罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長

彼方の覚悟

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 翌朝、僕は如月先輩たちと一緒に朝の挨拶運動を済ませると教室に入った。
 すると、悠人と高藤がニヤニヤしながら近寄ってくる。

「よお彼方、見てたぜ。挨拶運動、暑い中ご苦労だったな」

「ふ……、まさかお前が生徒会に入るとはな……」

「まあ、僕が好きで始めたことだからね」

 僕は苦笑しながら"仮"という紙の貼られた生徒会の腕章を外すとカバンに仕舞う。

「お前が好きなのは"生徒会"じゃなくて"生徒会長"のほうじゃないのか?」

「あははは……」

 悠人の的を得た言葉に僕は苦笑いを浮かべてごまかす。
 ……まあ、如月先輩が目当てじゃないとは言い切れない。
 でも、それだけじゃない——と思う。

 その辺りは自分の中でもやや曖昧となっていた。
 でも、如月先輩を支えたいという思いだけは確かだ。

「そう言えば御堂知ってるか?今日の放課後、その生徒会長が被害者の学校へと謝罪に行くらしいぞ」

「え……?僕そんな話聞いてないけど……」

 もちろん僕がまだ仮メンバーだからという可能性はあるけど、それを差し引いてもその情報をなんで高藤が知ってるんだろう……?

 本当に謎の多いやつだ……。

「しかし、俺の入手した情報によれば、どうやらきな臭い感じがする。御堂、生徒会長を守りたかったらお前も同行しておけ。あとの事は俺に任せろ」

「は……はあ……」

 高藤は不敵な笑みを浮かべると、僕はよくは分からないけど高藤の言葉に頷くことにした。


 ◆◆◆


 昼休み……弁当を食べ終わった僕はスマホを取り出すと如月先輩に、「お聞きしたいことがあるのですが、いいですか?」という内容のメールを送る。

 以前先輩と連絡先を交換しておいて本当に良かったと思う。
 もちろん、あの時は僕が生徒会に入るとは思っても見なかったけど、今朝の高藤の言葉を信じるなら僕も謝罪についていくべきだ。

 そう思っていると、先輩から返事が返ってくる。

『分かった、では生徒会室に来てくれないか』

 僕はメールを確認すると、弁当箱を片付けて生徒会室に向かう。


 生徒会室の扉をノックすると、中から「どうぞ」というミレイの声が聞こえた。

 扉を開けると、如月先輩は机に書類を並べて何かを確認していたけど、イオリの姿はなかった。

「失礼します」

「わざわざ来てもらってすまなかったな。それで話とはなんだ?生徒会に関する質問か何かか?」

 如月先輩は顔を上げ、いつもの落ち着いた表情で僕を見つめる。

 僕は一度深呼吸してから、言葉を選びながら切り出した。

「先輩……今日、相手の学校に謝罪に行かれるって聞きました。僕も同行させてください」

 僕は話を切り出すと、先輩の手が止まる。

「……誰から聞いた?」

 先輩の声は鋭く、瞳はまっすぐ僕を射抜いていた。

 その圧に押されそうになるも、僕は引き下がることなくさらに口を開く。 

「僕の友人からです。どうして彼が知ってるのかは分かりません。でも、僕は……先輩が一人で行くのは危険だと思うんです。せめてイオリをつけたほうが……!」

 如月先輩はしばらく黙っていた。
 視線を落とし、机の上の書類を見つめたまま……。

「これは、生徒会長としての責任。ミレイが一人で背負うべきことだ。それに律は来ない、流石に会長と副会長の両方が留守では何かとまずいからな」

「なら僕が付いていきます!僕も生徒会の一員です。仮でも、関係ない。僕は……先輩を支えたいんです」

 如月先輩はゆっくりと顔を上げた。
 その瞳には、わずかに揺れる光が宿っていた。

「……御堂、これはただの謝罪じゃない。相手校の空気も、状況も、穏やかじゃない。下手をすれば、火に油を注ぐことになる」

「それでも、行きます。僕が行くことで、少しでも先輩の力になれるなら」

 先輩は目を細め、しばらく僕を見つめていた。

 そして、ため息をつくと静かに頷いた。

「……分かった。御堂の同行を許可する。ただし、ミレイの判断に従うこと。それが条件だ」

「はい、もちろんです!」

 僕は思わず背筋を伸ばして答えた。

「ふふ……お前はそんなに気負わなくていい。これは本来ミレイの仕事だ。でも、お前のその気持ちをミレイは嬉しく思うぞ」

 如月先輩の微笑みは、どこか寂しげで、でも確かに温かかった。

(僕は……この人の力になりたい。たとえ、どんな形でも)

 そう強く思いながら、僕は“仮”の腕章にそっと触れた。
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