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過去の影
竜次は小さなヤクザの組に所属していた。
義理と人情を重んじる若者だった。
ある日、組の縄張りを荒らす恐ろしい男が現れる。
男の名は鬼塚。
本名かどうかは分からない。
ただ、そう名乗っているらしい。
蛇のような目をした凶暴な男。
どこの組に所属しているわけでもないのに、ふらっと現れ、組員に暴行を加え、消えていく。
ある日、鬼塚は竜次の後輩を拉致した。
おそらく後輩の監禁先は廃工場と思われた。
組は用意が整うまで動くなと言う。
業を煮やした竜次は親しい先輩を説き伏せ、共に後輩を助けに向かう。
廃工場の奥の倉庫。
その辺りから、後輩の凄まじい悲鳴が聞こえてきた。
竜次は必死に走った。
倉庫に踏み込むと、鬼塚が後輩を鎖で吊るしていた。
素っ裸の後輩。
体中に無数の暴行の痕跡、、、
肌には、何に打たれたのか、みみず腫れなどと言う表現が生易しく感じる真っ赤で引き攣れた太い線が無数につけられ、猛打された紫の痣が散りばめられている。
そして、その肌を乱雑に割いた幾つもの刃物傷がパックリと開き、赤い血が滴る。
その暴行の跡を見て、後輩の命を案じた竜次の血の気が引く。
踏み込んだ竜次達を吊るした男と釣られた男が見る。
「たっ、、、助けてぇ、、、助けてくれヨォ、、、アニキィ、、、」
身体を揺らし必死の声で後輩が叫ぶ。
思いの外、力がこもった声に、竜次は最悪の事態には至っていないと、ひと安堵する。
が、気は抜けない。
鬼塚は血まみれのバタフライナイフを片手に、蛇のような目で竜次達を捉えている。
竜次は腰に刺したドスを抜き、構える。
邪魔になる鞘は投げ捨てる。
短なバタフライナイフよりも、ドスの方がリーチは長い。
鬼塚の目は細く、瞳孔が異様に小さく、感情を感じさせない黒目が冷たく光る。
まるで魂を抜き取るような視線が竜次を射抜き、恐怖が全身を支配する。
「てめぇっ!大人しくしやがれっ!叩き切ったるぞっ!」
先輩がドスを効かせた声で鬼塚を脅す。
先輩にチラリと目を留めた鬼塚が、深いそうに眉を顰める。
が、直ぐに竜次の目をジッと見た。
不快な視線、、、
背中を無数の蟲が這い上がるような嫌な感覚が襲う。
身体中から冷や汗が湧く感覚。
しかし、押されてはならない。
気圧される心を奮い立たせて、竜次は怒鳴る。
「観念しやがれっ!さっさとソイツを解放しないと、後悔するぞっ!チンケなナイフナイフなんか怖かねーよ!」
その瞬間を竜次は忘れることは出来ない。
無表情な目のまま、鬼塚の口だけが嬉しそうにニヤリと横に開いた。
鬼塚がバタフライナイフを持ったまま、ゆっくりと両手を上げる。
観念したのだろう、、、
おそらく竜次も、先輩も、吊られた後輩もそう思った瞬間、、、
閃光のようにナイフが動き、後輩の股の辺りを過ぎる。
キィィィィィィッ
何かを切り裂くような叫び声、、、
そして、翻った閃光は、後輩の首の辺りを横切り、声は消える。
「て、てっめぇぇぇぇっ!」
凄まじい雄叫びと共に、先輩がドスを構えて突っ込む。
竜次もドスを構えて、突っ込もうとした瞬間、、、
鬼塚は、胸元のポケットに素早くバタフライナイフをしまい、後輩の横に立っていた鉄の長いポールを掴むとそのままバットのようにスイングした。
先にはコンクリートのようなデカい塊が付いている。
グシャッ、、、
鈍い音と共に先輩が吹っ飛ぶ。
鬼塚はそのポールを片手で引き摺りずり、ゆっくりと竜次の方に寄って来る。
ポールの先についたギザギザの側面を持つ塊が床に擦れて嫌な摩擦音をたてる。
