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澪の章 寡黙なクラス委員長
バイト中の柊さん
しおりを挟むある日の土曜……僕はあてもなく商店街をぶらついていた。
(父さんと真奈美さんは二人で何処かに出かけたし……亜希と由奈ちゃんは家……。僕はどうしようかな……)
そんな事を考えながら歩いていると柊さんがバイトしている本屋が目についた。
(……何か目新しい本でも無いか見てみようかな?)
僕はなんの気なしに本屋へと入ると、本屋のエプロンを着けてレジに立っている柊さんがどこか困ってるような表情をしているようにも見えた。
「……だからさ、このあと一緒にどこか行こうよ」
どうやら柊さんは男性客からナンパされているらしく、彼女は言葉こそなかったけど、その目は明らかに嫌がっていた。
(あ……)
と、その時僕と目が合うと柊さんが助けを求めているかのようにも見え、僕は彼女の元へと向かう。
「すみません、これください」
僕は適当に本を取ると柊さんへと差し出す。
「あ……?なんだお前は……!」
突然割り込んできた僕が気に入らないのか男性客は僕を睨みつける。
「彼女……嫌がってますよね?あまりしつこいのなら警察を呼びますよ?」
「……ち!」
僕はスマホを取り出すと、男性客は舌打ちをしながらわざと僕の肩へとぶつかりながら本屋を出ていく。
……乱暴な人だな。
僕は心の中で悪態をつきながらその男性客を見つめていた。
と……、そんなことより柊さんだ……!
「柊さん、大丈夫……?」
僕は柊さんへと声を掛けると、彼女はニコッと微笑んだ。
「ありがとう御堂君……。おかげで助かった……。あの人しつこくて……困ってた……」
「そうなんだ、でも本当にたまたま僕が通りかかってよかったよ」
「うん……、今日のわたしの星占い1位だった……。運命の出会いがあるかも……ってなってた……。ナンパされたときは占いが外れたと思ってたけど……御堂君が来てくれたから結果的に占い当たった……」
「そ……そう……」
柊さんは無表情でピースをすると、僕は思わず苦笑する。
何ていうか……相変わらず掴みどころのない人だな……。
「ところで御堂君……この本買うの……?」
「え……?」
僕は柊さんに言われて先ほど彼女へと差し出した本を見ると、その本のタイトルが『女体の神秘っ!~女性のカラダのひみつ~』と書かれていた。
適当に取ったとはいえ……なんて本を僕は取ったんだ……!
「御堂君って意外と……ムッツリ……?」
「ご……ごめん……!」
僕は顔を赤くして慌てて柊さんから本を奪うように取ると、元の所へと戻す。
「……取られた」
「ご……ごめん……、痛かった……?」
「大丈夫……。でも……女の子の体のこと知りたいのなら……わたしが教えてあげる……」
柊さんはそう言うと突然エプロンを外し始める。
ちょ……!いきなり……っ!?
「わ……わぁーー……!柊さんやめてよ……!」
僕は慌てて彼女を止めようとするも、当の柊さんは不思議そうな顔をしていた。
「なんで……?別に御堂君になら見られてもわたしは問題ない……」
「僕が問題あるよ……!」
商店街の一角にある本屋で僕が女の子を脱がしていたなんて噂が広がろうものなら僕の人生が終わる……!
「残念……」
柊さんは本当に残念がりながら再びエプロンを結ぶと、そのエプロンの下から押し上げられるように見える柊さんの胸に、思わず目がいってしまった。
(ゴクリ……大きい……!て……、僕はに考えてるんだ……!)
「……御堂君の視線、わたしの胸に感じる。わたしの胸……見たい?」
「やめてよ……!」
服を脱ごうとする柊さんを僕は慌てて止める!
本当に柊さんは何を考えているのか分からないよ……!
