罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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澪の章 寡黙なクラス委員長

澪との猫カフェデート

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 家に帰った僕は、自室のベッドに腰を下ろし、スマホを見ながら頭を抱えていた。

(柊さんと出かけるはいいけど……どこに行こう……)

 僕は「女の子が喜ぶスポット」や「今話題の店」なんかを検索してみるけど、どれがいいかさっぱりわからない。

「だめだ……まったく思いつかないよ……」

 僕はスマホを手にベッへと倒れ込む。

 亜希や由奈ちゃんに聞く……?
 それはそれでアドバイスは貰えそうだけど、代わりに色々聞かれそうな気もする……。
 けど……。

(聞かれるのも……それはそれで恥ずかしいしな)

 でもどうする……?

 僕がもう少し女の子慣れとかしてたら違うんだろうけど、残念ながら女の子と出かけるなんてイベントは今回が初めてだ。

「はあ……、もう少し考えてみるか……」

 僕はスマホを握りしめながらもう少し考えてみることにした。


 ◆◆◆


 翌日……僕はため息を付きながら柊さんと待ち合わせ場所へと向かう。

「はぁ……結局何も思いつかなかったよ……」

 10時の待ち合わせだったけど、少し早めに本屋へと向かう。

(何も考えていないって言ったら柊さん怒るかなぁ……)

 僕は不安を胸に待ち合わせ場所へと向かうと、そこには既に柊さんの姿があった。
 僕は少しだけ駆け足になって、彼女のもとへ向かう。

「柊さん、ごめん……!待った?」

「大丈夫……さっき来たばかり……」

 そう言う柊さんの服装は白のノースリーブシャツに膝くらいまであるグレーのスカート……。

 彼女の黒い髪と白のシャツがとても映えている。
 ……というか、ノースリーブから伸びる白い腕が、夏の光に映えて眩しかった。

 さらに言えば、バッグのストラップが胸元を横切っていて、意識しないようにするほど、逆に意識してしまう。

「えっと……早速行こうかって言いたいんだけど、実は……何も考えてなくて……ごめん」

 僕から誘った手前、何かしら考えておこうとは思ったんだけど……恥ずかしい話、結局何も思いつかなかった……。

「うん……大丈夫……。それならわたし行ってみたいところがある……」

 それを聞いて僕はホッと胸を撫でおろす……。

「じゃあ、そこに行こうか」

 僕は柊さんと共に街を歩く。
 手を繋いだりはしてないけど……、やけに柊さんの距離が近い。

 その距離は肩が触れそうなくらい、柊さんはすぐそばにいた。

「ねえ……御堂君……、今日のわたし……どう……?」

 柊さんが何か期待するかのような目で僕を見る。

 どうって……あ……!そうか……!
 僕、柊さんの服について何も触れてなかった……!

(はぁ……今日の僕はダメダメだよ……)

「えっと……すごく似合ってると思う。制服姿しか見たことなかったから、なんだか新鮮で……」

「そ……そう……、よかった……」

 僕の返答に満足したのか、柊さんは少し頬を染めながら顔を俯かせる。

 今ので良かったんだよね……?

 何ていうか……こういう事すらドキドキするよ……。

「ところで、柊さんはどこに行きたいの?」

「……猫カフェ」

「猫カフェ……?」

 そんな店あったかなと思いながら首を傾げていると、柊さんがすぐ近くに見えてくる一件の店を指さす。

「あそこ……」

 僕は柊さんと共に彼女が指さした建物へと行くと、外観はシンプルだけど、ガラス越しに見える店内には、たくさんの猫たちが気ままに過ごしていた。

(こんな店があったんだ……、全然知らなかった……)

 ガラス越しに猫を眺めていると、柊さんがそっと僕の袖を引いた。

「御堂君……行こ……」

「あ、うん」

 僕は柊さんに促される形で店内へと入った。


 店内に入ると、ふわりとした空気と、ほんのり漂う猫の匂いが僕を包み込む。
 木目調の床に、低めのソファ。あちこちに猫が寝そべっていて、まるで時間が止まったみたいだった。

「……かわいい」

 柊さんがぽつりと呟く。  
 彼女の視線の先には、白い毛並みの猫が丸くなって眠っていた。

「柊さん、猫好きなんだ?」

「うん……。静かで……気まぐれで……でもふと甘えてくるところが……好き……」

 それって……なんだか柊さん自身みたいだな、と思ったけど、口には出さなかった。

「そう言えば、エリシアゲームでのミオリネも猫の獣人キャラだったよね」

「うん……、ウチ県営住宅だから猫とか飼えないから……」

「そっか……」

 そういう決まりなら仕方ないのかもしれない。

「御堂君……そんなことより早く座ろ」

 いつになくテンション高めな柊さんに釣られて僕たちは並んでソファに座る。
 柊さんは近寄ってきた猫に手を伸ばすと、そっと抱き上げる。
  
 その瞬間、彼女の腕が持ち上がり、ノースリーブの隙間から白い脇がちらりと見えた。

(うわ……!)

 僕は慌てて視線を逸らす。

 見ちゃダメだ……!ダメだとは思うけど……男の性なのか中々目を逸らせない……!

 柊さんは僕の反応に気づいたのか、無表情のまま僕を見つめる。

「……御堂君、今……わたしの脇、見た……?」

「ち、違うよ!猫が……猫が可愛くて……!」

「ふふ……。猫より……わたしの方が……柔らかいかも……よかったらわたしの脇……触ってみる……?」

 柊さんはそう言って、さらに腕をあげると僕へと脇を見せつける。

「え……っ!?いや……あの……、それは……」

 こ……これは誘ってる……?誘ってるのか……っ!?

「ふふ……、冗談……」

 僕は顔を真っ赤にさせながらしどろもどろにしていると、柊さんはクスッと笑みを浮かべた。

 ……からかわれたという解釈でいいのかな?

 そして僕をからかって満足したのか、柊さんは猫を自分の膝の上にそっと乗せてゆっくりとその背中を撫でると、は彼女の太ももに丸くなって、気持ちよさそうに目を閉じる。

「……御堂君は猫触らないの?」

「えっと……、それじゃあ……」

 柊さんに言われ、僕は彼女の太ももの上で丸くなっている猫へと手を伸ばそうとすると、猫は、するりと僕の手を避けて逃げてしまった。

 ……ガーン。

(僕って猫に嫌われてる……?)

 よく見れば確かに僕の近くに猫が寄ってきていない……。

「……御堂君のせいで猫が逃げた」

 そして柊さんからも非難に満ちた目で見られてしまう。

「ご……ごめん……」

「冗談……、猫は気まぐれな動物……。多分今は触ってほしくない時だったのかも……」

 肩を落とす僕に、柊さんはそっと手を添えてくれた。
 その手のぬくもりに、少しだけ救われた気がした。
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