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第048話(家庭料理?!)
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テービルの上に置いてあるパンと、ホーンラビットのシチューの匂いで、僕の空腹感がより刺激されて、辛坊堪らない感じだ。
「さぁ、どうぞ。熱いから気をつけてね☆」
「あ、はい。いただきます」
クーフェさんがウィンクをしながら食事を勧めてくれるので、僕は両手を合わせて一言言うと、スプーンを手に取る。
そして、シチューの中にスプーンを入れて掬い上げると、クーフェさんとキリクさんがポカーンと驚いたような顔をしている。
「な、何か変なことしました、僕?」
「い、いや。別に大したことではないんだが、妙な食前の祈りだと思ってな」
「う、うん。普通は、地の女神イシュター様か風の男神ヴィエンド様にお祈りするのが普通だから、そうじゃないのにちょっと吃驚しちゃった」
「そうだったんですね。ちなみにどういうお祈りなんです?」
「私は地の女神イシュター様にお祈りしているよ。地の女神イシュター様、今日も大地の恵みをありがとうございます。っていう感じ」
クーフェさんが手を胸の前で組みながら、目を閉じて地の女神イシュター様に祈りを捧げる。
「なるほど。じゃぁ、地の女神イシュター様、今日も大地の恵みをありがとうございます」
僕もそれに合わせて食前の祈りを捧げてみる。続いてキリクさんも、ついでにポメもお祈りを捧げて、食事を開始する。
僕は掬いかけていたシチューを口に含む。口の中にホーンラビットの肉から出た旨味と野菜から出た旨味が広がる。だけど、なにかが足りなくて、それぞれが繋がってなくて味がバラバラだ。
何か間違ったかと思って、もう一口含んでみるが、同様にバラバラな味を感じる。不味くはないのだが、いまいち味がぼやけているように思える。
「流石、姉さんのシチューは旨いなぁ」
「ホーンラビットの良いお肉が残ってたから頑張っちゃった。シン君食べられる?」
笑顔を浮かべたクーフェさんが聞いてくる。僕は慌てて微妙な顔を消して、笑顔で美味しいですと答えた。
「そう、おかわりはいっぱいあるから、いっぱい食べてね☆」
「は、はい。ありがとうございます」
心からの善意の笑顔で言われて、僕はつい答えてしまう。たしかに不味くはないので、何とかそれっぽく食べることはできるだろう。
少しでも味を誤魔化そうとパンに手を伸ばして、一つ手に取る。手にとった瞬間わかったが、パンも相当カチカチだ。手で裂こうとしたがかなり硬く、無理に裂こうとすれば、他の食器とかにぶつかって惨事になりそうだと思ったので、手を止める。
「パンはシチューに浸すと柔らかくなるわ」
クーフェさんはそう言うと、パンの先っぽをシチューに浸してしばらくふやかしてから口に入れる。
「うん。シチューを吸って美味しい」
片手で頬を押さえながらニコリと僕に微笑む。キリクさんというと、結構豪快にパンを食いちぎっていた。
僕もクーフェさんを真似てシチューに浸して食べてみる。まぁ味がバラバラなのは変わらないけど、パンの風味が加わったことで、多少味が落ち着いた気がする。
「シン君はこれからどうするの?」
「あ、えーっと……」
「確か親戚の家を頼るとか言ってなかったか?」
クーフェさんの質問に僕が一瞬目を泳がせて戸惑うと、すぐにキリクさんが反応して答える。
「お姉ちゃんが知らないのに、なんでキー君が知ってるのっ!」
なぜかわからないが、ちょっと怒りながらクーフェさんがキリクさんに詰め寄る。
「ちょちょっ!門番やっている時に聞いたんだってば!俺じゃなくおっさんがだけど」
「ふーん。てっきりお姉ちゃんを除け者にしてシン君と仲良くなったのかと思ったよ」
「まず除け者にする意味がわからないし、除け者にする時間もなかったし……無茶苦茶だよ」
