69 / 223
由奈の章 甘えたがりな義妹
オバケよりドキドキする気持ち
しおりを挟む
──由奈──
クレープを食べ終わったあたしは、お兄ちゃんに触れる事もなく少しだけ距離を開けて歩いていた……。
その理由は先ほどの事故……。
(ど……どうしよう……、わざとじゃないにしても、お兄ちゃんと間接キスしちゃった……)
あたしの胸はドキドキと高鳴る……。
途中からクレープの味なんて全然しなかった……。
頭にあったのはお兄ちゃんと間接キスをしたと言う事実だけ……。
(でも……お兄ちゃんは少しはあたしなこと……意識してくれた……かな……?)
あたしはチラッとお兄ちゃんの顔を覗き見るもいつもと変わらないお兄ちゃんの表情に、何を考えているのか伺いしれない……。
(どうしようかな……、折角のお兄ちゃんとの学園祭デート……もっと仲を深めたいよ……)
あたしはなにかないかとあたりを見渡すと、お化け屋敷をしている教室を見つけた。
これだ……!
こわいけど……だからこそお兄ちゃんとなら……。
(お化け屋敷……! 怖いけど……でも、怖いからこそ……!)
あたしは一歩、二歩とお兄ちゃんに近づいて、そっと腕に手を添えた。
さっきまで少し距離を空けていたのに、今はもう、くっついて歩いている。
「ねえ、お兄ちゃん……あたし、あそこ行ってみたいな」
指さした先には、黒い布で覆われた教室。入口には“恐怖!地獄の迷宮”と手書きの看板がぶら下がっている。
「え、お化け屋敷? でも由奈ちゃん、怖いの大丈夫なの?」
「えっと……苦手だけど……だからお兄ちゃんと一緒に入りたいかなって……ダメ……?」
あたしは抱きついているお兄ちゃんの腕にぎゅっと力を込めながら上目遣いで見る。
お兄ちゃんの表情が一瞬だけ固まったのを、見逃さなかった。
(……やっぱり、ちょっとは意識してくれてるのかな?)
「……わかったよ。じゃあ、行こうか」
お兄ちゃんは少し照れたように笑って、あたしの手を握り返してくれた。
その瞬間、あたしの胸のドキドキは、さっきの間接キスよりもずっと強くなった。
(怖いのは、お化けじゃなくて……お兄ちゃんとの距離、かも……)
あたしはそう思いながら、お化け屋敷の模擬店へと向かう。
「すいません、2人いいですか?」
「ええ、いいですよ!二人で600円です。」
お兄ちゃんが受付の女の先輩に入場料を払おうとするのをあたしは制した。
「お兄ちゃん、ここはあたしがだすよ」
「え……?でも……」
「さっきクレープのお金を出してもらったからね。お兄ちゃんばかりに出させたら悪いし……ね♪」
あたしはお兄ちゃんへとウインクをすると、顔を赤くして目を逸らすお兄ちゃん。
……その照れた顔がちょっとだけ嬉しい。
「わ……分かったよ……。ならここは由奈ちゃんにお願いしようかな……」
「うん!」
「お二人様ご案内~!」
あたしは受付の先輩へとお金を支払うとお化け屋敷へと入る。
教室を使ったお化け屋敷は、思っていたよりも本格的だった。
黒い布で天井まで覆われていて、足元にはうっすらとスモークが漂っている。
さらにおどろおどろしいBGMのオマケ付きという念の入れよう……。
教室の中に足を踏み入れた瞬間、空気が一変した。
ひんやりとした冷気が肌を撫で、背筋がぞくっとしたあたしは思わずお兄ちゃんの腕にしがみついた。
「うわ……本気だ……」
お兄ちゃんがぽつりと呟く。
その声が、いつもより少しだけ低くて、あたしの心臓が跳ねた。
(……お兄ちゃんの声、こんなに近かったっけ……)
通路は狭く、二人並んで歩くにはちょっと窮屈。
自然とあたしはお兄ちゃんの後ろに回って、背中にぴったりくっつくように歩いた。
「由奈ちゃん、後ろからくっつきすぎじゃ……」
「だって……怖いんだもん……」
あたしはお兄ちゃんの制服の裾をぎゅっと掴んだ。
その瞬間、教室の奥から「ギャアアアアア!」という叫び声が響いて、あたしは思わずお兄ちゃんの背中に顔を埋めた。
「うわっ、びっくりした……!」
お兄ちゃんも驚いたみたいで、肩が跳ねる。
でも、すぐにあたしの手をそっと握ってくれた。
「大丈夫だよ、僕がいるから」
その言葉に、あたしの胸がまたドキドキと高鳴る。
怖いはずなのに、なんだか嬉しくて、顔が熱くなる。
(お兄ちゃん……、優しい……)
暗闇の中、あたしはお兄ちゃんの手を握り返した。
その手の温度が、あたしの不安も、照れも、全部包み込んでくれる気がした。
そして、次の角を曲がった瞬間——
突然、壁の隙間から白い手が飛び出してきて、あたしの肩に触れた。
「きゃあああああっ!!」
あたしは反射的にお兄ちゃんに抱きついた。
腕の中に飛び込んだ瞬間、お兄ちゃんの体がびくっと硬直するのがわかった。
「ゆ、由奈ちゃん……!?」
あたしは顔を上げることができず、ただお兄ちゃんの胸元にしがみついたまま、小さく震えていた。
(ごめんね、怖いのは本当なんだけど……でもそれは口実で……今だけは……このまま……)
あたしの心の中で、さっきの間接キスよりもずっと強い“想い”が、静かに芽吹いていた。
この距離、この温度、この鼓動……。
やっぱりあたしはお兄ちゃんが好きなんだ……。
でも……もしあたしがこの気持ちをお兄ちゃんに言ったらどうなる……?
今まで通り義理とは言え、兄妹の関係じゃなくなる……?
それとも……。
怖いのは、やっぱりお化けじゃなくて……。
……お兄ちゃんとの"関係が変わる事"なのかもしれない。
クレープを食べ終わったあたしは、お兄ちゃんに触れる事もなく少しだけ距離を開けて歩いていた……。
その理由は先ほどの事故……。
(ど……どうしよう……、わざとじゃないにしても、お兄ちゃんと間接キスしちゃった……)
あたしの胸はドキドキと高鳴る……。
途中からクレープの味なんて全然しなかった……。
頭にあったのはお兄ちゃんと間接キスをしたと言う事実だけ……。
(でも……お兄ちゃんは少しはあたしなこと……意識してくれた……かな……?)
あたしはチラッとお兄ちゃんの顔を覗き見るもいつもと変わらないお兄ちゃんの表情に、何を考えているのか伺いしれない……。
(どうしようかな……、折角のお兄ちゃんとの学園祭デート……もっと仲を深めたいよ……)
あたしはなにかないかとあたりを見渡すと、お化け屋敷をしている教室を見つけた。
これだ……!
こわいけど……だからこそお兄ちゃんとなら……。
(お化け屋敷……! 怖いけど……でも、怖いからこそ……!)
あたしは一歩、二歩とお兄ちゃんに近づいて、そっと腕に手を添えた。
さっきまで少し距離を空けていたのに、今はもう、くっついて歩いている。
「ねえ、お兄ちゃん……あたし、あそこ行ってみたいな」
指さした先には、黒い布で覆われた教室。入口には“恐怖!地獄の迷宮”と手書きの看板がぶら下がっている。
「え、お化け屋敷? でも由奈ちゃん、怖いの大丈夫なの?」
「えっと……苦手だけど……だからお兄ちゃんと一緒に入りたいかなって……ダメ……?」
あたしは抱きついているお兄ちゃんの腕にぎゅっと力を込めながら上目遣いで見る。
お兄ちゃんの表情が一瞬だけ固まったのを、見逃さなかった。
(……やっぱり、ちょっとは意識してくれてるのかな?)