その音からすると塊は重く、頑丈だ。
ポールを引きずってはいるが、先ほど軽々とスイングして先輩をブッ飛ばしたのを見ている。
そして、突っ込んだとしても、長いポールが、ドスの切先が届く前に、竜次を跳ね飛ばすだろう。
ドスを構える竜次は、震えている。
感情の無い目が、ジッと竜次を見つめている。
蛇に睨まれた蛙のように逃げることすらできない。
鬼塚は、竜次に真っ直ぐ向かって来るわけではなく、少し間隔を取り、回り込むように歩む。
だから竜次は、ジリジリと足裏を動かし、間合いを取り移動する。
「言われた通り、解放したよぉ、、、君の方が面白そうだから、、、アッチは解放してあげたヨォ、、、」
そして、ポールを握ってない方の手で、転がっていた先輩のドスを拾って、軽く目を落とす。
そして、放り投げる。
「これは長くて鋭いから、すぐイっちゃいそうだからツマラナイよね、、、やっぱりこっちだ」
胸元からバタフライナイフを取り出し、軽快にカチャカチャ音を立て、切先を出す。
竜次は震えた。
鬼塚が何を言っているのか分からない、、、
いや、理性では言葉は理解しても咀嚼しきれて纏まらない、心が理解するのを拒んでいる。
解放しろと言ったから解放した、、、
鬼塚の背後、力無く吊られている後輩が見える。
その肉体は動かない。
君の方が面白そうだから、、、
君の方、、、君は俺のこと、、、か?
長くて鋭いからすぐイっちゃいそう、、、イク、、、ってなんのことだ?
考えれば考えるほど、頭はグチャグチャになり纏まらず、身体の震えが増していく。
鬼塚は、急に竜次と違う方向に歩き出す。
間が広がったことに竜次は反撃のチャンスと喜びかける。
だが、鬼塚は、竜次が入ってきた扉を閉め、閂を掛けた。
「これで二人きり、、、楽しもう、、、」
竜次は周囲を見回す。
頑丈な壁で囲まれている。
明かり取りの窓は、はるかに高く飛びつくことはできない。
行くとしても、隅の方にある非常梯子しかない。
一か八か、竜次はドスを投げ捨て、非常梯子に向かいダッシュした。
ガチャン、ポールを投げ捨てたらしい音が背後から聞こえた。
鬼塚の動きは獣のように素早かった。
竜次はあっという間に押さえつけられる。
鬼塚のナイフが竜次の喉元に迫り、「楽しもう、、ら」と囁く声が耳元で響く。
鬼塚の蛇のような目が竜次の顔に迫り、冷たい視線が心臓を抉る。
暴行の果てに殺される恐怖に竜次が震えた瞬間、先輩が鬼塚に飛びかかった。
右肩が潰れているが、左手で鬼塚の首を抑える。
両脚で胴を挟み、股に脚を絡める。
顔の半分は血で染まっている。
揉み合う二人。
竜次はドスを投げ捨てたことは後悔する。
ガン、、、ガン、、、
閉じられた扉が軋むように鳴る。
その激しい音が竜次には福音のように聞こえる。
先輩、、、耐えてくれ、、、
竜次は倒れ込みたい自分を鼓舞し、縺れそうになる足を必死で動かし扉に向かう。
背後で、グギャァァァァァという恐ろしい悲鳴が響く。
その悲鳴が、竜次を背中から押すような気がする。
扉に飛びつく。
膝をつき、すがるような姿勢で太い閂に手を掛ける。
動かない。
竜次は、閂の先端に付けられた小さなスイッチのようなものに気付く。
あれだ。
そのスイッチに向けて手を伸ばそうとした時、足首が強い力で掴まれる。
竜次は思わず恐怖の悲鳴をあげる。
振り向けば鬼塚が、感情のない目で自分を見つめ、口だけが微笑みのように開いている。
足が引かれる。
竜次は、引っ張られまいと閂に手を掛ける。
その指先が、スイッチに触れる。
カチッと音がする。
クァァァァァォォッ!
気合とも、恐怖ともつかない竜次の悲鳴。
引きづられまいと閂を握り、踏ん張ろうとするが、鬼塚の膂力は強い。
竜次が引きづられるとともに、竜次が掴んだ閂がジリジリスライドしていき、そして、パキンという音が弾ける。
その瞬間、扉が開く。
外の光を背景に影が倉庫内に入る。
パンパンという破裂音と、「竜次、伏せろっ」という声がする。
現れたのは若頭を先頭とした組員達。
拳銃を手にし、銃口を鬼塚に向けている。
足首を掴む力が消える。
竜次は、若頭に腕を掴まれ、外に出される。
若頭は、震える竜次を抱いて言った。
「なんで、拳銃が来るまで待てなかったんだ、、、、」
え、、、
竜次は呆然とする。
「ヤツには素手では勝てん。ヤクザ者ばかりを拉致して暴行する見下げたサド野郎ってことは、他の組から情報で入っていた。ヤツを倒すためには、準備をしろと、、、だから、待てと言ったのに、、、」
「でも、、、あ、アイツが捕まって、、、」
「それは分かっている、だから、拳銃を人数分調達して、助けに行こうとしたんだ。鬼塚は、獲物を拉致するが、一週間は、嬲りものとして生かすらしい、、、だから、生きている内に助けようと急いでじゅん、、、おい、どうした?竜次、正気を保てっ!」
お、俺が、先輩をけしかけて救出に向かったから、、、
言うことを聞いて、待っていたら、後輩の傷は増えても助かったのか?
君のほうが面白そうだから、、、解放しちゃったよ、、、
俺が、、、俺が、、、余計なことをしなければ、後輩はまだしばらく生きていた、、、先輩も死ななかった、、、
うがぁぁぉぁぁぁっ!
悲痛な竜次の叫びが轟いた。
その後、竜次には、先輩と後輩を救えなかった後悔と、鬼塚に味わわされた恐怖が心に深く刻まれた。
しばらくは錯乱状態から抜け出せず、組にいられなくなった竜次は、組織を抜け、一人で放浪するようになった。
そして、この街に辿り着いたのだ。
そして、今、目の前にいる大滝の目が、鬼塚の蛇のような目に重なる。
竜次の心臓が締め付けられ、過去のトラウマが竜次の精神を押し潰す。
義理と人情を重んじる若者だった。
ある日、組の縄張りを荒らす恐ろしい男が現れる。
男の名は鬼塚。
本名かどうかは分からない。
ただ、そう名乗っているらしい。
蛇のような目をした凶暴な男。
どこの組に所属しているわけでもないのに、ふらっと現れ、組員に暴行を加え、消えていく。
ある日、鬼塚は竜次の後輩を拉致した。
おそらく後輩の監禁先は廃工場と思われた。
組は用意が整うまで動くなと言う。
業を煮やした竜次は親しい先輩を説き伏せ、共に後輩を助けに向かう。
廃工場の奥の倉庫。
その辺りから、後輩の凄まじい悲鳴が聞こえてきた。
竜次は必死に走った。
倉庫に踏み込むと、鬼塚が後輩を鎖で吊るしていた。
素っ裸の後輩。
体中に無数の暴行の痕跡、、、
肌には、何に打たれたのか、みみず腫れなどと言う表現が生易しく感じる真っ赤で引き攣れた太い線が無数につけられ、猛打された紫の痣が散りばめられている。
そして、その肌を乱雑に割いた幾つもの刃物傷がパックリと開き、赤い血が滴る。
その暴行の跡を見て、後輩の命を案じた竜次の血の気が引く。
踏み込んだ竜次達を吊るした男と釣られた男が見る。
「たっ、、、助けてぇ、、、助けてくれヨォ、、、アニキィ、、、」
身体を揺らし必死の声で後輩が叫ぶ。
思いの外、力がこもった声に、竜次は最悪の事態には至っていないと、ひと安堵する。
が、気は抜けない。
鬼塚は血まみれのバタフライナイフを片手に、蛇のような目で竜次達を捉えている。
竜次は腰に刺したドスを抜き、構える。
邪魔になる鞘は投げ捨てる。
短なバタフライナイフよりも、ドスの方がリーチは長い。
鬼塚の目は細く、瞳孔が異様に小さく、感情を感じさせない黒目が冷たく光る。
まるで魂を抜き取るような視線が竜次を射抜き、恐怖が全身を支配する。
「てめぇっ!大人しくしやがれっ!叩き切ったるぞっ!」
先輩がドスを効かせた声で鬼塚を脅す。
先輩にチラリと目を留めた鬼塚が、深いそうに眉を顰める。
が、直ぐに竜次の目をジッと見た。
不快な視線、、、
背中を無数の蟲が這い上がるような嫌な感覚が襲う。
身体中から冷や汗が湧く感覚。
しかし、押されてはならない。
気圧される心を奮い立たせて、竜次は怒鳴る。
「観念しやがれっ!さっさとソイツを解放しないと、後悔するぞっ!チンケなナイフナイフなんか怖かねーよ!」
その瞬間を竜次は忘れることは出来ない。
無表情な目のまま、鬼塚の口だけが嬉しそうにニヤリと横に開いた。
鬼塚がバタフライナイフを持ったまま、ゆっくりと両手を上げる。
観念したのだろう、、、
おそらく竜次も、先輩も、吊られた後輩もそう思った瞬間、、、
閃光のようにナイフが動き、後輩の股の辺りを過ぎる。
キィィィィィィッ
何かを切り裂くような叫び声、、、
そして、翻った閃光は、後輩の首の辺りを横切り、声は消える。
「て、てっめぇぇぇぇっ!」
凄まじい雄叫びと共に、先輩がドスを構えて突っ込む。
竜次もドスを構えて、突っ込もうとした瞬間、、、
鬼塚は、胸元のポケットに素早くバタフライナイフをしまい、後輩の横に立っていた鉄の長いポールを掴むとそのままバットのようにスイングした。
先にはコンクリートのようなデカい塊が付いている。
グシャッ、、、
鈍い音と共に先輩が吹っ飛ぶ。
鬼塚はそのポールを片手で引き摺りずり、ゆっくりと竜次の方に寄って来る。
ポールの先についたギザギザの側面を持つ塊が床に擦れて嫌な摩擦音をたてる。
その音からすると塊は重く、頑丈だ。
ポールを引きずってはいるが、先ほど軽々とスイングして先輩をブッ飛ばしたのを見ている。
そして、突っ込んだとしても、長いポールが、ドスの切先が届く前に、竜次を跳ね飛ばすだろう。
ドスを構える竜次は、震えている。
感情の無い目が、ジッと竜次を見つめている。
蛇に睨まれた蛙のように逃げることすらできない。
鬼塚は、竜次に真っ直ぐ向かって来るわけではなく、少し間隔を取り、回り込むように歩む。
だから竜次は、ジリジリと足裏を動かし、間合いを取り移動する。
「言われた通り、解放したよぉ、、、君の方が面白そうだから、、、アッチは解放してあげたヨォ、、、」
そして、ポールを握ってない方の手で、転がっていた先輩のドスを拾って、軽く目を落とす。
そして、放り投げる。
「これは長くて鋭いから、すぐイっちゃいそうだからツマラナイよね、、、やっぱりこっちだ」
胸元からバタフライナイフを取り出し、軽快にカチャカチャ音を立て、切先を出す。
竜次は震えた。
鬼塚が何を言っているのか分からない、、、
いや、理性では言葉は理解しても咀嚼しきれて纏まらない、心が理解するのを拒んでいる。
解放しろと言ったから解放した、、、
鬼塚の背後、力無く吊られている後輩が見える。
その肉体は動かない。
君の方が面白そうだから、、、
君の方、、、君は俺のこと、、、か?
長くて鋭いからすぐイっちゃいそう、、、イク、、、ってなんのことだ?
考えれば考えるほど、頭はグチャグチャになり纏まらず、身体の震えが増していく。
鬼塚は、急に竜次と違う方向に歩き出す。
間が広がったことに竜次は反撃のチャンスと喜びかける。
だが、鬼塚は、竜次が入ってきた扉を閉め、閂を掛けた。
「これで二人きり、、、楽しもう、、、」
竜次は周囲を見回す。
頑丈な壁で囲まれている。
明かり取りの窓は、はるかに高く飛びつくことはできない。
行くとしても、隅の方にある非常梯子しかない。
一か八か、竜次はドスを投げ捨て、非常梯子に向かいダッシュした。
ガチャン、ポールを投げ捨てたらしい音が背後から聞こえた。
鬼塚の動きは獣のように素早かった。
竜次はあっという間に押さえつけられる。
鬼塚のナイフが竜次の喉元に迫り、「楽しもう、、ら」と囁く声が耳元で響く。
鬼塚の蛇のような目が竜次の顔に迫り、冷たい視線が心臓を抉る。
暴行の果てに殺される恐怖に竜次が震えた瞬間、先輩が鬼塚に飛びかかった。
右肩が潰れているが、左手で鬼塚の首を抑える。
両脚で胴を挟み、股に脚を絡める。
顔の半分は血で染まっている。
揉み合う二人。
竜次はドスを投げ捨てたことは後悔する。
ガン、、、ガン、、、
閉じられた扉が軋むように鳴る。
その激しい音が竜次には福音のように聞こえる。
先輩、、、耐えてくれ、、、
竜次は倒れ込みたい自分を鼓舞し、縺れそうになる足を必死で動かし扉に向かう。
背後で、グギャァァァァァという恐ろしい悲鳴が響く。
その悲鳴が、竜次を背中から押すような気がする。
扉に飛びつく。
膝をつき、すがるような姿勢で太い閂に手を掛ける。
動かない。
竜次は、閂の先端に付けられた小さなスイッチのようなものに気付く。
あれだ。
そのスイッチに向けて手を伸ばそうとした時、足首が強い力で掴まれる。
竜次は思わず恐怖の悲鳴をあげる。
振り向けば鬼塚が、感情のない目で自分を見つめ、口だけが微笑みのように開いている。
足が引かれる。
竜次は、引っ張られまいと閂に手を掛ける。
その指先が、スイッチに触れる。
カチッと音がする。
クァァァァァォォッ!
気合とも、恐怖ともつかない竜次の悲鳴。
引きづられまいと閂を握り、踏ん張ろうとするが、鬼塚の膂力は強い。
竜次が引きづられるとともに、竜次が掴んだ閂がジリジリスライドしていき、そして、パキンという音が弾ける。
その瞬間、扉が開く。
外の光を背景に影が倉庫内に入る。
パンパンという破裂音と、「竜次、伏せろっ」という声がする。
現れたのは若頭を先頭とした組員達。
拳銃を手にし、銃口を鬼塚に向けている。
足首を掴む力が消える。
竜次は、若頭に腕を掴まれ、外に出される。
若頭は、震える竜次を抱いて言った。
「なんで、拳銃が来るまで待てなかったんだ、、、、」
え、、、
竜次は呆然とする。
「ヤツには素手では勝てん。ヤクザ者ばかりを拉致して暴行する見下げたサド野郎ってことは、他の組から情報で入っていた。ヤツを倒すためには、準備をしろと、、、だから、待てと言ったのに、、、」
「でも、、、あ、アイツが捕まって、、、」
「それは分かっている、だから、拳銃を人数分調達して、助けに行こうとしたんだ。鬼塚は、獲物を拉致するが、一週間は、嬲りものとして生かすらしい、、、だから、生きている内に助けようと急いでじゅん、、、おい、どうした?竜次、正気を保てっ!」
お、俺が、先輩をけしかけて救出に向かったから、、、
言うことを聞いて、待っていたら、後輩の傷は増えても助かったのか?
君のほうが面白そうだから、、、解放しちゃったよ、、、
俺が、、、俺が、、、余計なことをしなければ、後輩はまだしばらく生きていた、、、先輩も死ななかった、、、
うがぁぁぉぁぁぁっ!
悲痛な竜次の叫びが轟いた。
その後、竜次には、先輩と後輩を救えなかった後悔と、鬼塚に味わわされた恐怖が心に深く刻まれた。
しばらくは錯乱状態から抜け出せず、組にいられなくなった竜次は、組織を抜け、一人で放浪するようになった。
そして、この街に辿り着いたのだ。
そして、今、目の前にいる大滝の目が、鬼塚の蛇のような目に重なる。
竜次の心臓が締め付けられ、過去のトラウマが竜次の精神を押し潰す。
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