十人十色の強制ダンジョン攻略生活

ほんのり雪達磨

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室内爆散の公開記録 - これはペットではありませんね

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 ウラー!

 室内爆散です。

 少しは前進したと思っていた矢先、クソゲ掲示板でとある報告がきたのです。

 通称天元さんが、またいじられた……もとい、アイテムで変な効果を強制的につけられたというのです。


 いや、天元さんって誰やねん。


 といいたくなる気持ちはわかる。
 だって天元さんはクソゲ掲示板以外にはほとんど出没しないレアキャラだからね。
 クソゲ愛好家もそりゃ知らない人のほうが多いってね。

 クソゲ愛好家ってなんだよ。ぶっ殺すぞ。

 さておき。
 天元さんは、公開記録も公式も非公式も書いてないしね。

 (……書いてないのにそこまで削れた様子もなく続いてるってすごくね?)

 ともかく、他の掲示板には書き込まないが難易度別のクソゲにはいるって人な。
 まぁ、珍しくはない。クソゲだという特徴を覗けば、その難易度以外は書き込まないってタイプの人はちょろちょろいるっぽいし。クソゲだと全難易度見放題だぜー。いいだろー。うらやましいだろー。かわってやるからすぐいって。いって! すぐ! 変わるから! 変われ! カイワレ。
 別にいい。そんなものは個人の自由だし。他の掲示板も記録もみないし、周りに人いるけどコミュニケーションからの情報取得もしない! ってなるとお前唯一の情報源やぞ情報甘く見てんのかこっち強制ソロやぞ死ねよと思うけど。

 まぁ、だからその天元さんについてちょっと説明すると、天元さんは呪いにかけられたというか、運営にいじられたというか、そういう可哀そうなどうしようもない理不尽を押し付けられてしまった人なのだ。
それが他の掲示板にも公開記録にも出てこない理由なんだけど……ここでは細かい理由はよそうじゃないか。
 俺だって恨みは買いたくない。あの人はあの人でキノコちゃんとは別の何か怖さがあるのだ。

 まぁ、その天元さんが更なる理不尽を追加されたーってことなんだけど。

 天元さん曰く、なんかアイテムらしい何かが落ちてて、不審に思って近づいた。
 そうしたら、拾う行動してないのに近づいただけで発動したっていうの。
 で、アイテムはクソゲは死んだらポイントでロックを出すたびにかけないと普通にロストする使用なんだけど、それは残ってるらしい。

 罠にしても酷くね?

 で、他のクソゲにそういうアイテムトラップあるんじゃね?

 って話になっていって他のクソゲにとっても他人事じゃすまない感じになったのね。


 で、俺、実はその話が出た時点で思い当たることがあったのよ。


 今日も元気に死んでいこう!
 って矛盾を宣言しつつダンジョン進んでて、ふと後ろを見たんだよ。

 そしたら、いつからあったのか、そこには浮遊する謎の黒い球体があった。

 うぁぁ! っていったね。

 ホラーゲーム苦手な人がゾンビが突然出てきて驚いたくらいのテンションのうわぁああああ! が出たね。
 その後雑音絶対許さないマンに音探知でばりばり食われるまでが流れだったよ。

 ぼちぼちポイント食われまくって死にまくって病気対策できて、他人が出すを音を絶対許さない隣人をフィーチャーしたみたいな奴に次階層で殺されまくり―の、そっちに神経割いてたらつい忘れがちな透明マンとかコミュ障とかにもたまに殺されーのの毎日で、久方ぶりに素で、心の底からただびっくりして「うわぁああああ!」って言ったわ。

 そして、リスポーンするやん。

 したんだけど、後ろにいるわけ。
 球体。

 黒い球体。

 ウチュウジンでも退治させる気かよ!

 とか、色々言いたい気分だけど、必死に我慢した。

 キノコとか寄生虫とか、特定のアイテムとか、部屋まで出てくるやつは何が条件で何するか怖くてしかたねぇ。
 で、しばらく警戒だけはしつつなるべく目にも入れないようにしていたんだけど、特に何もない。
 そんで掲示板を覗いたら、天元さんの報告だ。


 これじゃね?


 俺に電流が走ったのだ。
 ぴしゃりらん! みたいな、よくわからない音で電流が走った感じにひらめきが来たのだ。
 別に真実を見抜いたわけでもないし、人と心が通じ合う能力を得たわけでもないけどひらめいたのだ。

 これだ。これに違いない。運営の嫌がらせというなの仕掛けというか、専用アイテム的サムシングだ……!

 って。


 ますます触れたくねぇ……

 このまま放置できないかな?

 と考えたんだけど、放置したらしたで、

 (もしかして放置したらしただけ何か悪い展開が後々おこる的アイテムだったらどうしよう)

 という嫌な想像が付きまとうのだ。ないなら内でどっと疲れる、どのパターンでも嫌がらせができるというクソ仕様だぜ!

 関係ない(と思う)が、その日、とりあえず保留して眠った俺の夢は悪夢だった。

 寝て冷めても、当たり前のように球体はいた。寄り添われるならせめて会話が通じる相手が良い。後ろをついてくる時点で、死んだ飼い犬と妹を思い出してリスポーンより立ち直りに時間かかったぞこの野郎。

 ちなみにこの黒いのは、どうやら大体後ろについているようだが、寝るときはなんか上にいる。見たくないのに視界に入る。ビームを出さないだけありがたいとか一瞬思うあたり感覚がマヒしてる。

 貫通して壁の中にいる! という風にはならないらしい。

 離れないという意思を感じる……! こっちには大迷惑にしかならない、強い、強い意志を……!


 で、嫌な予感はするんだけど、とりあえず放置してクソゲで今いる中で話し合ってみよう! ってのが今の流れなのだ。

 天元さんが見つけて、俺も見つけた。

 なんか、そういう流れがっていうか、仕掛けのあるポイントにきた感があるんだよね。

 それか、そういう仕掛けをそのタイミングで運営がしたか。

 だから俺ら以外も見つけそうな予感がひしひしとするのだ。

 むしろ見つけろ、犠牲者よ増えろ……!

 とはさすがに(俺は)思っていない。

 だってクソゲはもう十分クソゲなんだから、これ以上理不尽がなくてもいいじゃないか!
 と思うのだ。

 思うので、できれば俺のこれも何事もなく消えてくれたりしませんか?


 ボク、いい子にするからぁ!


 ダメだって?
 知ってた。

 運営死ね、とつぶやく元気もなくなんよー。
 頼むよ頼むよー。
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