罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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澪の章 寡黙なクラス委員長

彼方に下った天罰とキスの寸止め

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 午後……本日の6時限目は体育で、僕は体操着に着替え、体育館へと訪れていた。
 この日は珍しく、男女ともに体育館。
 まあ、内容は違うんだけどね……。

 僕たち男子は縄跳びで、女子はバレーボール。

 縄跳びといっても小学校でやった縄跳びとは違い、課題をクリアしないと次のランクに進めず、単位ももらえない——なかなか面倒な仕様だ。

 僕は悠人と共にその面倒なランク上げ縄跳びを体育館の隅に座ってサボりながら眺めていると、高藤が既にAランクに挑戦していた……。
 ランクはF~Aまであり、勿論Aランクはかなり難しい……にも関わらず高藤はあっさりとクリアしてしまう。

(……本当にあいつ運動神経とかはいいよな)

 普段やることがアレなわけなのだけど、頭や運動神経はいい。

 僕は高藤へと目を向けているとそれに気がついたのか彼は僕の所へと歩いてくる。

「ふ……、どうだ御堂。俺の縄跳びを見てくれたか?」

「……うん、Aランククリアおめでとう」

「このくらい俺にとっては軽いものだ……、ところで御堂は今何ランクだ?」

「……Cだけど?」

「Cなら単位が貰えるギリギリだな。ま、あとはお前の好きにするといい。さらばだ」

 高藤はそれだけを言うと僕の前から去っていく。

 まったく……何しに来たんだあいつ……?

「おい……、彼方あっち……女子の方見てみろよ……!」

 僕は心の中でため息を付いていると悠人が僕へと声をかけてくる。

「どうしたの悠人……?」

「呑気なこと言ってる場合じゃねえぞ……!見ろあれを……!」

 あれ……?
 僕は悠人が指差す方を見ると女子がバレーボールを行っていた。

 その中には柊さんの姿があり、僕は彼女のへと目を向けると普段はストレートロングの髪がポニーテールへと結ばれていた。

 柊さんは無表情のまま、淡々とボールを拾い、レシーブを放つ。
 その動きの中で、彼女の胸元が揺れていた。

(柊さんってこんなに運動できるんだ……)

 僕は思わず目を奪われていた。  
 柊さんがジャンプするたびに彼女の体操着の裾から、彼女のお腹がちらりと覗き、汗に濡れた肌が陽の光を反射していた。

 そして、ジャンプのたびに彼女の胸が揺れる……。

 こ……これは……!

(み……見ちゃダメだ……!でも、目が離せない……!)

 僕の目は完全に柊さんに釘付けとなっていた。
 と、その瞬間……僕の邪な考えがいけなかったのか、天罰が下った……!

「は……っ!」

 その瞬間、柊さんのレシーブが鋭い軌道で飛び、僕の顔面にクリーンヒットした。

「あが……!」

 視界がぐるりと回って、僕の意識はそこで途切れた。


 ◆◆◆


 気がつくと、僕は保健室のベッドに横たわっていた。

「いつ……いつつつ……」

 僕は体を起こそうとするとボールが直撃した頭がズキっと痛み、そのまま横になることにする。

「御堂君……大丈夫……?」

 僕が頭を抑えていると横から声をかけられる。
 そこには心配そうな表情をする柊さんが立っていた。

「柊さん……?」

「御堂君……本当にごめんなさい……、わたしのレシーブが逸れて……御堂君に当たってしまった……」

 柊さんは申し訳なさそうに頭を下げる。

(いや……あれは多分僕に天罰が下ったんだと思う……)

 僕はそう思うも口に出すのは止めておく。
 流石に柊さんの胸を見ていたからなんて言えないしな……。

「ところで、柊さんが運んでくれたの?」

「運んだのは高藤君……。わたしはクラス委員長としてここにいる……。もちろん御堂君にケガさせた責任もある……」

「高藤が……?その高藤はもう戻ったの?」

「戻った……。わたしがここにいるって言ったら……それより気分は悪くない……?」

「うん……大丈夫みたい……。それより今は何時くらい……?」

 僕は辺りを見渡すもここからでは時計は見えないようだ。

「今は……6時限目が終わって放課後……。時間は16時30分くらい……」

 柊さんがスマホの画面を見せてくる。そこに表示された時刻に、僕は目を疑った。

 も……もう放課後……っ!?
 それに柊さんはバイトがあるはず……!

「付き合わせちゃってゴメン……!柊さんはバイトがあるのに……!」

 僕はベッドから飛び起きると突然頭がクラっとしてしまった……。

「御堂君……!」

 ふらついた僕の体を、柊さんがそっと支えてくれた。

 偶然とはいえ、気づけば、僕の顔は彼女の胸元に触れていた。

 早く……早く退かないと……。
 そう思う僕の心とは裏腹にボールが直撃したせいか頭がボゥ~っとする……。

 顔に柊さんの温もりと胸の柔らかさと、彼女の匂いがする……。

 体操服は汗で少ししっとりとしてるけど不思議と嫌な感じがしない……。
 むしろもっとこうしていたいとすら思える……。

「柊さん……、ごめん……」

 僕は柊さんに謝りながらも彼女の匂いを吸うと、女の子特有の甘い香りに、汗の熱が混ざったような匂いがふわりと漂ってくる。

 もっとこうしていたい……。

 僕の気持ちが通じたのか、柊さんの手が僕の頭を優しく抱きしめる……。

「御堂君……大丈夫……?」

 柊さんの心配そうな声が聞こえてくる……。
 流石にずっとそのままでいるのはマズイと思った僕は彼女の体から頭を離すと、柊さんの手もまたそっと僕の頭から離れていく。

「柊さん……」

「御堂君……」

 柊さんは屈むと僕と目線を合わせてくる……。

(柊さんとキスしたい……)

 そう思った僕は目を閉じると彼女の顔へと自分の顔を近付いていく……。

 すぐ近くに柊さんに息遣いが聞こえる……。
 あと少しで届く——そう思った、その瞬間だった。

「御堂君は目を覚ました?」

 突然保健室のドアが開かれると女性の養護教諭の声が聞こえてきた!

 突然の事に目を開らくと、すぐ近くに目を見開いて僕を見る柊さんの顔があった。

 柊さんは立ち上がると何も言わずに走り去り、残された僕の胸には熱とざわめきだけが残っていた。
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