ちびっこ無双 ~手加減しないと環境破壊しちゃう過剰魔力を持った僕と、ちびっこい仲間達で異世界を無双しちゃいます~

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

文字の大きさ
51 / 80

第051話(商品説明?!)

しおりを挟む
 軍資金を手に入れた僕達は、次に食糧事情を知りたいと、大きな食料品店に入ってみる事にした。

「いらっしゃいませ」
 僕が店内に入ると店員らしきお姉さんが出迎えてくれる。僕を子供だと侮らずに朗らかな笑みを浮かべながらの対応だ。

「今日は、お使いでしょうか?」
 一応、身なりは見窄みずぼらしくないので、きちんと応対してくれているようで、僕がどこかの家の子供だと察したようだ。

「……えっと」
 そうだと答えた場合、何を買うか明確でないと怪しまれるし、違うと言った場合、冷やかしだと思われてしまったりするのも面倒だ。

「坊っちゃんは行商を引き継ぐために、色々な店舗で品物や相場を見て回って勉強しているのです」
 僕が少し言い淀んでいると、後ろから自信満々の声でポメがフォローしてくれる。

「へぇー、そうなの。とても偉いわね。それじゃ未来の大店主おおたなぬしさんに、ウチのアピールをさせてもらおうかな?」
 店員のお姉さんが、笑顔を浮かべたまま僕を案内してくれる。幸いにまだ朝早かったので、僕達以外にお客さんがいないからだろう。

「この店は、他の国から日持ちするものを仕入れている、この町で一番大きいのお店よ。だから乾物や日持ちする香辛料、調味料が他の店より充実しているわ」
 確かに肉や野菜の生鮮物のコーナーはあるけど、そうじゃないコーナーのほうが広く取ってあるようだ。

「輸送費が掛かるから、値段は少し高めだけど、ここら辺では手に入らないものも多いの。もし君が未来の行商人になったら仕入れをお願いするかもしれないわね」
 案内された乾物コーナーを見ると、魚や肉を乾燥させたものや、キノコや葉っぱを乾燥させたものが陳列されていた。それらは独特な匂いを出しているので、苦手な人も多いかもしれない。隣には香辛料のコーナーが有り、これらも独特な色合いや大きさのものが瓶に詰められて置いてあった。
 品物の下には名前が記されていたが、これらをどのように使うのかが全くわからない。値段は数粒や数枚で銀貨1枚から3枚なので、かなりお高い。

「すみません、商品の説明をお願いできますでしょうか?」
「はい、かしこまりました。まずはどちらからにいたしましょう?」
 僕が商品説明をお願いすると、店員のお姉さんが笑顔で対応してくれる。

「香辛料が気になっているのですが、数も多いですし、見たこともないものもあるので」
「かしこまりました。では端から説明させていただきますね」
「まず、こちらの濃褐色の実ですが、クロブと申しまして、甘く濃厚な香りと痺れるような刺激的な風味が特徴で、肉料理やスープ料理に合う香辛料になります」
 店員のお姉さんが瓶の蓋を外すと、確かに甘い香りが漂ってきた。

「こちらの粉状の物がオリガ。ややほろ苦さのある爽やかな香りが特徴の香辛料です。こちらはリコピル料理に欠かせない香辛料になっております」
「リコピル?」
「赤い実で、甘みと酸味があり、果肉が瑞々しい野菜で、色々な料理に使われていますよ」
「うーん、トマトの事かなぁ?」
 話言葉に違和感はないんだけど、やはり固有名詞はこちらの世界独特な物なので、それらを覚えていかないと、生活がままならないなぁと少し考え込んでしまう。

 店員のお姉さんが数多くの商品を説明してくれた後、僕は気になる香辛料を幾つか購入した。ここら辺では手に入らない香辛料なので、値が張ってしまい銀貨25枚ほどになってしまった。

「ありがとうございました。またのお越しを」
 丁寧に挨拶する店員のお姉さんに見送られて、僕達は店を出る。

「結構な品揃えだったのです。ただポメの欲しかった物は少なかったのです」
「大きな街に行けば、もっと色々あるんだろう。今は我慢してもらうしかないなぁ」
「こんな末端の田舎都市では仕方ないのです!」
「ちょっ!声が大きいってば!」
 ポメが大きな声でこの町を馬鹿にしたようなセリフを吐く。僕が周りを見渡すと、周りの人から剣呑な眼差しを向けているのがわかる。

「すみません。悪気はないんです」
 僕は周りにペコペコ頭を下げると、ポメの手を引いて一目散にその場から逃げ出すように走り出す。

「はぁはぁはぁ……だ、ダメだよ。あんなこと言っちゃ」
 少し離れた路地裏に身を隠すと、息を切らせながらポメをたしなめる。

「ん?ポメは本当のことを言っただけなのです」
「そうだとしても、ここに住む人達をバカにしていることになるでしょ?!みんな良い顔しないよ!みんあこの町に愛着を持って住んでるんだし!」
御主人様マスターは気にし過ぎなのです。文句を言われても力に訴えられても、ポメはどうにでもできる自信があるのです」
 僕の話を聞いてくれずに、胸を張って答えるポメ。こんな価値観で過ごしてたら、この町にいられなくなってしまう。僕はまだまだ知識不足なので、この町を追い出されて他の町に行くのは時期尚早だ。

「おい!お前ら!!」
 僕がポメの説得に頭を悩ましていると、僕達の後ろから僕達を呼ぶ声がする。

 振り向いてみると、勝ち気な顔をして僕を指差している男の子を先頭に4人の子供達が、僕達に視線を向けていた。
 僕はトラブルに巻き込まれたような予感がしながら、その子供たちと相対するのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

処理中です...