「……わかったよ。じゃあ、行こうか」
お兄ちゃんは少し照れたように笑って、あたしの手を握り返してくれた。
その瞬間、あたしの胸のドキドキは、さっきの間接キスよりもずっと強くなった。
(怖いのは、お化けじゃなくて……お兄ちゃんとの距離、かも……)
あたしはそう思いながら、お化け屋敷の模擬店へと向かう。
「すいません、2人いいですか?」
「ええ、いいですよ!二人で600円です。」
お兄ちゃんが受付の女の先輩に入場料を払おうとするのをあたしは制した。
「お兄ちゃん、ここはあたしがだすよ」
「え……?でも……」
「さっきクレープのお金を出してもらったからね。お兄ちゃんばかりに出させたら悪いし……ね♪」
あたしはお兄ちゃんへとウインクをすると、顔を赤くして目を逸らすお兄ちゃん。
……その照れた顔がちょっとだけ嬉しい。
「わ……分かったよ……。ならここは由奈ちゃんにお願いしようかな……」
「うん!」
「お二人様ご案内~!」
あたしは受付の先輩へとお金を支払うとお化け屋敷へと入る。
教室を使ったお化け屋敷は、思っていたよりも本格的だった。
黒い布で天井まで覆われていて、足元にはうっすらとスモークが漂っている。
さらにおどろおどろしいBGMのオマケ付きという念の入れよう……。
教室の中に足を踏み入れた瞬間、空気が一変した。
ひんやりとした冷気が肌を撫で、背筋がぞくっとしたあたしは思わずお兄ちゃんの腕にしがみついた。
「うわ……本気だ……」
お兄ちゃんがぽつりと呟く。
その声が、いつもより少しだけ低くて、あたしの心臓が跳ねた。
(……お兄ちゃんの声、こんなに近かったっけ……)
通路は狭く、二人並んで歩くにはちょっと窮屈。
自然とあたしはお兄ちゃんの後ろに回って、背中にぴったりくっつくように歩いた。
「由奈ちゃん、後ろからくっつきすぎじゃ……」
「だって……怖いんだもん……」
あたしはお兄ちゃんの制服の裾をぎゅっと掴んだ。
その瞬間、教室の奥から「ギャアアアアア!」という叫び声が響いて、あたしは思わずお兄ちゃんの背中に顔を埋めた。
「うわっ、びっくりした……!」
お兄ちゃんも驚いたみたいで、肩が跳ねる。
でも、すぐにあたしの手をそっと握ってくれた。
「大丈夫だよ、僕がいるから」
その言葉に、あたしの胸がまたドキドキと高鳴る。
怖いはずなのに、なんだか嬉しくて、顔が熱くなる。
(お兄ちゃん……、優しい……)
暗闇の中、あたしはお兄ちゃんの手を握り返した。
その手の温度が、あたしの不安も、照れも、全部包み込んでくれる気がした。
そして、次の角を曲がった瞬間——
突然、壁の隙間から白い手が飛び出してきて、あたしの肩に触れた。
「きゃあああああっ!!」
あたしは反射的にお兄ちゃんに抱きついた。
腕の中に飛び込んだ瞬間、お兄ちゃんの体がびくっと硬直するのがわかった。
「ゆ、由奈ちゃん……!?」
あたしは顔を上げることができず、ただお兄ちゃんの胸元にしがみついたまま、小さく震えていた。
(ごめんね、怖いのは本当なんだけど……でもそれは口実で……今だけは……このまま……)
あたしの心の中で、さっきの間接キスよりもずっと強い“想い”が、静かに芽吹いていた。
この距離、この温度、この鼓動……。
やっぱりあたしはお兄ちゃんが好きなんだ……。
でも……もしあたしがこの気持ちをお兄ちゃんに言ったらどうなる……?
今まで通り義理とは言え、兄妹の関係じゃなくなる……?
それとも……。
怖いのは、やっぱりお化けじゃなくて……。
……お兄ちゃんとの"関係が変わる事"なのかもしれない。
20
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
ルピナス
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。
そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。
物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。
※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。
※1日3話ずつ更新する予定です。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編4が完結しました!(2026.2.22)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる