32 / 80
第032話(強行突破?!)
しおりを挟む
「ここら辺から急激に魔粒子の量が増えているのです!此処から先は危険ですので気をつけるのです!」
ポメがそう宣言したのは、今まで通ってきた森と何ら変わった所が、見受けられない地点だった。
ピピィィィッッ!!
ガガゥッッ!!
感じられないのは僕だけだったようで、ファングとビークもきちんと気がついたようで、警戒の声を上げる。
「やはり御主人様は鈍感な役立たずなのです!こんなに濃い魔粒子に気が付かないなんて」
「そんな事言われてもなぁ」
魔導器が余っていれば回復量かなんかで、わかる事もあるかもしれないが、現状最大値なので、全く把握できない。
「じゃぁ、魔法で調べてみますかね。探索」
僕は何気なく探索の魔法を起動する。
「な、なんだここ!!」
その恐るべき結果に、僕は叫び声を上げてしまう。
「辺り一帯、強力な敵性生物だらけじゃないか!」
探索の魔法がキャッチしたのは数百個の赤い点。それぞれ点の大きさは中以上。つまりランクC~D以上の敵性生物が、この一帯にひしめき合っているのだ。
「しかも、なんだこれ……?!」
その赤い点が減っては増えてを繰り返して明滅している。
「食物連鎖なのです!魔物を喰った魔物が成長し、別の魔物を喰い、喰われ、常に強さが変動しているのです!そしてその食物連鎖の輪から外れ、喰われる事のない強さを身に着けた頂点に立つ魔物が数体。それがココの領域主として君臨しているのです!」
「こんな所を抜けるのか……」
「頂点の魔物は全て魔穴スポットの近くにいて、今この時も魔粒子を貯め続けているのです!」
「放っておけば置くほど強くなっているってことか」
「そうなのです!それ故、ここの領域主のランクはS相当になっている可能性もあるのです」
「と、兎に角、それでも敵の少ない所を抜けよう」
僕は探索の結果から、最も赤い点の少ないルートを導き出す。
「こりゃ、ポメが言っていた通り、丸一日走ることになりそうだ……」
「知覚向上!空気抵抗無効!敏捷倍増!」
以前ファングを助けた時に使った、移動補助魔法を自分自身に起動する。こんなヤバイ場所は一刻も早く走り抜けるに限る。
「行くよファング!早いかもしれないけど着いてきてね」
そう言って僕はビークを胸に抱くと、最短コースに向かって飛び出していく。
周りの木々を鋭敏な近くで察知し、回避し、空気抵抗を無効化して弾丸のような速度で、森の中を駆けていく。幸い全力を出さなければファングもポメも問題なく着いてこれるようだ。
周りの敵性生物は、僕達を知覚すると攻撃を仕掛けてくるが、尋常ではない速度で駆け抜ける僕には当たらない。
そう走っている内に、探索の示す赤い点の大きさが大きくなっていき、やがてすり抜ける隙間がないくらい、目の前のルートが真っ赤な点で覆われる。
「これ以上、走り抜けるのは無理だね」
「道を切り開く必要があるのです!」
「じゃぁ、手加減無しで行くか。火は森を燃やしてしまうからダメだとして風でいくか。風爆刃嵐!!」
風雷系中級魔法で強力な風の渦と共に風の刃を前方に射出する魔法だ。初級の風の刃は刃を飛ばすだけだが、風爆刃嵐は風を堪えているところに不可視の刃が襲いかかるし、風に巻き込まれれば、巻き上げられながら風の刃でズタズタに切り裂かれるエグい魔法だ。
僕の過剰魔力で無差別に放たれた風爆刃嵐は直径20mの物騒な風の渦が全ての木々を吹き飛ばし切り刻みながら直線状にいるありとあらゆる物を吹き飛ばし切り刻んだ。
「相変わらずの物騒な魔法なのです!森林も生態系も無秩序に破壊するとは、さすが平穏の壊し手なのです!」
横で並走するポメが全く息切れもさせずに毒を吐いてくる。平穏の壊し手って……どこぞの魔王みたいな二つ名だなぁ。
そう言われても仕方ないくらい、僕の目の前には、身体を半分に断たれた魔獣や魔蟲が蠢き、僕を恨むような目で見ていた。でもこの魔物達も、好きあらば僕達を餌にしようとしていたことは間違いない敵性生物だから、仕方ないと思う。
風爆刃嵐により、ほぼ更地になり障害が無くなった道を僕達は、再び駆け始める。
グォォォォォォッッッ!!
