教育実習生・孝太

文字の大きさ
6 / 20

肉体カタログ

しおりを挟む
「あの、やたら元気な教育実習生、、、なかなか、良い体をしてるな、、、」

校舎の影、佐々木が言った。

その横で、黒崎は腕を組み、壁に背を預けたまま、細めた眼差しを孝太の身体に絡めとるように這わせていく。

孝太の身体、、、

確かに、鍛えられている。

若さが弾けるように筋肉が膨らんでいる。

「器械体操の選手なんだろ。確かに、それらしい身体だな、、、」

高橋が舌舐めずりするように言う。

決して大柄ではない。

いや、アスリートとしては、小柄と言う方が正しいだろう。

が、小柄な分、発達した筋肉が際立っている。

スポーツシャツの袖から伸びた二の腕。

しっかりと浮き上がる上腕二頭筋の隆起。

器械体操特有の、鋼のように締まった形。

黒崎の目はそこに留まり、唇の端をわずかに歪めた。

そして、肩。

肩甲骨の周りの筋肉が波打ち、スポーツシャツの薄い布では、三角筋の厚みを隠せない。

小柄な体に詰め込まれた筋肉の塊は、まるで寸分の隙なく仕上げられた兵器のようだ。

黒崎の視線は、胸板に滑り降りる。

薄布の下で呼吸に合わせて上下する胸筋は、強く張り出しながらも、無駄な脂肪を一切許さない彫刻的な板となっている。

黒崎はじっとそこを見つめ、見事だ、、、と心中で呟く。

だがその呟きは賞賛ではなく、獲物を前にした肉食獣のそれだ。

晴真と話しながら歩く孝太が、グラウンドに落ちたゴミを腰をかがめ拾い上げる。

小柄な身体に張り付くような分厚い広背筋、太い脊柱起立筋の縦の隆起、そして、突き出された尻の盛り上がり、、、

良いじゃねえか、、、

黒崎は鼻を鳴らす。

視線は執拗に孝太の全身をなぞる。

孝太という逞しい肉体を持った教育実習生の部分部分の肉体カタログを吟味するように、、、

笑いながら振り返る時、短く刈り込まれた髪の下の太い首筋が強調される。

黒崎の視線は、孝太の「無垢な笑顔」にも向けられる。

その笑顔が、純真さゆえに防御を持たない。

だからこそ、壊すのではなく弄ぶ価値があると確信させる。

「デカチンとは違うな、、、」

教師の屈辱的な渾名を呟く。

デカチンと部員達に呼ばれ従属奴隷と化した教師だけではない。

警察官、地下格闘場のプロモーターとも違う若く爽やかで無防備な無垢の存在、、、

「あのチョロチョロしてる実習生、デカチンと仲良いみたいだな」

「昔からの知り合いらしいぜ、、、」

「なんか、飼い主を見るペットみたいな面してデカチンの顔を見上げてんな、、、」

「まさか、生徒にトレーニングの指導を受けて、泣きわめいて、平気で土下座するなんて思ってもねぇだろうな、、、」

高橋、山本、佐々木が、背後で話しているのを黒崎は聞く。

孝太が晴真を見上げるキラキラした目、、、

それを偉そうに受け止める晴真、、、

デカチンの野郎、調子に乗りやがって、、、

面白くねぇな、、、

黒崎は、思う。

「なぁ、、、お前たち、、、」

背後で話していた三人の会話が止まり、黒崎の方に注意を向ける。

「レスリング部、、、下僕の他にペットも欲しくないか?」

その言葉に三人の顔に邪悪な表情が浮かぶ。

「確かに、アイツはペットに相応しいかも、、、」

「かわいいペットを生け捕りってことっすか?」

黒崎は頷く。

「こりゃ、調教と躾甲斐がありそうだな、、、」

三人の言葉を背に受け、黒崎は近付いてきた孝太と晴真の方に足を踏み出した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

処理中です...