70 / 223
由奈の章 甘えたがりな義妹
オバケ屋敷と揺れる心
しおりを挟む
──彼方──
クレープを食べ終えた由奈ちゃんが、さっきまでの甘えが嘘みたいに、少しだけ距離を取って歩いていた。
さっきまで腕に抱きついてきてたのに……どうしたんだろう。
(もしかして……間接キス、気にしてるのかな……?)
由奈ちゃんと食べたクレープ、僕がバナナとチョコのクレープを一口食べたあと、彼女がそのまま僕のを食べて……。
正直、僕も気にしてないとは言えば嘘になる……。
いや、むしろ気にするなという方が無理……っ!
(でも……、僕が意識してるってバレたら、由奈ちゃんが気まずくなるかもしれないし……)
僕はできるだけ平常心を装って歩く。
由奈ちゃんがちらちらと俺の顔を見てくるのがわかるけど、気づかないふりをする。
(ああもう……、なんでこんなにドキドキしてるんだ僕は……!)
なぜか僕は自分で自分に苛つき始める。
そんなとき、由奈ちゃんが急に腕に手を添えてきた。
距離を空けていたはずなのに、今はもうぴったりくっついて歩いている。
「ねえ、お兄ちゃん……あたし、あそこ行ってみたいな」
指さした先には、お化け屋敷。
“恐怖!地獄の迷宮”という看板が、妙に手作り感満載で逆に怖い。
「え、お化け屋敷? でも由奈ちゃん、怖いの大丈夫なの?」
「えっと……苦手だけど……だからお兄ちゃんと一緒に入りたいかなって……ダメ……?」
由奈ちゃんに上目遣いで見られて、腕にぎゅっと力を込められる……。
僕の理性が音を立てて崩れそうになるのも、どうにか堪えることが出来た……。
(由奈ちゃん……、反則だよそれ……!)
「……わかったよ。じゃあ、行こうか」
僕は照れを隠すように笑って、由奈ちゃんの手を握り返した。
その瞬間、彼女の目がぱっと輝いたのを見て、心臓が跳ねる。
(怖いのは、お化けじゃなくて……この距離感だよ……)
受付で入場料を払おうとしたら、由奈ちゃんが制してきた。
「お兄ちゃん、ここはあたしがだすよ」
「え……?でも……」
「さっきクレープのお金を出してもらったからね。お兄ちゃんばかりに出させたら悪いし……ね♪」
ウインクされた瞬間、僕は顔が熱くなるのを感じて、思わず目を逸らした。
(なんだろう……、今日の由奈ちゃん……いつもよりもちょっと積極的すぎない……?)
「わ……分かったよ……。ならここは由奈ちゃんにお願いしようかな……」
由奈が嬉しそうに「うん!」と答えて、受付の女生徒にお金を渡す。
僕たちは、黒い布で覆われた教室の中へと足を踏み入れた。
中は思った以上に本格的で、スモークとBGMが妙にリアルで、由奈ちゃんが俺の腕にしがみついてくる。
「うわ……本気だ……」
俺がそう呟くと、由奈がさらに背中にぴったりくっついてきた。
「由奈ちゃん、後ろからくっつきすぎじゃ……」
「だって……怖いんだもん……」
制服の裾をぎゅっと掴まれて、僕の心臓はもううるさいくらいにドキドキと高鳴っていた。
「ギャアアアア!」
どこからともなく叫び声が響いた瞬間、由奈ちゃんが僕の背中に顔を埋めてきた。
「うわっ、びっくりした……!」
俺も驚いたけど、それ以上に由奈の反応が可愛すぎて、頭が真っ白になるも、それ以上にこの胸のドキドキが聞こえてしまうのではと少し心配になった。
「大丈夫だよ、僕がいるから」
そう言って手を握ると、由奈がそっと握り返してくれた。
その手の温度が、なんだか心地よくて感じる……。
次の角を曲がった瞬間、壁の隙間から白い手が飛び出してきた。
「きゃあああああっ!!」
由奈ちゃんが俺に抱きついてきた。
胸元にしがみつく彼女の体温と鼓動が、俺の理性をさらに削っていく。
「ゆ、由奈ちゃん……!?」
僕は動けないまま、由奈ちゃんを抱きしめると彼女の震えを感じていた。
怖いのは、お化けじゃない。
僕たちの“関係が変わるかもしれない”こと。
(もしかして……僕も、由奈ちゃんのこと……)
その答えを、まだ言葉にできないまま、僕たちは暗い迷宮の中を、手を繋いで歩いていった。
クレープを食べ終えた由奈ちゃんが、さっきまでの甘えが嘘みたいに、少しだけ距離を取って歩いていた。
さっきまで腕に抱きついてきてたのに……どうしたんだろう。
(もしかして……間接キス、気にしてるのかな……?)