「まったく……頭の中がお花畑なのです」
「……ポメちゃぁぁぁん?」
「ひぃっ!御主人様!ポメを助けるのです!」
「自業自得でしょ……」
必死で言い訳するキリクさんに、余計なことを言うポメ、そして笑顔のまま鬼の形相になるクーフェさん。そんな明るい夕飯に僕の心は晴れやかになっていく。
「まずはこの辺の地理と自衛手段。あと移動手段の確保をしようかと思っています」
「地理と移動手段はわかるけど、自衛手段?」
「はい。山賊や盗賊、野獣や魔獣に襲われた時、最低限戦えないと困りそうですから」
「それはそうなんだけど、シン君くらいの年じゃ、とてもじゃないけど戦うのは難しいと思うけど」
「そこは超ハイスペックメイドのポメが居るから大丈夫なのです。御主人様は狼を目の前にしたウサギのように大人しくプルプル震えていれば、ポメが助けるのです」
「ウサギのようにプルプル震えるかどうかは別として、ファングやビークも居るから、ある程度見が守れれば大丈夫だと思うんです」
「確かにランクSの素養を持つポメちゃんとそいつらがいれば、そこらへんの盗賊や山賊じゃ太刀打ちできないだろうな」
「そうね、風狼と火燕なら遅れは取らないと思うわ」
「はい。みんな頼もしい仲間達です」
「となると、あれかな?冒険者ギルドの初心者講習を受けたら良いんじゃない?丁度来週から、孤児院で13歳になった子達が参加するはずよ」
「あぁ、そう言えば、もうそんな時期だったな」
「初心者講習?」
「うん。主に孤児院の子達が中心になるんだけど、この周辺の地理や出現する野獣や魔獣の知識、そして探索や採取に応急手当、戦闘に解体、町の各施設の使い方など、一通りの事を教える講習会があるの」
「へぇ、丁度僕が思っていたようなやつです!是非参加したいです!」
「確か枠はまだ余っていたはずだから、明日お姉ちゃんが手続きしておいてあげる」
「はい!ありがとうございます!」
温かい手料理を頂きながら、初心者講習を受けられる流れになり、僕はただただ本当にクーフェさん、キリクさんに感謝するのだった。
「さぁ、どうぞ。熱いから気をつけてね☆」
「あ、はい。いただきます」
クーフェさんがウィンクをしながら食事を勧めてくれるので、僕は両手を合わせて一言言うと、スプーンを手に取る。
そして、シチューの中にスプーンを入れて掬い上げると、クーフェさんとキリクさんがポカーンと驚いたような顔をしている。
「な、何か変なことしました、僕?」
「い、いや。別に大したことではないんだが、妙な食前の祈りだと思ってな」
「う、うん。普通は、地の女神イシュター様か風の男神ヴィエンド様にお祈りするのが普通だから、そうじゃないのにちょっと吃驚しちゃった」
「そうだったんですね。ちなみにどういうお祈りなんです?」
「私は地の女神イシュター様にお祈りしているよ。地の女神イシュター様、今日も大地の恵みをありがとうございます。っていう感じ」
クーフェさんが手を胸の前で組みながら、目を閉じて地の女神イシュター様に祈りを捧げる。
「なるほど。じゃぁ、地の女神イシュター様、今日も大地の恵みをありがとうございます」
僕もそれに合わせて食前の祈りを捧げてみる。続いてキリクさんも、ついでにポメもお祈りを捧げて、食事を開始する。
僕は掬いかけていたシチューを口に含む。口の中にホーンラビットの肉から出た旨味と野菜から出た旨味が広がる。だけど、なにかが足りなくて、それぞれが繋がってなくて味がバラバラだ。
何か間違ったかと思って、もう一口含んでみるが、同様にバラバラな味を感じる。不味くはないのだが、いまいち味がぼやけているように思える。
「流石、姉さんのシチューは旨いなぁ」
「ホーンラビットの良いお肉が残ってたから頑張っちゃった。シン君食べられる?」
笑顔を浮かべたクーフェさんが聞いてくる。僕は慌てて微妙な顔を消して、笑顔で美味しいですと答えた。