その道の先に轟くような咆哮が鳴り響くと、途轍もないプレッシャーが僕達を襲う。その方向とプレッシャーは、この道の先に、相当に強力な魔物が待ち構えているのを予感させるのであった。
ポメがそう宣言したのは、今まで通ってきた森と何ら変わった所が、見受けられない地点だった。
ピピィィィッッ!!
ガガゥッッ!!
感じられないのは僕だけだったようで、ファングとビークもきちんと気がついたようで、警戒の声を上げる。
「やはり御主人様は鈍感な役立たずなのです!こんなに濃い魔粒子に気が付かないなんて」
「そんな事言われてもなぁ」
魔導器が余っていれば回復量かなんかで、わかる事もあるかもしれないが、現状最大値なので、全く把握できない。
「じゃぁ、魔法で調べてみますかね。探索」
僕は何気なく探索の魔法を起動する。
「な、なんだここ!!」
その恐るべき結果に、僕は叫び声を上げてしまう。
「辺り一帯、強力な敵性生物だらけじゃないか!」
探索の魔法がキャッチしたのは数百個の赤い点。それぞれ点の大きさは中以上。つまりランクC~D以上の敵性生物が、この一帯にひしめき合っているのだ。
「しかも、なんだこれ……?!」
その赤い点が減っては増えてを繰り返して明滅している。
「食物連鎖なのです!魔物を喰った魔物が成長し、別の魔物を喰い、喰われ、常に強さが変動しているのです!そしてその食物連鎖の輪から外れ、喰われる事のない強さを身に着けた頂点に立つ魔物が数体。それがココの領域主として君臨しているのです!」
「こんな所を抜けるのか……」
「頂点の魔物は全て魔穴スポットの近くにいて、今この時も魔粒子を貯め続けているのです!」
「放っておけば置くほど強くなっているってことか」
「そうなのです!それ故、ここの領域主のランクはS相当になっている可能性もあるのです」
「と、兎に角、それでも敵の少ない所を抜けよう」
僕は探索の結果から、最も赤い点の少ないルートを導き出す。
「こりゃ、ポメが言っていた通り、丸一日走ることになりそうだ……」
「知覚向上!空気抵抗無効!敏捷倍増!」
以前ファングを助けた時に使った、移動補助魔法を自分自身に起動する。こんなヤバイ場所は一刻も早く走り抜けるに限る。
「行くよファング!早いかもしれないけど着いてきてね」
そう言って僕はビークを胸に抱くと、最短コースに向かって飛び出していく。
周りの木々を鋭敏な近くで察知し、回避し、空気抵抗を無効化して弾丸のような速度で、森の中を駆けていく。幸い全力を出さなければファングもポメも問題なく着いてこれるようだ。
周りの敵性生物は、僕達を知覚すると攻撃を仕掛けてくるが、尋常ではない速度で駆け抜ける僕には当たらない。
そう走っている内に、探索の示す赤い点の大きさが大きくなっていき、やがてすり抜ける隙間がないくらい、目の前のルートが真っ赤な点で覆われる。
「これ以上、走り抜けるのは無理だね」
「道を切り開く必要があるのです!」
「じゃぁ、手加減無しで行くか。火は森を燃やしてしまうからダメだとして風でいくか。風爆刃嵐!!」
風雷系中級魔法で強力な風の渦と共に風の刃を前方に射出する魔法だ。初級の風の刃は刃を飛ばすだけだが、風爆刃嵐は風を堪えているところに不可視の刃が襲いかかるし、風に巻き込まれれば、巻き上げられながら風の刃でズタズタに切り裂かれるエグい魔法だ。
僕の過剰魔力で無差別に放たれた風爆刃嵐は直径20mの物騒な風の渦が全ての木々を吹き飛ばし切り刻みながら直線状にいるありとあらゆる物を吹き飛ばし切り刻んだ。
「相変わらずの物騒な魔法なのです!森林も生態系も無秩序に破壊するとは、さすが平穏の壊し手なのです!」
横で並走するポメが全く息切れもさせずに毒を吐いてくる。平穏の壊し手って……どこぞの魔王みたいな二つ名だなぁ。
そう言われても仕方ないくらい、僕の目の前には、身体を半分に断たれた魔獣や魔蟲が蠢き、僕を恨むような目で見ていた。でもこの魔物達も、好きあらば僕達を餌にしようとしていたことは間違いない敵性生物だから、仕方ないと思う。
風爆刃嵐により、ほぼ更地になり障害が無くなった道を僕達は、再び駆け始める。
グォォォォォォッッッ!!
その道の先に轟くような咆哮が鳴り響くと、途轍もないプレッシャーが僕達を襲う。その方向とプレッシャーは、この道の先に、相当に強力な魔物が待ち構えているのを予感させるのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる