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しおりを挟む「会いたかった」
「どこに行ってたのさ!」
二人に強く抱き締められる。肩に乗るそれぞれの顔。髪の毛が頬を擽り少し痒い。だが会えた喜びの方が強くコハルも二人の肩に手をまわし抱き締め返す。
「私も会いたかった。どうしてここにいるの?」
「仕事だよ。もう二度と会えないかと思った」
クルトの抱き締める力が強くなる。二人には置き手紙だけを残したまま会えなくなってしまい申し訳ない事をしてしまった。ちゃんと話をする為に二人を抱きしめていた手を離す。だか二人はずっと抱きついたまま離れようとしない。それもその筈、彼等はコハルの置き手紙を見つけた後、休みの度にあちこちを周りコハルを探していたのだった。そんな彼女が腕の中にいるのが夢のようでこの瞬間が終わらなければいいと思っている。だがそれもラウルの咳払いで覚めてしまった。
「お前らどういう関係だ」
「「「・・・恋人?」」」
三人揃って首を傾げて言った。友達以上の関係でいることは間違いないが結婚するまででもない関係。つまりは恋人である。いや、恋人でいいのだろうか?でも、双子も同じ考えでいてくれている事に嬉しくなった。
「結婚はしないのか?」
「それはお互いをもっと知ってから決めるんだよな?」
「俺達もコハルの事もっと知りたい」
二人は相変わらずコハルを抱きしめたままだ。
「あ、そうだ。公の料理とお酒持ってきたよー」
アルトはコハルから離れ、いつの間に持ってきて置いておいたのか分からない料理が乗ったプレートをラウルに渡し、再びコハルの元へ戻り抱きしめた。
「二人はラウル様とどういう関係なの?」
「俺達のボスだよ」
クルトが優しい眼差しで教えてくれて頬にキスをされる。ボスと言っているが上下関係が緩いような気がする。何故なら彼等が敬語を使わずに話しているから。不思議に思っているとクルトが教えてくれた。
クルトとアルトは幼い頃にラウルに拾われ公爵家に仕えていた。歳の近いラウルは二人の事を気に入り特別に友人のように接する事を許していると言う。コハルの中でラウルに対しての好感度が上がった。
それからコハルは二人に質問攻撃をくらう事となる。どうしてここに居るのか。今は何処にいるのか。仕事をしているのは本当なのか。あの変な字の置き手紙は何なのか。その質問に全て答えていく間にラウルも加わりあっという間に時間が過ぎていった。その間も双子の二人はコハルの傍を離れることはなく、抱きついてはいないが手は繋いでる。
流石に戻らなくてはと思い告げると双子から仕事が休みの度にコハルの職場に遊びに行くと言われた。休みの日はゆっくりと自分の時間を大切にして欲しいと告げるがそうしないと満足出来ないと言われてしまった。これから楽しくなりそうだなと思いながら三人に挨拶をしテラスからパーティ会場へ戻る。そっと中に入ると囲っていた男達はもう居ない。ほっと安堵のため息を吐き周囲を見渡す。
「コハル!やっと見つけた!」
ウォルトが見つけてくれて抱きしめられた。相当心配させてしまった様子だ。他の騎士達も探してくれていた様で何人か知った顔がこちらを見ながらほっとしている。ウォルト達へ謝罪をし、中二階を見るとロイドとルイスがこちらを見ながら眉を八の字にして微笑んでいた。笑顔を返すとこちらに身体を向けているジークバルトが無表情で親指を立てている。彼のその意外な行動に思わず笑ってしまいそのままグッジョブと親指を立てて返した。ジークバルトさんは本当に癒される。
「ウォルト君ごめんね。その、お手洗いに行きたくて・・・」
実はずっと我慢していたのだ。ついて行きますと言われ断ったが結局ウォルトとその他騎士数人と一緒にトイレに連れて行ってもらった。流石に中まで着いてこないので今は独りでトイレの中にいる。用を足し終え、待たせているのも申し訳ないので急いで手を洗う。顔を上げ鏡を見るとそこには写っていない筈の真っ黒い人影が自分の背後に居た。恐怖のあまり悲鳴を上げようとしたが、その人物に口をハンカチで押さえつけられてしまった。
何か変な臭いがするっーー。
段々と意識が遠のき、コハルは気を失ってしまった。
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