす……。
 ……うん、用事はないな。

「それなら良かったわ。悪いんだけど、由奈ちゃんの参観日に行ってきてくれないかしら?」

「へ……?僕が……っ!?」

 真奈美さんの言葉に僕の目が点になる……。

 由奈ちゃんの参観日に……僕が……っ!?

「私も弘樹さんも仕事で行かれそうもないのよ。でも、行かなかったら行かなかったで由奈ちゃんが可哀想じゃない?というわけで……お願いね彼方くん♡」

 真奈美さんは手を合わせると僕へとウインクを一つする。

「いや……!ちょっと待ってくださいよ……!そもそもなんで僕……っ!?ていうか僕が行ったいいんですか……っ!?それに由奈ちゃんの意見というものも……!」

「まあ……、父兄参観だから彼方くんでも問題ないと思うわよ?由奈ちゃんには私から聞いてみるわ」

 いや……そんな……。
 流石に由奈ちゃんも僕が行ったら嫌がるんじゃ……。

 そう思っていると丁度寝起きの由奈ちゃんが目をこすりながら階段を降りてきた。

「ふぁ……、お母さんおはよ……」

「あら由奈ちゃんおはよう。ちょうど良かったわ!今日の授業参観のことなんだけど……」

 由奈ちゃんは欠伸をしながら真奈美さんの言葉を遮る。

「ふぁ……授業参観? 別に来なくていいよぉ……」

「あらそう……?折角彼方くんに行ってもらおうと思ったとに……」

 真奈美さんの言葉に由奈ちゃんの動きがピタリと止まる。

「え……っ!?お兄ちゃんが来てくれるのっ!?それならぜひ来てほしい……!お兄ちゃんお願いねっ!」

 由奈ちゃんは僕の手を取るとキラキラと目を輝かせていた。

「う……うん……、分かった……」

 僕は由奈ちゃんの圧に押されつい頷いてしまった……。

「やったーっ!お兄ちゃんあたしのクラスは3年C組だよ!授業参観は四時限目だから忘れないで来てねっ!」

 由奈ちゃんは笑顔を浮かべて上機嫌に笑顔で抱きついてくる。

 由奈ちゃんに抱きつかれた僕は戸惑いながらも、胸の奥がドキッと跳ねた。
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