由奈ちゃんと食べたクレープ、僕がバナナとチョコのクレープを一口食べたあと、彼女がそのまま僕のを食べて……。
正直、僕も気にしてないとは言えば嘘になる……。
いや、むしろ気にするなという方が無理……っ!
(でも……、僕が意識してるってバレたら、由奈ちゃんが気まずくなるかもしれないし……)
僕はできるだけ平常心を装って歩く。
由奈ちゃんがちらちらと俺の顔を見てくるのがわかるけど、気づかないふりをする。
(ああもう……、なんでこんなにドキドキしてるんだ僕は……!)
なぜか僕は自分で自分に苛つき始める。
そんなとき、由奈ちゃんが急に腕に手を添えてきた。
距離を空けていたはずなのに、今はもうぴったりくっついて歩いている。
「ねえ、お兄ちゃん……あたし、あそこ行ってみたいな」
指さした先には、お化け屋敷。
“恐怖!地獄の迷宮”という看板が、妙に手作り感満載で逆に怖い。
「え、お化け屋敷? でも由奈ちゃん、怖いの大丈夫なの?」
「えっと……苦手だけど……だからお兄ちゃんと一緒に入りたいかなって……ダメ……?」
由奈ちゃんに上目遣いで見られて、腕にぎゅっと力を込められる……。
僕の理性が音を立てて崩れそうになるのも、どうにか堪えることが出来た……。
(由奈ちゃん……、反則だよそれ……!)
「……わかったよ。じゃあ、行こうか」
僕は照れを隠すように笑って、由奈ちゃんの手を握り返した。
その瞬間、彼女の目がぱっと輝いたのを見て、心臓が跳ねる。
(怖いのは、お化けじゃなくて……この距離感だよ……)
受付で入場料を払おうとしたら、由奈ちゃんが制してきた。
「お兄ちゃん、ここはあたしがだすよ」
「え……?でも……」
「さっきクレープのお金を出してもらったからね。お兄ちゃんばかりに出させたら悪いし……ね♪」
ウインクされた瞬間、僕は顔が熱くなるのを感じて、思わず目を逸らした。
(なんだろう……、今日の由奈ちゃん……いつもよりもちょっと積極的すぎない……?)
「わ……分かったよ……。ならここは由奈ちゃんにお願いしようかな……」
由奈が嬉しそうに「うん!」と答えて、受付の女生徒にお金を渡す。
僕たちは、黒い布で覆われた教室の中へと足を踏み入れた。
中は思った以上に本格的で、スモークとBGMが妙にリアルで、由奈ちゃんが俺の腕にしがみついてくる。
「うわ……本気だ……」
俺がそう呟くと、由奈がさらに背中にぴったりくっついてきた。
「由奈ちゃん、後ろからくっつきすぎじゃ……」
「だって……怖いんだもん……」
制服の裾をぎゅっと掴まれて、僕の心臓はもううるさいくらいにドキドキと高鳴っていた。
「ギャアアアア!」
どこからともなく叫び声が響いた瞬間、由奈ちゃんが僕の背中に顔を埋めてきた。
「うわっ、びっくりした……!」
俺も驚いたけど、それ以上に由奈の反応が可愛すぎて、頭が真っ白になるも、それ以上にこの胸のドキドキが聞こえてしまうのではと少し心配になった。
「大丈夫だよ、僕がいるから」
そう言って手を握ると、由奈がそっと握り返してくれた。
その手の温度が、なんだか心地よくて感じる……。
次の角を曲がった瞬間、壁の隙間から白い手が飛び出してきた。
「きゃあああああっ!!」
由奈ちゃんが俺に抱きついてきた。
胸元にしがみつく彼女の体温と鼓動が、俺の理性をさらに削っていく。
「ゆ、由奈ちゃん……!?」
僕は動けないまま、由奈ちゃんを抱きしめると彼女の震えを感じていた。
怖いのは、お化けじゃない。
僕たちの“関係が変わるかもしれない”こと。
(もしかして……僕も、由奈ちゃんのこと……)
その答えを、まだ言葉にできないまま、僕たちは暗い迷宮の中を、手を繋いで歩いていった。
20
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編4が完結しました!(2026.2.22)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる