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Side Episode 01 グレンの大冒険

第17話(忠臣の挺身)

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ドッ!!

「なっ!!」
 俺は吹き飛ばされながら、鈍い音がした方に目を向けると、黒い毛並みの跳びネズミラニーに細い木の棒が突き刺さっているのが見えた。

「ラ、ランスロットッ!!」
 俺を突き飛ばしたのは外側の村に伏せていたはずのランスロットだった。俺はすぐさま体勢を立て直し、ランスロットの側に走り寄る。

「グレン様……ご無事で……」
「俺はお前のお陰で大丈夫だ!お前は……?!」
「だ、大丈夫……と言いたいところ……ですが……ガハッ!」
 ランスロットの口から血が溢れる。完全に細い木の棒が身体を貫いている。口から血が溢れるってことは、重要な部位を損傷しているのは間違いなさそうで、どう見ても致命傷だ。

「い、今すぐ治し……」
「む、無理……です。それより、お逃げ……ゴフッ」
 無理に喋るランスロットが更に吐血する。

「き、貴様らぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
 俺の怒りが最高潮に達する。身体を包む金色こんじきの光は、白銀と変化し、眩いほどの光を発っする!

 俺は鋭い金属を持つ生き物の懐に飛び込み、足に力を纏わせて回し蹴りを放つ!!
閃烈破砕脚シャイニング・クラッシャーっっ!!」

ゴガァァァァンッッッ!!

 俺の蹴りが当たったところが、強力な白銀光を発しながら大爆発を起こし、鋭い金属を持つ生き物が吹っ飛ぶ。

ヒュッ!!

 そこにランスロットを貫いた細い木の棒が飛来する。

「食らうかっ!!弧月脚こげつきゃく!!」
 俺は空中に居ながら、身体を大きく後ろに逸らすことでバク転し、細い木の棒を蹴り落とす。

「×○◇△っ!!!」
 そこに横殴りの金属の塊が迫る!!

 俺は一回転しきった足元に光の円陣を生み、それを足場に、金属の塊を振るう生き物の方に跳ねる!!

烈光螺旋撃グレンマッシャー!!!」
 身体を捻りながら必殺技を放つ。狙い違わず俺の突撃は金属の塊を振るう生き物の喉に命中し、そいつは呻き声を出しながら倒れる。

「の、残るは、あと1体……待ってろ!ランスロット!!」
 着地した俺に、凄まじい疲労感が襲ってくる。自分の体長の10倍もあり、強力な攻撃をしてきた生き物に対抗できているのは、この輝く力があったからだ。しかし、この力は俺の体力を根こそぎ奪っていく。
 とはいえ襲ってきたコイツら全てを撃退しなければ、国どころかランスロットすらも救えない!!

 俺は肩で息をしながら、細い木の棒を飛ばしてくる奴を警戒するが、ランスロットに重傷を負わせた細い木の棒は飛んでこない。
 俺は警戒しつつ移動し、大きな湾曲した木の枝を持っていた生き物を探す。

「なっ?!」
 岩山の影から飛び出し、大きな湾曲した木の枝を持っていた生き物がいたであろう場所をみると、そいつは別の巨大な生き物に組み伏せられていた。

 俺にはどうなっているのかわからないが、いつでも回避行動がとれるように警戒しながらそいつの動向を見ていると、もう2体の巨大な生き物が現れ、大きな湾曲した木の枝を持っていた生き物を光る縄で拘束していく。
 そして、組み伏せた生き物と、新しく現れた仲間らしき生き物2体の合計3体が、俺を確認すると、こちらの方にやってくる。

「……これ以上は無理か……せめてフランだけでも」
 俺はそう呟いて、倒れて苦しそうにしているランスロットに目をやり、自分の住居を見上げる。住居の出入り口には心配そうにこちらを見守るフランが見えた。

「お前だけは逃げろ!フラン!!」
 俺はランスロットやフランの方に伸びる道の真ん中で、仁王立ちになると、大声でフランに命じる。

「嫌よっ!!」
 フランはそう言うと、素早く住居から飛び降りてくる。

「ひ、姫っ!!」
 フランを見守っていたジェームズもフランについて降りてくる。

 そしてフランは肩で息をする俺の前に出ると、俺を守るように巨大な生き物の前に立ち塞がり、ジェームズは俺の後ろでゼェゼェと息をする。耄碌したなぁジェームズ。

「足が震えてるぞ?」
「う、うるさいわねっ!!」
「でも……嬉しいぜ」
「奇遇ね……私もよ」
 俺とフランはそう語り合うと覚悟を決める。

「○□××○?」
「▽○◇○×」

 巨大な生き物は、さっきの生き物とは違い穏やかな感じで会話をしているように見える。そして長い毛を持つものが屈んで、巨大な手をランスロットに伸ばす。
 俺は警戒するが、何やら悪意を感じないので見守る。そいつはランスロットに刺さった細い木の棒を一気に引き抜くと同時に、何かを呟く。

「●■▲▼」
 すると温かい光がランスロットを包み、死が目前に迫っていたランスロットの呼吸が穏やかになる。そんなランスロットを長い毛を持つ生き物が優しい手つきで撫でている。どうやらランスロットを助けてくれたようで、敵意はないらしい。

 ランスロットが一命を取り留めたと安心した瞬間、張り詰めていた俺の身体から力が抜けて、意識を失うのだった。

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