「……な~んちゃって」
柊さんは無表情でそう言うと自分の服を持っていた手をパッと話して僕へと手のひらを向ける。
……いや、笑えないから。
「ところで御堂君はこのあと何か用事とかある……?」
「用事……?特には無いけど……」
柊さんに言われ、僕は顎に手を当てて考えるも特にこれといった予定は思いつかない。
「もうすぐわたしのバイトが終わる……、よかったら家に来てほしい……。助けてもらったお礼……したいから……」
「え……?でも、突然柊さんの家に行ったら家の人に迷惑なんじゃ……」
確か柊さんの家は母子家庭でお母さんと二人で住んでるって言ってたはず……。
突然娘が男を連れてきたりしたら流石に驚くんじゃないかな……?
「大丈夫……、お母さん仕事でいないから……」
「いやいやいや!それ、全然大丈夫じゃないから!」
柊さんの家で二人きりって……何かあったらどうするのさ……!
いや……何かをする気はないんだけど……!
「大丈夫……、もし何かあったとしても……既成事実作れる……」
この人、とんでもないことサラッと言ったぞ……!?
「と……兎に角今日は柊さんの家に行くのやめておくよ……!」
「そう……残念……」
僕は彼女の誘いを断ると、柊さんはシュンと目を伏せて落ち込んでいた……。
うう……なんか罪悪感にも似たものを感じる……。
でも、女の子の家で二人きりって……、付き合っているのならまだしも、ただのクラスメイトなのに色々と不味いよねっ!?
僕は間違っていない……はず!
「じゃあ……その代わり、明日。買い物とか、一緒に行かない?」
「……御堂君からのデートのお誘い」
僕の言葉に柊さんは口元へと手を当てると顔を少し赤くする……。
「いや……デートってほどじゃないような……」
「明日、わたしはバイトが休み……。明日のデート楽しみにしてる……」
頬をほんのり染めて、上目遣いで僕を見つめる柊さん。
どうやらデートなのは彼女の中では確定らしい。
しかし、その視線に僕の心臓が跳ねた。
柊さんって……結構可愛い……?
「ま……待ち合わせ場所は10時くらいにこの本屋の辺りでいい?」
「分かった……」
少し顔を赤くしている僕の提案に柊さんはほぼ無表情で了承するも、その表情とは裏腹に何度もコクコクと首を縦へと振る。
……首痛くならないのかな?
「じゃあ……また、明日」
僕は柊さんと明日の約束を取り付けると本屋を後にする。
~サイドストーリー~
──澪──
バイトを終えて、県営住宅の一室へと帰ってきたわたしはリビングのテーブル
にあるイスに座ると、スマホの待ち受け画面に目を向けた。
画面には、こっそり撮った御堂君の写真が映っていた。
元々わたしはこんな物静かな子じゃなかった……。
こうなったのはお父さんの影響……。
お父さんはわたしがまだ幼い頃、わたしが騒ぐたびにうるさいと怒鳴っていた……。
時には手を挙げられることもあった……。
それ以来、わたしは少しずつ口数が減っていき、いつしか寡黙な性格になってしまった……。
そんなわたしを見かね、お母さんはお父さんと離婚……。
それでもわたしの性格は治ることはなかった……。
付属中学に入ってもわたしは今のまま……。
無口なせいで男子たちにからかわれることも多かった。
からかわれる度にお父さんから怒鳴られた記憶が蘇り苦痛だった……。
でも……そんな時にわたしを助けてくれたのが御堂君だった……。
その瞬間から、わたしの目には彼しか映らなくなった。
でも、当時のわたしは今よりも控えめな性格で何かと気にかけてくれていた御堂君とあまり話したりも出来なかった……。
それが災いしてか、御堂君の周りに最近女の子たちが寄り始めた……。
風原さんとその妹さん……。
あの二人は手強い……、しかも、同居という“アドバンテージ”まで持っている。
わたしは御堂君を風原さんやその妹さんに取られたくない……。
(でも……明日は御堂君とデート……)
バイト中にわたしを助けてくれた御堂君が本当にカッコよかった。
そんな彼にもっとわたしを見て欲しい……知って欲しい……そして……好きになって欲しい……。
「御堂君……わたしは……御堂君が好き……」
そんな気持ちを抱きながらスマホの画面に映る御堂君へと一人つぶやいた……。
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