「そう、おかわりはいっぱいあるから、いっぱい食べてね☆」
「は、はい。ありがとうございます」
心からの善意の笑顔で言われて、僕はつい答えてしまう。たしかに不味くはないので、何とかそれっぽく食べることはできるだろう。
少しでも味を誤魔化そうとパンに手を伸ばして、一つ手に取る。手にとった瞬間わかったが、パンも相当カチカチだ。手で裂こうとしたがかなり硬く、無理に裂こうとすれば、他の食器とかにぶつかって惨事になりそうだと思ったので、手を止める。
「パンはシチューに浸すと柔らかくなるわ」
クーフェさんはそう言うと、パンの先っぽをシチューに浸してしばらくふやかしてから口に入れる。
「うん。シチューを吸って美味しい」
片手で頬を押さえながらニコリと僕に微笑む。キリクさんというと、結構豪快にパンを食いちぎっていた。
僕もクーフェさんを真似てシチューに浸して食べてみる。まぁ味がバラバラなのは変わらないけど、パンの風味が加わったことで、多少味が落ち着いた気がする。
「シン君はこれからどうするの?」
「あ、えーっと……」
「確か親戚の家を頼るとか言ってなかったか?」
クーフェさんの質問に僕が一瞬目を泳がせて戸惑うと、すぐにキリクさんが反応して答える。
「お姉ちゃんが知らないのに、なんでキー君が知ってるのっ!」
なぜかわからないが、ちょっと怒りながらクーフェさんがキリクさんに詰め寄る。
「ちょちょっ!門番やっている時に聞いたんだってば!俺じゃなくおっさんがだけど」
「ふーん。てっきりお姉ちゃんを除け者にしてシン君と仲良くなったのかと思ったよ」
「まず除け者にする意味がわからないし、除け者にする時間もなかったし……無茶苦茶だよ」
「まったく……頭の中がお花畑なのです」
「……ポメちゃぁぁぁん?」
「ひぃっ!御主人様!ポメを助けるのです!」
「自業自得でしょ……」
必死で言い訳するキリクさんに、余計なことを言うポメ、そして笑顔のまま鬼の形相になるクーフェさん。そんな明るい夕飯に僕の心は晴れやかになっていく。
「まずはこの辺の地理と自衛手段。あと移動手段の確保をしようかと思っています」
「地理と移動手段はわかるけど、自衛手段?」
「はい。山賊や盗賊、野獣や魔獣に襲われた時、最低限戦えないと困りそうですから」
「それはそうなんだけど、シン君くらいの年じゃ、とてもじゃないけど戦うのは難しいと思うけど」
「そこは超ハイスペックメイドのポメが居るから大丈夫なのです。御主人様は狼を目の前にしたウサギのように大人しくプルプル震えていれば、ポメが助けるのです」
「ウサギのようにプルプル震えるかどうかは別として、ファングやビークも居るから、ある程度見が守れれば大丈夫だと思うんです」
「確かにランクSの素養を持つポメちゃんとそいつらがいれば、そこらへんの盗賊や山賊じゃ太刀打ちできないだろうな」
「そうね、風狼と火燕なら遅れは取らないと思うわ」
「はい。みんな頼もしい仲間達です」
「となると、あれかな?冒険者ギルドの初心者講習を受けたら良いんじゃない?丁度来週から、孤児院で13歳になった子達が参加するはずよ」
「あぁ、そう言えば、もうそんな時期だったな」
「初心者講習?」
「うん。主に孤児院の子達が中心になるんだけど、この周辺の地理や出現する野獣や魔獣の知識、そして探索や採取に応急手当、戦闘に解体、町の各施設の使い方など、一通りの事を教える講習会があるの」
「へぇ、丁度僕が思っていたようなやつです!是非参加したいです!」
「確か枠はまだ余っていたはずだから、明日お姉ちゃんが手続きしておいてあげる」
「はい!ありがとうございます!」
温かい手料理を頂きながら、初心者講習を受けられる流れになり、僕はただただ本当にクーフェさん、キリクさんに感謝するのだった。
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